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ミズキちゃんから昨夜呼び出しのメールが送られてきた。
『明日絶対に会ってください!!』
そんなお願いを可愛い彼女からされたら断るわけにもいかないだろう。
学校からさほど離れていない場所で待ち合わせ、ミズキちゃんが来るのを待つ。
「くーぜーさぁぁあああん!!」
まだ視認できないのに声が聞こえ道の先を見ていると見慣れた姿が駆けてきた。
「若いねぇ」
呟くと程なくして目の前にミズキちゃんが到着し両膝に手をついて息を整える。
「そんなに愛しの久瀬さんに会いたかったのかな」
「はい!!」
冗談混じりに両手を広げると凄い勢いで頷かれてしまった。
すぐに鞄の中から笑顔でジャンッと言いながら箱を取り出した。
「ポッキーゲームをしましょう!」
「……ここで?」
「してください!」
一応往来の場なので躊躇う。
「駄目ですか?」
眉を下げそんな言い方をされたら揺らぐ。
「家じゃ駄目?」
「久瀬さん、普段から道端でちゅーとかセクハラしてくるのにポッキーゲームは駄目ですか?」
痛いところをついてくる。普段のはエスっ気を刺激してくるミズキちゃんの反応が楽しくてついやる。今はミズキちゃんが乗り気な状態では話は別だ。
「完全な合意だとただのバカップルだよね」
「久瀬さぁん」
犬耳と尻尾がしょんぼりしているのが幻で見えてくる。可愛い彼女にこんなお願いをされたら……とまだ一応抗ってみる。
「ちなみに何でそんなにやりたいの?」
「憧れだったんです!大好きな彼氏さんとポッキーゲームするの!」
キラキラと目を輝かせるミズキちゃんが眩しすぎて普段の俺の行動がばかっぷるに見せた彼女いじり……いやそれも端から見たらばかっぷるか。ミズキちゃんが可愛いからやるわけだし。
「わかった!ミズキちゃんの大好きな彼氏さんとしてポッキーゲームをしようじゃないか!」
そして腹をくくった。
その後やったはいいけどミズキちゃんが段々緊張しだして俺がそれを楽しみ始めてしまった。通りがかった火村に止められなかったら危なかったかもしれない。
ミズキちゃんいわく夢見ていたもの以上にどきどきしたんだとか。その発言にどきどきするあたりミズキちゃんに感化されてるのかもなと思うがそれも嬉しかった。
H26.11.11
夢見た以上のどきどき
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