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数学準備室から退出し鍵をかけ身体の向きを反転させるとありえないものが凪原の視界に入った。

「こ、ども……?」

存在自体はありえなくはない。だがこの学園に明らかに通うような年齢ではない幼い少女がこちらを見つめて固まっている。
どう対応したものかと困惑するも保護しなければと足を踏み出すと少女は慌てて駆け出した。

「待ちなさい……!」

低い声が廊下に響き渡る。少女は凪原に腕を捕まれても逃げようと抵抗した。

「ここは貴女が通うような学園ではありません。なぜここにいるのですか?」

問いかけは優しいが未だに逃げようとしている少女を掴む腕は強かった。

「暴れないで下さい。ただ話を聞きたいだけです」

そう諭しても少女が大人しくなる様子はない。
仕方ないと膝をつきもう片方の腕で身体を押さえ後ろから抱きかかえる体勢になった。

「離してっ」
「やっと話してもそれですか。怖いんですか?」

腕の中で暴れながらも震える体。凪原が問うと少女は抵抗をやめた。

「怖くはありませんよ。なぜ貴方がここにいるのかはわかりませんがちゃんと家に帰りましょう」

力の抜けた体を抱きかかえながら少し落ち着くと少女の骨格が抱いていて気になった。まだ発達途上で変化していくものの自分の好みだと思いながらも体を離し自分に向かせた。

「貴方は……」

少女は戸惑っているような表情で視線を逸らした。逸らされても凝視するとやはり似ていると思う。だがありえないとすぐに否定し両肩に軽く触れた。

「職員室に行きましょう。明るい場所ですし貴女も待ちやすいでしょう」
「……はい」

抵抗する素振りもなく頷いたのを確認し立ち上がる。

「ではついてきてください」

そう告げ子供の歩幅にあわせて歩き出した。

「きゃっ……」
「どうしました?……いない?」

声が上がり目線を下げるとそこには先ほどまでいたはずの少女はおらず、周りを確認してもそこには凪原しかいなかった。

「確かにいたはず」

手を握りしめ先程の出来事を思い返す。だがいない少女。不思議に思いながら窓の外を見つめた。



H26.5.22

凪原
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