SKIT


この街いったいどうなってんだ
ユーリ「魔物が来た途端に結界が消えるって、この街いったいどうなってんだよ」
カロル「生まれた時からダングレストにいるけど、こんな事ボクも初めてだよ」
リタ「その初めてが、なんであたしらが来た時に起こるのよ!」
カロル「ボクに聞かれたってわからないって」
ハルカ「ユーリってほんとになんか憑いてるんじゃないの?死んだ元カノとかストーカーの生霊とか」
エステル「や、やっぱり本当に、何かユーリに憑いて……」
ハルカ「うわ、怖っ」
ユーリ「おいおい、本気にしてんじゃねぇよ」


フレンは何をしに?
カロル「そういえば、フレンは何をしに、ダングレストまで来たんだろうね?帝国とユニオンは基本的に仲悪いから、騎士が来る事なんて滅多にないのに」
ハルカ「ただの観光って訳じゃないね。なんかの任務である事は確かだと思うよ」
エステル「フレン、大丈夫でしょうか?ギルドの人達の風当たりは強かったみたいですし……」
ユーリ「その程度でつまづくほど、あいつはデリケートには出来ちゃいねえよ。なんせ騎士になるまで下町で育ってきたんだからな」
エステル「そうだといいんですが……」
ハルカ「ま、大丈夫でしょ。アイナとユーリが信頼してる人だし」
ユーリ「だから、他と比べて信用出来るのは比較の問題だって言ったろ?」
ハルカ「あたしは人として、って意味で言ったんですけど?そのくらい態度でわかるって。素直じゃないねぇ、お兄さん」
ユーリ「うっせ……」


マジ胡散臭い
リタ「改めて言うことじゃないけど、おっさんマジで胡散臭いんだけど」
カロル「どこまで一緒に来るつもりなんだろね。この森を出ても一緒に来たらどうする?」
ハルカ「やだ、不吉な事言わないで!言ったらほんとに来ちゃうかも知れないじゃん!」
エステル「ハルカ、本人を目の前に容赦ないですね……ちょっと、わからなくもない気もしますけど」
ユーリ「とか言われてるけど、他にもなんか答えられる事ねぇのか?」
レイヴン「ん?そりゃどこまでも付いていきますよ。それと森に来た理由は、愛しのアイナちゃんのためって言ったでしょ?」
リタ「はぁ?」
レイヴン「ん?おっさん、なんか変な事言った?」
ユーリ「とりあえず殴っていいか?おっさん」
レイヴン「え、なんで!?」
ハルカ「あたしも一発殴りたくなった」
リタ「あたしも」
カロル「なんと言うか……ほんとに、胡散臭いね」
エステル「……ですね」


抜け道の達人
カロル「もぉ……こんな所、早く出たいのにぃ……」
レイヴン「そう焦んなさんなって。ゆったりまったり行きましょうって」
リタ「あんたみたいに安穏とした生き方してないのよ」
レイヴン「人生ってのはこの森みたいなもんよ、曲がりくねって、絡み合い……ああ、この森落ち着くわぁ」
ユーリ「馬鹿はほっといて行くぞ」
レイブン「話は最後まで聞いてよ」
ユーリ「んで、その人生って名前の森ん中で今も迷い中って言いたいのか?」
レイヴン「おろ、わかった?」
エステル「それ以前に今、私達もこの森の中で迷ってるんです……急いでるのに」
レイヴン「それじゃぁ、人生の迷い道を幾度も抜けてきた達人の俺様がだなぁ……おい、待て、聞いてってってば」
ハルカ「うるさいな。アイナにこれ以上無理させないために、急ぐ必要あるってあんたが言ってたんでしょうが!あんまり無駄口叩くと、あんたの男の象徴蹴って使えなくするよ!」
レイヴン「ひっ……ご、ごめんなさい、おっさんが悪かったです……」
ハルカ「わかってくれたんならいいです」
レイヴン「ねぇ青年、同じ男として今のは酷いとか思ってくれたりは……」
ユーリ「自業自得だな」
カロル「だね」
レイヴン「ですよね〜……」


