ホットケーキB−Sanji−


余ったホットケーキを冷凍していたら。

「マナちゃん」

突然サンジくんが改まって声をかけてきて、少し身構える。
「なあに?」
「あのさ、管理人の赤髪とマナちゃんって、どういう関係?」

来たか。
誰もが一度は聞いてくるこの質問。

「うーん、一言で表すのは難しいんだけどね…」

この反応で諦めてくれるといいんだけど。

「…マナちゃんにとって、赤髪はなに?」

難しい。
ものすごく難しい問いだ。

「…私は、兄のようなものだと思ってるよ」

嘘は言っていない。

「…それだけ?」

正しく言うとそれだけではないんだけど、
そこに踏み込むと、私がこの物件の大家だとか、それ以外の諸々を話さないといけなくなる。
正直それは、出来るだけ避けたい。

「…それだけ」
「…そっか」

サンジくんの顔には、話してくれないんだね、というメッセージが張り付いている。
私も、ごめん、というメッセージを張り付けて、目を見つめ返した。

「何か飲むものいれる?」
「いや、もう店行かなきゃならないし、遠慮しとくよ」
「そっか、お仕事、頑張ってね」
「ありがとう」

少し愁いを帯びたままの背中を見送っていると、入れ違いにサボが入ってきた。

「サボ、もしかして聞いてた?」
「ま、みんな一度は気になるだろ」
「…そうだよね」

サボは、私が倒れた時に、きっと感づいている。
シャンクスと私が、ただの仕事上の付き合いではないことを。

「オレも、本当は詳しく知りたい」

サボの目がまっすぐ私を射抜く。

「…今日は、知りたがりさんに捕まる日だなー」
「マナ」

見逃して、もらえなさそうだ。
でも、2年前から、ずっと知りたいのを我慢してきたんだろう。

いいか、サボになら。


「わかった。でもここじゃ話せないから、」
「なら、オレの部屋に来るか?」
「…それはちょっと。外に出るのは?」
「外は外で、誰かに聞かれる可能性はゼロじゃない」


それはそうだけど。
それなら。

「わかった。じゃあ私の部屋にしよう。散らかってるけど」
「ああ」



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