「きす」
「い、ぶちゃ…ん」
続かない息の合間に彼の名前を呼べば、もう何十秒もくっついていた私の唇と彼の唇がようやく離れた。
「…イブちゃんのキスながい」
「えぇ、ナマエが息続かなすぎなんじゃない?」
「キスしてる時に息なんてできないよ」
「鼻で息できない?」
「…そんなに器用じゃない」
んは、と吐き出すような笑い声。
「じゃあ練習しよ」
「キスに練習もなにも…ぅん"〜」
頬をしっかりと両手で包まれて、イブちゃんの顔が降ってくる。押し付けるような、でも慈しむようなそれに思わず力をぬけば、すかさず私の口を彼の舌が掬った。耳も口も塞がれて、目だって恥ずかしくて開けられない。全部が塞がれたそこでたったひとつ、イブちゃんの存在だけが私の中で際立った。
だんだんイブちゃんの手が耳から外れて背中に降りて、腰まできてぎゅうと抱きしめられる。あまいあまいこのキスも、友達に戻れないんだなって思ったら、少し寂しい。