小ネタ帳

此処は、お話に昇華出来なかった小ネタや、これからお話に昇華するかもしれないネタ達を書き留めた、所謂ネタ置き場です。主に、管理人の覚え書き処。名前変換物は*で表記。鍵付きについてはインフォページ参照。


▽螢火が灯る。

初・夏目夢ネタ。
企画サイト「Remedy」様の夏の季節ネタ企画に参加した後、ちょっと勢いで書き出してみたものの力尽きて頓挫したお話なう。
オチは夏らしく蛍を見に行く予定にするつもりだった。
↓以下、本文。


【追記文】

俺の同級生に、一人、躰の弱い女の子が居た。
その子は、俺と同じで普通の人には見えないものが見える質の子だった。
俺程しっかり妖が見える子ではなかったけれど、見える程度は田沼や多軌よりははっきりと存在を認識出来る様で、彼女が体調を崩しやすいのも、その妖達の強い気や瘴気に中てられての事だった。
彼女の名前は、****。
俺と同じクラスの女の子であった。
転校したばかりの初めの内は何も関わりが無い関係で、彼女の事はただのクラスメイトの一人という認識だった。
関わりが薄かったというのも、彼女との接点が其れまで無かったというのもあるのだが、何よりも、彼女がよく学校を休んでいて顔を合わせる事が少なかった、というのが正直なところだった。
初めに前述した様に、彼女は生まれつき躰が弱く、よく体調を崩しがちで、学校へ来るのも時々でしかなく、そのほとんどが保健室登校になっており、教室で会えるのはほんの一握りという程でしかなかった。
其れも、彼女の調子が頗る良いという時でしかなくて、基本的には何時も彼女の席は空席となっていた。
なら、何故そんな彼女と友人関係を築けたのかというと…きっかけはやはり、俺のこの妖が見えるところにあった。
偶々、彼女に憑きそうになっていた悪い妖を間一髪のところで追い祓うという事件があり、その事があって以来、彼女は同じ妖怪が見える者同士として仲良くしてくれているのである。
他の友人には、この事は内緒にしてある。
どうしてかと言われると、其れは、“他の人達には見えないものが見えるんだ”なんて言ったら、何時かの様に気味悪がられて避けられてしまうかもしれなかったからだ。
せっかく出来た数少ない友人に嫌われるのも避けられてしまうのも悲しかった俺は、其れが怖くてずっと言えないままでいる。
でも、そんな俺に、友人の西村や北本達は深くは訊かずにいてくれる上に、何かあったとしても変わらず優しく接してくれる。
俺は、そんな友人達を大切に思っているし、この関係を崩したくないとも思う。
其れは、俺だけじゃなく彼女の方も同じだった様で、俺を通して仲良くなった北本達に妖怪が見える体質の事は話さなかった。
彼女が俺と同様に見える人だというのを知っているのは、元々俺が見える人間だというのを知っている田沼や多軌だけだ。
幼い頃から妖のせいで躰を壊していた彼女は、よく田沼の寺に世話になっていたらしい。
なので、田沼と彼女は元から顔見知りだったそうで、妖に襲われかけた一件以来より一層親交が深まって、今や俺と同じくらいの仲になったそうだ。
話は全く変わってしまうのだが、そんな彼女は、意外な事に妖に対して好意的で、俺が低級共と仲良くしている話を聞くと何時も羨ましげに笑っていた。
低級共と言えども、彼女は生まれつき障りが出やすい質だった為、気安く妖達と触れ合えないのを残念がっていた。
妖怪達のせいで躰が弱い事を恨んではいないのか、と以前訊いた事があったが…その時、彼女はこう言った。
“彼等が悪い訳ではないよ。生まれつき私の躰が弱いだけで、何も恨んでなんてないよ。”…と。
彼女は、妖怪達と友人になってみたいのだ、とその時に教えてくれた。
すぐに障りが出て体調を悪くしてしまうけれど、人間の友達は数えれる程にしか持てないから、と。
少し寂しそうに話していた。
確かに、躰の弱い彼女は、よく学校を休みがちになっていたから、学校における友人というのは作りづらい環境であった。
体調が良くて登校出来ても、そのほとんどが保健室登校なので、クラスの皆とも顔を会わせる機会が少ない。
其れ以外は、基本的には家で療養してばかりらしく、俺や田沼達と友人になれたのは幸運だと言って嬉しそうにしていた。
そんな家に籠ってばかりで寂しそうにする彼女を、少しでも元気付けてやれないかと思った俺は、先生に相談してみた。
先生というのは、祠に奉られていた招き猫を依り代にする妖怪であるにゃんこ先生の事だ。
本来の姿は、斑と言って、凄く大きな妖なのだが、普段は白くまんまるいフォルムのドデカいにゃんこ姿をしているのである。
俺の祖母、夏目レイコの持っていた友人帳に纏わる事により、ひょんな事から一緒に暮らす様になった大切な存在だ。

2020/09/25(19:34)

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