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(ぬるいr18描写あり、ご注意ください。読まずにも次の話読めます)
水路の流れに逆らって中心部の方に泳ぐヤガラにもう降ろしてくれと告げる。傍らの道に近付き少しぐらつくヤガラブルから降り、飼い主になるであろう彼女の家の方へ泳ぎ出していった。自宅までもう少し距離はあるが、今の自分自身には丁度いい酔い冷ましの距離である。ゴーグルを取り後頭部を手で雑にかいた。家の方に向かう、そして営業している馴染みの店の前で一旦足を止めた。店の灯りをボンヤリと眺め、飲み直しを考えたが珍しくそういう気分にならずにそのまま通り過ぎた。大きな歩幅で自身の楽な速さで歩く、自身の靴の音も閑静な夜の街ではそれですら響いた。咥えていた葉巻を次のものに変えて、夜空を見上げれば満月に近いことを今更ながら気付く。
「ったく揶揄いやがって」
今しがたの話だ。月明かりで僅かに捉えた表情はお互いに酔っていたせいもあるが向こうはいつもよりも悪戯気であったのには気付いていた。
数年前からの知り合いではあるが、ここ最近は貸しブル屋で汚れたようなエプロンをして働いている彼女。時折仕事終わりに呑んでいたりする姿も昔から見る姿ではある。いつもは控えめに笑う姿の方が多いが、アルコールが入るといつもよりも表情豊かで楽し気にしている印象がある。ここ最近は、多少失態をしっかりと見られてしまい先週は呆れながらの軽食の差し入れをもらったところだった。
「……うめェな」
思い返せば向こうの昼飯だったのかもしれないと多少なりとも申し訳なさが残る。今更返すかと言われると出来るわけもなく、口に入るサンドウィッチの味をありがたく噛み締めていた。誰もいないと思ったガレーラの休憩スペースで偶然入ってきたタイルストンに思わず呟いたところを聞かれた事はその日の運が悪かったのだろう。意外だと目を丸くした野郎にしっかりと女もんのランチバックだかを見られ、さらに続いてきたルッチというかハットリに食われそうになるのを慌てて追払いそんな姿が珍妙だったと話は広まる事になった。
そのうち消えるだろう話題を放っておいた最中、ブルーノの酒場で彼女に出くわす事になる。先に酒の入っているやつの格好は目を引くものであった。しかし酔いの回っている状態の彼女から"露出などしていないよく見ろ"との反論を受けた。言われた通りに確認するように眺めたが、細い足首や脚に沿ったパンツスタイルは身体の線が隠れるわけもない。そして単なるTシャツとはいうもののウエストの細さや胸の膨らみだって隠れることもなく逆に強調されてしまっている、そして熱気に当てられたのか湿り気ありそうな健康的な首元も……と何気なしに確認していった瞬間に後悔をした。昼間は緩めのパンツ姿にエプロンをして髪をまとめて切磋琢磨に働く彼女は接しやすいが、今の姿は堪らない。健康的な肌の露出面積が問題がと言われると確かにカリファやどこぞのシスターズよりは少ない事は確かだ。
ただこちらを見つめてくる視線と絡み、客相手でもないためか不満さを露わにする彼女。何がどう悪いのかと形の良い口を少し尖らす姿を見てしまえばダメに決まっていた。顔に集まる熱を振り解こうと眉間に力が入ってしまう。コレをハレンチだと言わずにどう言えばいいんだとジョッキを傾ける事になる。
いつもの調子で呑んでいる中、何を思ったかオレに差し入れをしたという女の話題が出てきてしまう。収束させようという試み虚しく店内に盛大に響き渡る事になり、渦中の彼女はまさか自身のこととは知らずにケラケラ笑っていた。周りの奴らが面白おかしく話をするがコチラとしては気が気ではない。何が楽しくて本人に他者を通して知らせないとならねェということだ。ジョッキをあおりながら話を聞いていた彼女は思い当たる所があったらしく、こちらに戸惑いの視線を向けてきた。これ以上油を注ぐなとばかりの願いは通じたらしく、周囲に馴染んで笑っていた事に安堵しながらも、小っ恥ずかしい地獄のような時間は心臓に悪かった。
