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「え、いや全然気にしてないけど?」
 銀時が浮気をしている。いやそんなこと知ってるけどと遠回しにそれを教えてくれた新八君にあっけらかんと答える。あんなに堂々と女にだらしない男もなかなかいないと思うのだが、どうやらあのちゃらんぽらんよりは私の方が万事屋従業員ズには懐かれているらしい。なにかと私の事を擁護してくれたりあのちゃらんぽらんに私の変わりに鉄槌を下してくれたりとしてくれていたのだがなにを言いにくそうにしていると思ったら、なんだそんなこと。
 銀時とはなんだかんだ付き合って長い、その中でもそうだが付き合う前からあの男が「そういう人間」であることは分かっているし正直諦めている。
「多分だけど、私そんなこと気にするほどあいつの事信じてないし…というかそこまで好きでもないんだと思うなぁ……」
「え」
 うーん、そうだよね、普通自分の好きな人が他所でいちゃこらズコバコしてたら多少は傷ついたり悲しんだり、場合によっては怒りを覚えたりするのが自然なのだろう。しかしあんな奴にそんな感情を持っているのが勿体ないというか面倒というか、意味がないのを知っているからどうしようとも思わないし。正直相手にするだけ時間の無駄だ。
というか私が銀時のことを好きじゃないというより銀時が私の事対して好きじゃないからこうなってるんだよな。そうかだから私も対してあいつの事好きじゃないのかも。元々向けられた感情に感化されやすい人間であることは自覚しているのでその考察に納得する。
「日頃別れた方が良いって言ってくれてた意味がなんか分かった気がするわ、うん」
「え、あ、なまえさんあの、」
「そういや銀時にたいしてドキッとかした覚えないしなぁ…私土方さんの方がタイプだし」
 そう、なんやかんや関わりの多い真選組の方々の中で彼は本当に良くしてくれている。常識人万歳。かっこいいしなぁ、そうそう前に私の誕生日の時にわざわざお菓子買って用意してくれたり。因みに銀時は当然の様にそんなこと忘れていたし挙句にそのお菓子も勝手に食べやがっていた。それに偶に、こうキュンとすることがあるのだ、土方さんに。あれこれ私土方さんのこと好きなんじゃないか?
 絶対一途だし大切にしてくれそうだし、お金持ってそうだし。あー、でもそんな人だからこそもういい人いるんだろうなぁ。そんなことを内心考えていたつもりが殆ど口に出ていたらしいというのに気が付いたのは異常に青い顔をして固まっている新八君の存在に気が付いてからだった。
「どした新八君、顔色ブルーハワイだよ」
「なまえさんはイチゴのような頬の赤らみですね」
「やだ、恋の色?」
 きゃ、っとふざけて頬に手を当てがって身を捩れば腰がポキッといい音を鳴らした。お願いだから新八君突っ込んでよ恥ずかしいんだけど。らしくないことするもんじゃないと学習しましたほんっと。



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投稿日:2017/0926
  更新日:2017/0926