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 あ、あれ、あれれ。なにあれなにこれ何この展開予想外すぎるんですけど。新八に頼んでなまえに俺の浮気疑惑をどう思っているかを聞いてもらったと思ったらまさかの展開だ、なにこれ。押入れの中で神楽と定春と聞き耳を立ててその会話をニヤニヤしながら聞く姿勢に立っていた。普段淡泊すぎるというか俺に関心をあまり見せてくれないなまえの本心を聞きたかったのだ。
 涙目で「ほんと困った人だよね…それでも私は銀時のこと好きだからいいの…」とかそんなことを言ってくれるものだろうと想像してたのになにこれ。え、ツンデレとかそういうのでもよかったけどこれは違うだろ悟りきってるだろ諦めの境地だろあれは、え、なんでだなんでこんなことになったんだなまえのヤキモチが見たかったのにそれでちょっと女とベタベタしたこともあるよ?え、でも、え。俺ってそんなに信用なくなるほどやらかしたっけ、こんなに愛されてなかったんだっけ?普段から確かになにかと「あーいいんじゃない?」とか「銀時だししょうがないでしょ」とかそんなセリフを聞くことも多かった気がしないでもないけど、あれって諦めからくる言葉だったの?
「銀ちゃん、なまえがニコチン野郎に乗り換えるってサ」
「え、いやいやいやいや、いやいやいやいや!?」
「今乗り換えたら新築の住居もついてくるアル」
「どんっな乗り換え割だよ!?」
 しかもよりにもよってあいつってなにそれどんな嫌がらせなにそれ。だってあいつなまえのこと狙いまくりでしょ下心満載でなまえに絡んでいってんのになんで気が付かないんだよ明らかにオカズを見る目でなまえのこと見てんだろ思い出しただけでも腹立つ。髪は黒髪ストレート、甲斐性もある、銀ちゃんみたいにプー太郎じゃない、味覚腐ってるけど銀ちゃんも腐ってる、ニコチン臭いけど銀ちゃんは加齢臭する、と淡々と指折り挙げていく神楽にぐさぐさと容赦なく心にナイフが刺さった。え、あれ、いやいや?あんな奴に俺が負けるわけがないと思ってはいてもこうやって比べられてしまえばどうにも負けたような気がしてくる。狭い押入れのなかで項垂れれば定春が前足を頭にぽん、と乗せてくる。やめろ優しくするな泣きたくなるだろ。で、でももう付き合って何年経ったと思ってるんだよおい。俺としてはその、結婚とか?子供とか?そういうこともちょっとは考えてたりしてたのにどういうことだこれは!?
「あ、銀ちゃんなまえがいっちゃったヨ」
 で、でもだぞ、だからってあいつは俺のこと好きなことには変わりないだろ?そ、そうだよな……?告白らしい告白はしなかったが付き合い始めたきっかけは確かに俺から……だったなそういや。あれ、あいつから好きって言ってもらったことってあったっけ俺……いいいいいいやいや!!あるだろ!ある!!そらこんだけ長く付き合ってんだからむしろもう言われ慣れて……あ、あれ?き、記憶にないだと……?そ、そんなこたぁねぇだろ!いっけねぇまた俺記憶飛んでんのかそうかそうだなうん。
「あ?いまなんつった神楽」
 しかし振り返ったそこには定春すらおらず。薄暗かった押入れが部屋の明るさと変わらなかった。え、置いてかれた?え?泣いていいか。



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投稿日:2017/0926
  更新日:2017/0926