嘗て昔の記憶である。
あれは、確か…今よりウンと小さく幼き歳の頃だったと思う。
ピアスだなんて言う耳飾りを付けるにはだいぶ早過ぎる上に、そんな大人が身に付けるような代物を何でこんなにも幼い歳の私なんかに付けさせるのだ、と。
子供ながらに疑問に思い、そして、拗ねたように口先を尖らせて不満を露にさせていた事を、強く憶えている。
子供が付けるにはマセ過ぎた、じゃらじゃらと重い其れを何の前触れ無く私の片耳へと付けた母は、邪魔そうに手で払い除けようと触る私を見て、微笑みながら言った。
「…此れは、貴女を守ってくれる御守りよ。貴女が何時か恐ろしいものから襲われてしまった時に、その邪となる悪しきものから貴女を守り祓ってくれる力を持った物なの。ただのお洒落をする為の耳飾りではないのよ…。此れは、魔除けの御守りなの。だから、貴女が大きくなって大人になっても、ずっと肌身離さずに身に付けているのよ…?そしたら、きっと貴女は怖い思いなんてせずに居られるから。…貴女は、私とあの人との子だから…哀しきかな、どちらの血も引いて受け継いでしまってるから、きっと将来、貴女は怖い思いをしてしまうわ……。例え、其れで私達が貴女の前から居なくなってしまう事になっても、此れさえ付けていてくれれば、貴女だけは守り通す事が出来るから…っ。…この耳飾りにはね、母さんとあの人の力を込めて創ってあるの…。だから、貴女の身に危険が振りかかろうとも、絶対に貴女の身を守ってくれるわ。そういう術式が…加護が、此れには掛けてあるからね。絶対に肌身離さず付けていて………。此れは、母さんとの約束よ、良いわね?」
その時、愚図る私を宥めすかすように、そう母は言った。
母が言う“あの人”とは誰の事なのか。
どうしてそんなにも必死になって口にするのか。
幼き頃の私は、解らない事だらけだった。
だけども、今になれば、母が言っていた“あの人”とは、きっと私の父に当たる人の事を指していたんだろうと思う。
ウチの母はシングルマザーだったから、所謂、母子家庭という環境で私は母の手一つで育てられた。
だから、私は、父という存在を知らないし、逢った事など一度も無かったのである。
何時別れたのか。
私が物心付く頃には既に、私の元には母しか居らず、父の存在は居なかった。
故に、想像でしか物を言えないが…きっと、私が産まれて間もない僅かな期間しか、父は側に居なかったのだ。
もしくは、その僅かな期間しか“居れなかった”のかもしれない。
今もその私の父とされる人が、生きているのか、死んでいるのかは解らない。
…だが、とにかくそんな事があって暫く経った後、忽然と姿を消した母は居なくなってしまった。
此れは恐らく断定的…確信を持って言えるが、きっと母は死んでしまって、もうこの世には居ないのだと思う。
だって、幼いながらも朧気に憶えている。
母が居なくなってすぐ、何処かの役人みたいな真っ黒い服を纏った人が家にやって来て、静かに密かに母の葬式が執り行われたから。
その時の空気は、酷く重苦しかったものだったと、今でも朧気ながらに印象に残っている。
限られた人間だけで行われた母の葬式は小さく、其れでいて何だか寂しげな空気を漂わせていたという事だけは、幼いながらも気付いていた。
あの時、強く念を押すように約束付けられたから、今現在大人と成長してからも私は母の言い付けを固く守って、例の耳飾りをずっと肌身離さず身に付けている。
最早、此れは亡くなった母の形見となる代物だから、大事に大事に持ち続けている。
嘗て幼かった頃の私の身の丈には不釣り合いの、大きくて綺麗な三日月型の装飾に散りばめられるように彩る薄紅色の桜をモチーフとした耳飾り。
美しき其れは、夜空に浮かぶ下弦の月と同じように、何時までも変わらず耀きを放っていた。
私は、その耳飾りを、魔除けの御守りとして、今も肌身離さず片耳に付けている。
―或る晩の夜の事だった。
母とは違い、ただの人と変わらぬ生活を送っていた私は、遅くなってしまった仕事からの帰り道をえっちらおっちらとのんびりゆっくり帰っていた時だ。
明日は休日で仕事は休みだからと、特に急ぐ事も無く歩いて夜道の帰路を歩いていた。