酔い潰れかけている彼女の友人含め退席しようとする姿、先ほどの訳もあって自宅への送りを宣言すれば目を丸くする姿があり、自身の印象の悪さを察する。昔海賊だかから構われていた時にたまたまカクが通りかかり助けただかそういう繋がりがありカクとはそこそこ仲が良い。それに比べたらオレは低評価だろう事は分かっている。
彼女は酒のせいかヤガラブルに乗り込む姿も危なっかしい、酔ってないと言うが充分に酔っている。酔っ払いの常套文句だ。先程指摘した姿を見ていられずに自身の着ていた上着を預け、水路を進ませる。女を送り届けるなんざ柄じゃねェ事は重々承知で、それを揶揄するように笑う彼女はオレが何がしてェかを察していた。笑いながら話を出してくるやつに、返しあぐねていたランチバックをようやく返す事が出来た。昔からだが、今更ふと彼女の丁寧な喋り方は気になり、年齢を問えば失礼だと文句が飛んできた。
「なんで黙ってんだ」
「はぁ……パウリーさんと同じ歳ですけど、もうそろそろ自ら年齢は言わないお年頃なんですよ」
渋々と言った表情で白状して、盛大な溜息を吐きながらガレーラカンパニーの人は人気だから馴れ馴れしくするとうんたらかんたらと抜かしているがオレは知っている。
「オマエが、」
「私が?」
「いや、いい」
ヤガラブルから手を出して指先だけ出して水を触るオマエが言うのかのか?という言葉を飲み込んだ。彼女の昔の職場は食堂だった事も知っている、気さくさあって看板娘だかだと言われていた事もだ。ガレーラの奴らの一部がてめェ目的で通ってた事も知っていたりするが今言いたくはなかった。そんな奴が裏町方向に呑気に住んでいる事も引っかかるが、安いという理由を言われると自身の懐事情も合間ってそれ以上言うこともない。けれど呑気にこの時間帯まで飲み歩き、ヤガラブルだから見送りなんて必要ない大丈夫だというこの女には苛立ちを覚えた。
「ありがとうパウリー」
海辺に浮かぶ家に着き、羽織っていた上着を返してくる彼女。先程まで"さん"付けをしていたわけだが、促す事でそれをとられた瞬間に響きが変わった気がした。ふらつきそうな彼女をヤガラブルから降りる際に手を貸せば、少し驚いたような表情をしている。どうせ似合わねェとかそういう事でも考えているのであろう、所々失礼な女ではある。けれど今まで与えられた気遣いなりは助かっているところもあり、またメシが美味かったり、こうして控えめに頼って触れてくる手が小さく柔らかかったり、気付けば名前を呼んでいた。
らしくねェ、なんだこの空間と言葉が出ない静寂さの中、この前の軽食の感想の一言は主語もなしにでも伝わったようで胸を撫で下ろした。ヤガラにオレを送れと指示をする姿につい要らないと言えば背後が海のような水路である事を指摘されててしまう。それに気付けば目の前の彼女は声控えめにして笑っていた。
「泊まる気だった?」
そんな気もねェのを知っている上で飛ばしてくる扇情的なセリフ。思わず言葉を詰まらせるオレをヤガラブルに押し込む。向こうのしてやったり感がしっかりと伝わってきて、これ以上何を言っても揶揄われるだけだと気付いた。
「……本当ありがとう、嬉しかった」
「別に送るなんざ大した事してねェよ」
夜風に流れる髪を手で抑えつつ屈託ない笑顔で二度目の感謝の言葉を告げられて、思わず目線を背けた。さっさと家入れと言えばそうさせてもらうと笑っていた。
