シフォンケーキB−Zoro−
朝起きてスペースに向かうと、その前の廊下にかがみこむ人影が。
「おいサボ、なにやってる」
振り返ったルフィの兄貴は口元に人差し指を当てて手招きをする。
「諜報活動だよ」
「あァ?」
「ちょうど今お前の話題だ」
スペースの中からは女共の声が漏れている。
「マナ、ゾロはどう?」
「うーん、九州男児だよねえ」
「俺についてこい!みたいな?」
「そこまで言うと大げさだけど…夜一緒にお酒飲むのは楽しいよ」
「一番鍛えてるのはミスター・ブシドーよね」
「ビビその呼び方いいかげん辞めたら?」
「頼りがいがありそうよね」
「そう…だね。なんかこう、人としてまっすぐというか」
なんだこの会話、と思いながらサボを見ると
「マナの彼氏に誰がいいかの話だ」
と涼しい顔してやがる。
廊下の壁に背中を預けて隣り合って座る。
「お前ェも挙がってんのか」
「ああ、そうみたいだな」
女共の話題は隣のこいつに移っている。
「サボは?一緒に遊園地行ったんでしょ?」
「ああ、それは前からたまに行ってたの。最近はなかったけど」
「一番長い付き合いなんだっけ?」
「そうね、入居年数で行けばビビより長いかな」
「でも彼、割と細身じゃない?」
「ビビさっきから結構カラダにこだわるね」
「えっそんなことないわよ!」
「まあ彼氏があのコーザじゃねえ」
「そうね、仕方ないわね」
「んもう、やめてよみんな!」
話題の中心人物に目をやれば、眉間に寄せたシワ。
ひとしきり笑い声が上がる。
「でも」
その中からマナの声。
「サボはそんなに細身じゃないと思う」
「え?」
「あ、見たことも触ったこともないけど、たぶん、かなり鍛えてると思う」
「どうしてそう思うの?」
「潜入アトラクションですごい動きをするの。細身じゃないと思うし、ちゃんと頼りがいのある男の子だよ」
ちらりと隣に目をやると。
手で口元を覆い、顔を赤くしている近所の住人。
「ずいぶんな高評価で良かったじゃねェか」
「ああ、そうだな」
「…惚れてんのか」
「…そっくりそのまま返すよ」
付き合いの長さはこいつの半分にも満たないが、そんなことはどうでもいい。
重要なのはあいつがオレにとって何なのか、だ。
「あァ、惚れてるよ」
「奇遇だな、オレもだ」
相手が同じタイミングでニヤリと笑ったのがわかった。
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