暢気で危機感に欠ける私は、ふと見上げたよく晴れた夜空の星々がお月様が綺麗だったから、「今夜はよく月が見えるなぁ〜…。」なんて思っていた。
そんな刹那だ。
突然、誰かに勢い良くぶつけられたような衝撃が襲って、危うく横倒しに躰が倒れ込みかける。
何とか踏み留まって体勢を立て直そうとするも、いきなり強く腕を引っ掴まれて、そのまま強制的に引き摺られるように人気の無い路地裏へと連れ込まれた。
此れは、もしや強姦なるものだろうか。
背後からいきなり襲ってくる辺り、しかも、恐らくは若い女性ばかりを狙って夜闇に乗じて襲いかかるなんて、なんて卑劣で下賤な輩なんだろう。
私は、そう冷静に頭の中で考えながら、穢らわしく汚ならしい魔の手から逃げようと必死に抵抗した。
たぶん、誰の助けも来ず、このまま一人この危機を脱する事が出来なければ、恐らく、私はこの強姦魔に純潔を奪われる。
こんな名も知れぬ、卑劣な輩に清らかな乙女の純潔を奪われるなど、生涯の恥だ。
このままされるがまま奪われてしまえば、私はきっと夜の海に身を擲って死ぬ他無い。
嗚呼、どうか私に、この輩に抗う力があれば…。
女と男では、どうしても力の差で押し負けてしまう。
其処に、更に体格差も加わってしまえば、私に勝てる術は無かった。
だから…私は半ば諦めた心中で抵抗を続けた。
そしたら、ほんの一瞬の事である。
私が恐怖から涙を溢して目を瞑っていた矢先に、突然、男が悲鳴を上げて己の上から退いたのだ。
私は、呆然としながら、驚き戦いた様子で己の手を押さえるように見つめる男を見遣った。
今まさに強姦を行おうとしていた男は、怯えた様子で己の手を見つめながら叫んだ。
「な…っ、何なんだ一体…!?女の服を剥こうと触れかけたら、いきなりビリッ!!って電気みたいなのが流れて弾かれたぞ…っ!おまけに手が痺れて痛ェ……ッ!!あ、アンタ…っ、この俺に何をした!?」
『………え?』
何をするもなにも、私は抵抗していただけで、其れ以外は何もしていないのだが…。
唐突に一方的に喚き散らし始めた男に困惑し、私は呆然と瞬いた。
その刹那である。
また、男が怯えたような、狼狽えたような様子を見せ、戦き喚き散らした。
「ひぃ…ッ!?わ、悪かった…!襲って悪かったよ…ッ!!だから許してくれッッッ!!俺はもう金輪際アンタを襲わない…ッ!!この身に誓うから……っ、い、いい命だけは勘弁してくれェ………ッッッ!!」
何を、言っているんだろうか…?
明らかに恐怖の色を浮かべた男は、完全に先程までと立場を逆転させたように戦き、その身を退かせた。
次いで、去り際に負け犬の遠吠えのように訳の解らぬ言葉を発しながら走り去っていった。
「ば、化け物だ…ッ!!アンタ化け物だったんだ…!!うわああああッッッ!!呪われる!!祟られる!!殺されるゥウウウ…ッ!!あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙……ッッッ!!!!」
訳が解らなかった。
何かの病気だろうか…突然発狂し出したかと思えば、嵐のように去っていった。
何だろう、私ではない誰かを見るような口振りで捨て台詞を吐いていったが…まぁ、私自身が無事で済んだなら、良いか。
そう、自己的に結論付けて立ち上がる。
幸い…怪我もほんの小さなもので、軽く手足を擦り剥いたり打ち身を作った程度で済んだ。
此れくらいならば、たった数日もすれば治ってしまうだろう。
心に付いた傷も小さく済みそうだ。
私は、そう簡単に考えて、途中だった帰り道を少し急ぎ足で帰っていった。
…きっとその時に起こった謎の出来事が、後の出来事に起因する事になったのだと思う。
―其れから幾月もの日が過ぎ去った頃だった。
私は、暢気でお気楽思考だから、あの日受けた心の傷や恐ろしいと思った出来事も、すっかり記憶を薄れさせて笑っていた。
そんな折である。
あの日のように、遅くなった仕事からの帰り道をえっちらおっちら急ぐ事もなく歩いて、のんびり帰っている最中だった。
突然、横殴りの強い風が私を殴り付けてきたのだ。
私は、いきなりの事で対応出来ずに尻餅を付いて転けてしまう。
どうして強風なんかがいきなり私の身を襲ったんだ?