アレくらいの揶揄いであればここ最近の周りの奴らからのものに比べれば鬱陶しさはない。しかしながら、先程のどこかいつもとは違う雰囲気だけは頭にこびりついて離れない。そんな中たどり着いた自身の家。
「ッ」
自身の上着に微かに彼女の香りが残っている事には気付いていた。石鹸のような清潔感ある香りに、香水か何か甘さが混じったような身の回りにはない香りでやたら鼻につく。通常身の回りにあるような汗臭さとは程遠い香りに目眩すらする。本当に柄にもねェ事をするもんじゃねェと今までにない香りを放つ上着を脱いだ。後悔するのは分かりきった上で上着を傍らにおいてカチャカチャとベルトに手をかけた。
灯りも付けずに暗い部屋の中、衣擦れの音が響く。全て酒のせいだと言い訳一つ頭に浮かべて、股間に手を伸ばした。下着の中では中心部がガチガチに勃ちあがってしまって窮屈で仕方がなく、その熱を吐き出そうと慣れた手つきで握る。既に血管が浮き出るほどに硬くなり、握った手は止まらなくなる。
「く……ッ」
頭に浮かぶのは先程の彼女の姿で、よく言うハレンチな格好をしていたとかそういうものだけではない。柔らかいあの手でこうされたりだとかそんな事をつい考えてしまった。自身の手なんかでは得られない満足感を得られそうだとかそんな不埒な事が浮かぶたびに申し訳なさしか出てこない。それとは裏腹に、扱く先端からは透明な体液が溢れ出てくる。それを潤滑液のようにしながらの欲望の吐き出しの行為。
酒が入っているから、溜まっていたからだと言い訳ばかりを並べながらも上下に動く手は止まらない。ただあの悪戯気に笑う表情を崩したら、を想像するだけで今直ぐにでもはち切れそうになる中心部。膨張してしまった欲望に勝てる手立てが見つからずただ吐き出すところまで従うだけだ。
汗ばんでいそうだったあの肌に触れたら、あの腰を撫でて、はたまたあの胸の膨らみを露わにさせたらどんな顔を見せるのだろうか。普段落ち着いている声ももしかしたら少し高く鳴いてくれるのだろうか。想像の中の彼女は淫靡であり、受け入れるように名前を呼んで手を伸ばしてくれる。なんつー、ひでェ幻覚だと自身でも分かっている。しかし止めることも出来なく脳内では忙しくそのような不埒な考えが浮かんでは消えるを繰り返す。先程無垢な笑顔でただ感謝を伝えててきた彼女までを汚してしまうとかあってならない筈だ。けれど止まらない、例えば先程揶揄われた泊まっていくつもり?という扇動の言葉だけにでものってやればあの悪戯気な表情も崩れたのかも知れない。照れるのか怒るのか戸惑うのか笑い飛ばしてくれるのか、それとも手を取ってくれたのかと想像だけは巡ってしまう。いずれにせよすげェ可愛いだろうと、と浮かんだ瞬間に沸騰しそうなほどに熱が上がった気がして酷く戸惑う。
「ッ…ちげェ……って」
慌てて吐いた苦し紛れの言葉、自身らしくねェ。今何を想像して、そして何を思ったのかという戸惑いと罪悪感に押しつぶされる。自然と荒くなってきてしまっている息を整えたいが与えている快楽に逆らう事なく握った手は動く。アレでいてなんだかんだで優しい奴だからもしかしてこうして扱いてくれたりとか都合よく想像ばかりが巡る。迫り上がってきた熱に身を任せて解き放てば溜まっていた温かいものが吐き出された。下腹部を汚しそうな勢いに先端を押さえるが指の間から溢れる白濁液に顔を顰めた。気持ちワリィと近くにあった拭くもので惨めにも処理を始めれば罪悪感しか残らなかった。
知り合いで抜くもんじゃねェ、こんなんでは次に顔を見た時にどんな顔をすれば良いかわかんねェじゃねェか。会えば穏やかに挨拶してくる彼女を好き勝手に汚してしまった後悔に胸を痛ませながら、次会った時にボロが出ないようにしねェと頭を悩ませる事になった。そんな真夜中の出来事は誰にも知られる事はなかった。