おかえり
ハルカ「アイナ、ラピード、おかえり〜!あと、お疲れさま」
ラピード「ワウ、ワン!」
アイナ「ありがと、ハルカ。ただいま」
ユーリ「それにしても、アイナが言ってた天を射る矢(アルトスク)とのちょっとした縁って、メルゾムの事だったんだな」
カロル「え、ユーリも知らなかったの?」
ユーリ「いや、メルゾムとは面識あるんだけど、そのメルゾムが天を射る矢だとは知らなったんだよ」
アイナ「あれ?ごめん、言ってなかったっけ?メルゾムがシゾンタニアに居たのって、私を守るためだったらしいの。助ける時に父と協力して、乗りかかった舟だからって。メルゾムはドンに詳しい話をしないでギルドを抜けようとたんだけど、なんとなく察したらしいドンが部下を数人付けてくれたんだって」
ユーリ「なるほどな。つまり、メルゾムに部下を付けてくれたドンにも恩があるって考えて、黙って恩返しに行った訳だ、お前は」
エステル「それならそうと先に言ってください。すごく心配したんですよ。特にユーリが」
リタ「そうよ。犬まで付いてっちゃったから、なんかしょぼくれてたんだから」
カロル「なんか魔物に八つ当たりしてたしね」
ハルカ「寂しいですって背中に書いてあったし」
ユーリ「しょぼくれてねぇし、八つ当たりしてねぇし、背中に寂しいなんて書いてねぇよ」
リタ「え、あんた自分の背中見えるの?」
エステル「戦い方もいつもより荒かったですし」
カロル「なんとなく雰囲気沈んでる感じだったしね」
ハルカ「みんなに見破られるようになってきたね、お兄さん。いやぁ、うける」
ユーリ「……もう、なんとでも言ってくれ」
アイナ「なんか……ごめんね、ユーリ」
ラピード「ワフゥ……」
ユーリ「いや、お前らが無事ならそれでいいよ……」


どこまでも胡散臭いレイヴン
カロル「それにしても、レンヴンが天を射る矢(アルトスク)の一員だったなんて」
ハルカ「見た感じドンとも親しいみたいだったね。もしかして結構重要ポストなんじゃないの?」
カロル「う、うん……信じられないけど、たぶん天を射る矢の幹部クラスだと思うよ。天を射る矢の一員で街を離れて仕事するのは、ドンに信用された一部の人間だけだから」
リタ「あんなおっさんがねぇ」
エステル「人は見かけによりませんね」
ユーリ「ますます胡散臭くなっただけだったな」
アイナ「いや、でもメルゾムがすごく信頼してたくらいだから、仕事が出来て強い人のはずだよ?幹部クラスにもなると思うな」
レイヴン「ずっと酷い言われようだったおっさんを褒めてくれるなんて……アイナちゃんマジ天使!」
カロル「ごめん、蹴っていいかな。ボク、なんか今イラッとした」
エステル「すみません……私も今ちょっとイラッとしました」
レイヴン「え!?」


ドン・ホワイトホース
ハルカ「ユーリはドンと手合わせしてたけど、アイナはしなかったの?」
アイナ「したよ……負けたけど……」
ユーリ「オレもまさか、あんなじいさんに負けるとはな……」
カロル「ふたり共ドンに勝つつもりでいたの?無理だよ、いくつもの武勇伝を持つドンだもの。勝てっこないって」
レイヴン「そうそう。ピンシャンしてるだけでもよかったわよ。もうおっさん、ドンとやり合うって聞いただけでドギマギものだったもの」
ユーリ「なんでだよ」
レイヴン「ドンとやり合った若いもんは大抵、あばらのほとんどをボロボロにされてしばらく起き上がれなくなるのにさ」
ハルカ「しばらく起き上がれなくなるどころの話じゃないよね、絶対安静のやつだよね、それ」
ユーリ「どこの乱暴者の話だ、それは」
レイヴン「いやいや、ほんと。じいさんの機嫌がよくて助かったね」
ハルカ「機嫌が悪いとどうなるのか怖くて聞きたくないわ……」
アイナ「ドンの武勇伝って、例えばどんな?」
カロル「若い頃には一人でギザギザ甲羅の魔物トータスをまとめて百匹、倒した事もあったらしいよ」
レイヴン「それにダングレストの結界魔導器(シルトブラスティア)、あれ倒れそうになったのを鎖引っ張って一人で直したって伝説もあるわよ」
ユーリ「そりゃ、化けもんだな……でも、ま、いつか勝てるさ」
アイナ「そうだね、いつかきっと勝てるよね」
カロル「まだ勝つつもりでいるよ、このふたり……」
レイヴン「あのカップル、ほんとは負けず嫌いなのね」

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