I want to be ...
シンプルな家具しか置いていない部屋に男はベッドに寝転がりながらゲームをしており、またそのベッドの縁に寄りかかりながら本を読んでいる女がいた。「Men always want to be a woman’s first love.」
「…は?どうしたの?」
突然本を閉じた女はぼうっとしながら独り言をポツリと呟く。
男は女の最初の最初の恋人になりたがる、とい独り言にベッドで寝転がっていた男は思わず反応して固まっては女の方を顔を向けて問いかけた。
「んー…突然偉人の名言を思い出しただけ」
「オスカー・ワイルドの名言だっけ?」
女は男の問い掛けに部屋の天井を見上げながら言葉を返すと男はゲームをやっている手を止めてふと偉人の名前を出す。
「そうそう。でもさ…これって本当なのかなぁ〜と思って…カルマはどうなの??」
「さあ…どうだろうね?」
女は男の出した偉人の名前に肯定して不思議そうに男…カルマをちらっと見ては男の心理としてどうなのか気になった女は問いかけるが、カルマはふっと不敵な笑みを浮かべて首を傾げては曖昧な答えを返すだけだった。
「そう、誤魔化すの…」
「そういうなまえはどうなの?」
女は予測していたのか少しつまらなそうな顔をして言葉をこぼしているとカルマはなまえに問い掛け返した。
「へ…?」
「名言には続きがあるじゃん。実際は…Men always want to be a woman’s first love,Women like to be a man’s last romance…でしょ?」
なまえはまさか問いかけ返されると思っていなかったのか。素っ頓狂な声を上げて首を傾げる。アホ面を見つつも、カルマは名言の続き…否、最初から言った。
――男は女の最初の恋人になりたがるが、女は男の最後の恋人になりたがる。
カルマはこの後半の部分、女の心理をなまえに問いかけたのだ。
「どうなのって言われても…そんなの分からないし…」
彼女にはカルマが自分に何を言わせたいのかが分かっているのだろう。
彼の目を合わせないように逸らしながら言葉を濁す。
「ふーん、分からないんだ?じゃ、俺は繋ぎってこと?」
「え!?そ、そんなこと言ってない!!…あ、」
カルマは彼女の様子を見て残念そうな素振りをしながら、悲しそうに言葉を紡ぐとまさかカルマからそんな言葉が出ると思っていなかったらしい。なまえは驚きの声をあげてすぐ様否定をした。
この時点で彼の術中にハマっている。しかし、彼女が気づいた時にはもう遅かった。
「じゃ、俺の最後の恋人でいたいの?」
「……いーわなーい」
カルマはニヤニヤしながらなまえに顔を近づけて問いかけるが、彼女は最後まで折れたくないのかぷいっと顔を背けた。
「へえ、そんな事言っていーんだ?」
「……。」
不敵な笑みを浮かべながらカルマの立場の方が優位だからか余裕そうにしているとなまえは黙って彼の顔をちらっと見る。
「ほら、答えてよ」
「…半分正解で半分不正解」
そろそろ折れるだろうとカルマは思っていたのか彼女の頬に手を添えて答えを催促すると答えることを渋っていたなまえはやっと言葉にして答えた。
「……どういうこと?」
「……I want to be your first and last lover.」
カルマは自分が思っていた答えと違う答えが返ってきたのだろう。
眉間に皺を寄せて首を傾げ、彼女に問いかけるとなまえはカルマの首に手を回して抱きしめて耳元で"私はあなたの最初で最後の恋人でありたい"、と囁く。
まるで、仕返しのように不意打ちで。
「っ、…!」
「…これが最適解だよ」
彼女の予想外の答えと行動にカルマは驚き、いつも余裕そうにしている彼の頬が少し赤く染まった。
ゆっくりと耳元から口を離すとカルマの顔を見ながら満足そうに微笑みながら言葉を紡いだ。
「なまえ…それ、反則」
「ふふん、反則でもいいの。本当のことだから」
カルマは少し不貞腐れた顔をして文句を言っていたが、まだ顔が火照っているせいかあまり怖さを感じることはない。
なまえが幸せそうに微笑みながら言葉を更に紡ぐとカルマは彼女の唇に深い口付けをしたのだった。
男は女の最初の恋人になりたがるが、
女は男の最後の恋人になりたがる。
――でも、私はあなたの最初で最後の恋人でありたい――