今日の天候は、嵐が吹くなんて予報じゃなかった筈だが…。
気候が急変動して、竜巻でも起こってしまったのだろうか。
しかし、其れなら私は今ちょっとよろけて転けてしまうだけでは終わらず、何処か遠い処に吹き飛ばされてしまっていたのではなかろうか。
其処でふと夜空を見上げてみた。
今晩は、あの日とは違って、どんよりと曇っていて、綺麗な星々やお月様は拝めそうになかった。
代わりに…何時も肌身離さず付けていた耳飾りだけは、あの日とも変わらずに美しい光を放って耀かせていた。
不意に、頬にぬるり、としたものが伝ってきた気がして、徐に手を伸ばして触れてみた。
指先に触れた不快な感触が何なのかを確かめる為、視界の目の前にその指先を翳して見せる。
そしたらば、どうした事か、赤黒い鮮血のようなものが己の指先にべっとりと付着しているではないか。
薄暗がりの中ででも解る程に鮮明なその赤色に、私は血の気が引いて、顔を真っ青にさせた。
何で、どうして血なんかが…っ。
もう一度確認するみたいに頬に触れて、ぬるり、と伝ったものが何なのか確かめてみた。
その時だ。
視線を動かした、その先に、世にも恐ろしき異形の者が佇んでいたのだ。
その者は、何やらカチカチと金属音を鳴らして、此方を見遣っていた。
何故、金属音なんか…?
そう思って、視線の先に居た異形の者の傍らに目を遣った。
瞬間、私は心臓を握り潰されたかの如く呼吸を止めて、恐れ戦いた。
カチカチと鳴っていたのは…異形の者の腕にとぐろを巻くように巻き付いた何かが立てる牙の音で、その先に在ったのは、剥き出しの鋭い切っ先だった。
今度こそ、私は絶望の淵に立たされたのだと思った。
異形の者が、笠を被った下でおぞましく嗤う。
私は戦慄が走って、鞄の紐を握り締め、後退りした。
この場合、背を見せたが最期、斬り付けられて終わりだ。
だから私は、背を見せない形でどうにかこの場から逃げられないものかと思考した。
そんな事がんな容易に叶う訳が無かろうと知っておきながら。
私は、必死で頭を回転させ、逃げる術を己が助かる術を考えた。
近くの路地裏に逃げ込めば難を逃れる事が出来るだろうか?
しかし、其れでは結局袋小路になって追い詰められやしないだろうか?
あーでもない、こーでもないとの思考が、右から左からしっちゃかめっちゃに飛び交い、頭の中はとっくの昔に混乱の渦中にあった。
嗚呼…私は、此処で死ぬのか。
思えば、母の死に際は憶えていないが、微かに残る記憶を手繰り寄せてみると、確か今のような似たような状況に陥って最期私を命をとして守り散ったのではなかったか。
いや、憶えていないのに、そんな馬鹿な記憶があるか…。
考えを巡らせていた刹那、何か小さなものが飛んできて、咄嗟に反射的に頭を庇って腕で目の前を覆った。
瞬間、何か鋭いものに肉を裂かれるような感覚がして、息が詰まり呻きが漏れる。
一旦難は去ったかと腕を下ろし、痛みを感じた箇所を見遣った。
すれば、案の定と言わんばかりに肉が裂けて、見るも無惨な痛々しい傷がぱっくりと口を開き、真っ赤に染まった袖口を見せていた。
近くでケタケタと嗤うような鳴き声が聞こえたから、顔を上げて周囲を見渡すと、さっきの異形の者とは違うまた別の異形の者が宙に浮いて、その身を踊らせていた。
どういう仕組みで宙に浮いているんだ、なんて下らない思考が脳裏に過る。
どうやら、私は、よく解らない恐らくこの世の者ではない異形の者に八つ裂きに斬り刻まれ、悲しくも此処で命を散らす事になるようだ。
短くも長くもない人生だったな…。
私は、また、半ば諦めた心中で思った。
その時である。
ふと、耳元でシャラリ、と存在を主張していた耳飾りを付けた部分が熱くなった気がしたのだ。
「え……っ?」と思って、不意に、血に塗れた手先を伸ばして触れかけた。
瞬間、目を開けているのも眩い程の光が目の前を駆けて、咄嗟に目を瞑った。
次に開いた時には視界は色鮮やかな薄紅色の花嵐で覆われていて、一瞬、「私はもう死んであの世に行き、桃源郷でも見せられているのだろうか?」と見当違いも甚だしい事を思った。
花嵐が過ぎ去った先で目に飛び込んできた色は、青。
次いで、美しい金の装飾が施された刀だった。
