小ネタ帳

此処は、お話に昇華出来なかった小ネタや、これからお話に昇華するかもしれないネタ達を書き留めた、所謂ネタ置き場です。主に、管理人の覚え書き処。名前変換物は*で表記。鍵付きについてはインフォページ参照。


▽『何処にでも居るような私達の出逢いの話。』のその後ネタ。

以前書いた、『何処にでも居るような私達の出逢いの話。』の続編となる予定だったお話(書きかけ途中で断念)。
▼以下、追記より本文。


【追記】

 あの後、帰宅してから色々とゴタゴタがあって結局連絡するのを忘れてしまっていた。
 ……が、翌日の朝、起きて朝飯を食べている時の事である。
 朝飯よりも先に洗濯の用意に取り掛かっていた母が、ふと声をかけてきたのだ。
「あら、このハンカチ洗濯するとこに出されちょったけど、誰の?」
「うん? あー、其れ……私が昨日ハロワから帰ってきてから出したヤツやね」
「え、アンタのなん。でも、アンタこんなハンカチ持っちょったっけ?」
「其れな、昨日偶々逢った通りすがりの人が親切にしてくれた時に“使ってください”言うて貸してくれた物なんよ」
「あらまぁ。そら良い人やったんやなぁ。こんな良いハンカチ貸してくれるなんて、気前良い人やわ」
「え…っ、どゆ事?」
「あら、アンタ分からんかったんな? このハンカチ、生地も良いヤツで綺麗な刺繍もされちょるヤツやから、どっかお店に売っちょるブランド品か何かのハンカチよ?」
「うっそぉ……」
「嘘やないて。ほら、よく見てみぃ。ちゃんとした作りした物やろ? 此れはやっすいとこで買ったんヤツと違うで」
「マジで…? 私、昨日、このハンカチ貸してくれた人に“百均とかで買ったやっすいヤツなんで、良かったらそんまま貰ってってください!”とかって感じに言われて渡されたんやけど……」
「そら、わざわざ返す手間とか作るんが面倒やったけんの方便やな」
「ほあ…っ、マジかぁー………」
 どんだけ良い人やねん。私は全く思い至らなかった事に気付かされて頭を抱えた。
 母はそんな私を視界に入れ、「ちゃんと御礼しなね、その人に」と告げて、洗濯する為の準備に戻っていった。ハンカチは、ご丁寧にも手洗いで洗ってくれるとの事らしい。
 乾いたら丁寧にアイロンを掛けて畳み、何か丁度良い感じの袋に入れて保管しておこう。

2022/06/26(08:49)

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