どちらがお好き?
男女の違いというものは必ずしもある。お互いに思う事は多々あるだろうし、所謂萌え的なポイントは違うのも理解出来る。理解出来ようが出来ていまいが、個人の趣味嗜好でありあまり指摘はしていけないとは思うのだ。
どこかの男が仕事終わりに背伸びをした。鋭さのある目つきも意外と良く見れば整っている顔立ちだけれど、その雰囲気と金遣いの荒さに隠れている。職人気質なところは好ポイントでもあるけれど、人様に時折ハレンチだと指摘して逆に恥ずかしくさせるところはマイナス点だ。
「なぁ、そのよ」
目線があさっての方向にいったり来たりしているパウリーの言葉を待つ。何となく言いたい事も分かるけれど、はいはい分かってますよとイイ女の様に全てを察してあげる優しさは要らないと思っている。だからこそ素知らぬ顔をして次の言葉を促すような視線を向けた。
「その今日うちこねぇか?」
「…そうですね、その…下心は」
「…あるに決まってんだろォが」
語尾は文句あるかとばかりにも聞こえる不躾さに苦笑いする。数日前から、一ヶ月以上してねェとかその付き合ってなくてもだな…おれ達はよォ…云々の言葉を口にしていた。時折気分で膝丈のタイトスカートにするだけで、朝一からハレンチだと反応するのにも関わらず、致す事は嫌いではないらしい。それとこれは別だという判断基準に戸惑う点がある。とりあえず予想されるハレンチがどうからしい。
先日は女子社員同士の飲み会、また昨日は溜まっている本を読みたいとかで数日断った。断る言い訳が今夜は思いつかなかった。でもこちらとしても色々思うところはある。とにかく身体がもたないからだ。お預けがなんだかんだと騒ぐパウリーだけれど、多少は自分のせいだとも察して欲しい。前もって一回だけだからねと私は何度も訴えたのだ。
薄暗い中の攻防戦も目が慣れてくれば色々が分かるもの。人の身体の上に覆い被さり、両手で胸の上の脂肪を悦んでもて遊んでいる。時折口でも好き勝手に楽しんでの行為、最初は耐えていたけれど口を抑えるようになったのはすぐの事。そしてちょっとしつこいと胸元の光景に少し苛立ちのようなものを抱いて、そして聞きたいことが浮かんでしまった。
「っとに…」
「なんだよ」
「っパウリーって、胸好きだよね…!?」
「なっ、」
含んでいたところから口を離して、私の指摘にキッと釣り上がった目で見下ろす。真っ赤に顔を染まるのが間接照明が照らす室内でも分かる。今更の指摘にそんな反応にならなくてもと思うけれど、そこそこの図星であった事は確からしい。
「…尻も好きだッ」
口を開いたパウリーは恥ずかしがりながら性癖を白状する。そして無骨な指が腹部から臀部に流れる様に移動し、そして撫でまわすような手つきに歪みそうな口元に手を当てた。いやいや待って、何でそれ言ったの?とどこか間抜けな告白が私のツボに入ってしまって、何で笑ってんだと怒られるまであと数秒。