「―助けに来るのが遅れてしまって、すまなかったな…。なに、俺が来たからには、もう大丈夫だ。安心して、俺の後ろ背に隠れていると良い…。」
此方を振り返った彼の瞳が、綺麗なお月様みたいな色を映していた。
まるで…私の片耳に付けられた魔除けの御守りの其れと同じ如き美しさで。
「…さて。此れ以上、お前達の好きにはさせぬぞ…?此れ以上、この娘に触れる事も許さぬ…。この娘に一太刀のみならず、二太刀も振るった事…俺は許さんぞ。か弱きおなごの身を傷付けた罪、その身その命を持って償うが良い……ッ!」
美しき衣を纏った人が、まるで舞を舞うかのように異形の者達を斬り伏せ、薙ぎ払っていった。
何処までも美しく、目を奪われる光景だった。
私は、腕にもらった決して浅くは無い傷の痛みも忘れて、その光景を呆然と眺めていた。
最後の一体だろう、薙ぐような一振りを浴びせ、最後の一太刀を振り下ろした。
終わりに、刃先に付いた鮮血を払って片袖で拭い、鞘へと納める。
そうして漸く、彼が再び此方を振り返り見つめてくるのだ。
「…やれやれ、漸く事が片付いた。多勢に無勢で掛かられるのは、最早慣れておるが…老体にはちと堪えるな。おまけに、しつこく攻撃してくるものだから…お陰で、お主の事を何も説明せぬまま放ってしまう形となってしまった…。すまぬな。許しておくれ。」
『………い、ぇ……っ、助けては頂いたので、助かりました……。あ、有難う、ございます………っ。』
「うむ。怪我を負わせてはしまったが、お主が無事でいてくれて良かった…。お主は、大事な大事な人の子だからな。今、その傷の手当てをしてやろう…。こんなに酷い傷を負ってしまって…痛むだろう?すぐに専門医を呼んでやるからな。其れまでの間、仮の処置ではあるが、血止めをしなくては…。少し痛むだろうが、我慢しておくれ。布できつく縛っておかねば、出血が止まらぬままであるからな。」
『……え………っ?あ…その、貴方…は……?』
「うん…?俺か?俺は、そうさなぁ…ただの通りすがりの爺さ。はっはっはっはっは……っ。」
身目麗しく美しい若い見た目をしているのに、年寄りみたいなお爺ちゃんみたいな口調で喋っていて、何だか不思議な雰囲気を纏った人だと思った。
破るのなんて勿体ない上質な生地で作られているであろう着物の一部を噛み切り、引き裂いて、私の腕の傷の当て布として巻いてくれる。
止血帯代わりの物だったから、きつく縛られた時は思わず顔を顰め、「ぐ…ッ!」と声を漏らしてしまった。
咄嗟に謝られたが、私の方こそ手当てしてもらっているのだ。
感謝すれども、非難する事は無かった。
仮の処置が終わって、ふと頬の血濡れに気付いたのか、彼は見遣って顔を歪めた。
「…嗚呼、なんと痛ましい……おなごの柔肌に傷が付いたばかりではなく、顔にまで傷を付けられていたとは…っ。せっかくの美しいかんばせが血に濡れるなど、あってはならぬ事であったというに……。ほんに、すまなかった。」
『え…っ、いえ、そんな………っ。気にしないでください…!貴方のせいではないんですから……っ。』
「しかし…もう少し早くに俺が駆け付けておれば、その傷を負う事もなかっただろうに…。俺の責任だ。恐らく…その腕や頬の傷は後に痕として残ってしまうだろうな…。嫁入り前の娘の美しきかんばせに痕が残っては、世間にあまり良くは思われなくなってしまうかもしれぬ上に、貰い手が居らぬようになってしまうやもしれぬ…。誠にすまぬ事をした。…償いとして、出来得る限り痕が残らぬようにすると誓おう。腕の良い医者がウチには居ってな…その者に任せれば、きっと大きな傷は残らぬように治療してくれるだろう。」
おなごのかんばせに赤い血濡れは似合わぬと、そう言って、懐から手拭いらしき布を取り出して私の頬に押し当て、顔の片側を汚す血を拭ってくれた。
その時、片耳に揺れていた耳飾りが彼の手袋越しの手に触れる。
其処で、彼は何かに気付き驚いたように目を丸くさせ、此方を見遣った。
「…此れは……お主、この耳飾りを何処で………?」
『え………?此れ、は…亡くなった母に昔子供の頃に魔除けの御守りとして貰った物です…。…其れが、何か……?』
「……あなや…………此れを身に付けているという事は……、嗚呼、此れは何という巡り合わせなのか…。また、一度お主に逢える事が叶おうとは………っ。永く生きていると、こういう事があるのだなぁ………。」
