#00-prologue


―ザアァァァァ……ッ。


薄暗い空の下、雨の大きな音が耳につく。

激しく打ちつけるそれらは、足元の地面を濡らしに濡らしていく。

溢れ広がり続ける水溜まりは、その範囲を際限無く大きくしていく。


『―…ハッ、…ハァ、…ッ。』


聴こえる己の息は荒く、まともに呼吸するのも苦しいのではないかと思う程だった。

何度流れたか解らない血の滴りが、落ちた先の水溜まりを赤黒く濁らせる。


『…は…っ、…あん時と同じだな………ッ。』


相対した相手を睨みながら、顔を歪める。

吐き捨てる様に呟かれた言葉に、唯々向けられるのは明らかな殺意。

目は逸らさぬまま、口許に笑みを浮かべた。

その目に映るものは、何処とも分からぬ果て。


…鋭く獣の如き眸で。


―曇天の空に、木霊した………。


加筆修正日:2019.03.26

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