ten













「──これはあくまでも例えばの話だが……、もし俺が今日ここにいなかったらお前、このサイズのケーキとチキンをひとりで一体どうする予定だったんだ?」
「? 君はちゃんとここにいるだろう」
「例えばの話だって言っただろうが。2人がかりでも消費できるか怪しいぐらいだぜ? これ」
「まあ、君は必ず帰ってくると僕は信じていたからね」
「…………折角の信用の半分を、どうしてお前はそこに置いたんだ……」
「例えばの話はもういいだろう。ほら、それよりも先に僕へ言うべき言葉があるんじゃないか?」
「……」
「ガイア?」
「…………」
「こら、目を逸らすな」
「……っ、分かった分かった、言えばいいんだろう言えば!」



「──……誕生日おめでとう、ディルック」



 練習のおかげで何とか噛まずには済んだのだけれど、その声は情けなく尻すぼみになってしまって。どうしようもない恥ずかしさがガイアの胸を蝕んでいく。
 それでもなお、その言葉の先に居た彼はといえば堪らなく嬉しそうに瞳を和らげてみせるのだから。居た堪れなさに苛まれたガイアにはもう、ディルックの用意した特大のケーキを手に慌てて部屋から飛び出すことしか出来なかった。





fin.

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最果ての惑星