そう、零した彼が、今にも泣きそうな…しかし、何処か喜色を滲ませた表情に顔を歪ませ、笑った。
次いで、彼の零した言葉に私は言葉を失い、息を飲む事になるのだった。
「……大きくなったなぁ………あの時この腕に抱いた時は、あんなにも小さくか弱き赤子であったというのに…。時とは、過ぎていくのが早いものだ………。」
『……………ぇ、』
「…お主が息災であった事を知れて、そして、今一度と逢えた事…俺は、いと嬉しく思うぞ。」
なんて、嬉しそうな顔をするのだろうか。
なんて、美しくも儚い顔で笑うのだろうか…。
私は何も言えないまま、其れだけを思った。
彼は…嘗て昔の、幼き小さかった子供の頃の私を知っていた。
その彼が、美しきかんばせを歪ませて、一滴、透明な滴を溢した。
微笑みを湛えるお月様が、ゆるゆると滴に潤んで、きらきらとその耀きを放っていた。
「………ほんに、大きくなったなぁ……すっかり俺より少し小柄なだけの身の丈程にまで成長して…。爺は嬉しいぞ。……顔立ちは俺に似てしまったか…しかし、その瞳と姿は、やはり母に似たか…。何処となく彼女の面影を残しているようで、懐かしく思うぞ…。」
まるで、愛しくて堪らないといった表情をして、あまりにも嬉しそうに慈しむように微笑むから…。
嫌でも私は解ってしまった。
『……もしかして、貴方は………私の…………っ、』
そう言葉を言いかけた時、彼が私の口許を塞ぐようにそっと人差し指を優しく押し当ててきて、思わず噤まざるを得なくなった。
彼は、敢えてその先を遮ったかのように、自身の言葉を被せて言ってきた。
「…俺の名は、三日月宗近と言う…。打除けが多い故に、その名が付いた。宜しく頼む。…我が愛しき人の子よ。」
その言葉に共鳴するように、片耳に付けていた耳飾りが、薄紅色の花弁を散らす彼との再会を喜ぶようにシャラリ、と揺れ、鳴いた。
執筆日:2019.10.21
【後書き】
実は、当作品…三日月お爺ちゃんをお相手にお話を書いたのが初めてな作品だったりします。あと、此処までしっかり本格的な設定を盛り込んでまともに書いたのも初めてな気がします…。
書いてみて後に思った事が、「此れ…続編というか、その後のお話みたいな、後日談的なお話を想像出来る感じのストーリーになったねぇ。」でした(笑)。我ながらお気に入りの一作品ですね。
ちょっと意味深な台詞を混ぜてみたり、伏線を張ってみたりと書いていてなかなかに楽しい作品でした。
何かをモチーフに物語を書き進めてみるのも新しい試みですね。
またこういった感じのお話を何処かで書けたらなぁ〜と思います。
最後にお話を書いての余談ですが…お爺ちゃんが顕現するシーンは、是非とも某舞台版映画のお爺ちゃんが登場する時みたいに派手に桜吹雪舞ってる中登場して欲しいです…っ(めっちゃ個人的なお話ですけど)。
素敵な企画をご用意してくださった左上様、並びに鈴木様には大変感謝なのです。
この場をお借りして、改めて御礼申し上げたいと思います。
この度は、素晴らしき企画にて私の書いた稚作を並べてくださり、誠に有難うございました。
実は、当作品…三日月お爺ちゃんをお相手にお話を書いたのが初めてな作品だったりします。あと、此処までしっかり本格的な設定を盛り込んでまともに書いたのも初めてな気がします…。
書いてみて後に思った事が、「此れ…続編というか、その後のお話みたいな、後日談的なお話を想像出来る感じのストーリーになったねぇ。」でした(笑)。我ながらお気に入りの一作品ですね。
ちょっと意味深な台詞を混ぜてみたり、伏線を張ってみたりと書いていてなかなかに楽しい作品でした。
何かをモチーフに物語を書き進めてみるのも新しい試みですね。
またこういった感じのお話を何処かで書けたらなぁ〜と思います。
最後にお話を書いての余談ですが…お爺ちゃんが顕現するシーンは、是非とも某舞台版映画のお爺ちゃんが登場する時みたいに派手に桜吹雪舞ってる中登場して欲しいです…っ(めっちゃ個人的なお話ですけど)。
素敵な企画をご用意してくださった左上様、並びに鈴木様には大変感謝なのです。
この場をお借りして、改めて御礼申し上げたいと思います。
この度は、素晴らしき企画にて私の書いた稚作を並べてくださり、誠に有難うございました。
