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校舎内の見回りを終えた葛葉は報告に職員室に戻ろうとした。
「は?」
懐中電灯が照らしたのは誰もいない廊下ではなくいるはずのない子供を照らしていた。眩しいのか片腕で顔を遮っている。
「女の子か?」
懐中電灯の明かりを消し近づく。
「おっと、いきなり動かない方がいいぜ。まだ目が慣れてないからな」
逃げ出そうとしてよろけた少女に慌てて駆け寄り身体を支えた。
「はい、捕まえた」
おどけるようにわざとらしく言いながら抱き上げた。驚いたのか少し暴れて落としそうになる。
「大丈夫だって。とりあえずここは暗いから明るい部屋に行くだけ。腹減ってるなら何か食わせてやるし」
できるだけ怖がらせないように言うと少女は泣きそうな顔で葛葉を見つめた。
なぜ夜の学園にこんな子供がいるのかは気になるが今聞いても答えはしないだろう。明るい場所に連れていくのが先だと歩き出した。
「しかしお前体熱いな?頭痛かったりするか?」
伝わる熱が思っていたよりも熱いと思い聞くと少女は首を横に振った。
「ならいいけど、どこか痛かったりしたら言えよ?」
小さく頷いたのを見てふと顔がある生徒に似てると思った。もしかしたら妹だろうか。ならば連絡先も職員室に行けばあるだろうし楽だが少女がまだ話してくれるとは思えない。
「お前いい足してるな。きっと大人になったら綺麗な俺好みの足になる」
軽口のつもりで言ったがふくらはぎを触れてみると気になり凝視してしまった。すると小さな笑い声が聞こえ視線を少女に戻した。
「くすぐったかったか?」
少女は恥ずかしそうに頷く。まだ戸惑ってはいるが職員室には柳もいるし話してくれるだろうと考えていると電子音が響いた。
「悪い、電話だ。降ろすな?」
そっと少女を床に降ろし携帯を取りだし液晶を確認し通話ボタンを押す。1、2分の通話を終え携帯をしまい視線を下に向けるとそこには誰もいなかった。
「どこに行った?」
辺りを見回し懐中電灯を点け近くの教室や角から先を照らしたが先程見回ったまま、誰もいなかった。
「多少は慣れてくれたかと思ったけど」
探すか迷い校舎内は広いとわかっており職員室へと足を向けた。
H26.5.23
葛葉
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