君の涙を拭い去れたなら
君の涙を、一粒でも拭い去れたなら、己の中で渦巻くどす黒い後悔のような何かを変えられたのだろうか。
――そう、
直感的本能でか、気付いた時には体が動いていた。頭で考えるより先に、体は意識に忠実に動いた。
そうして、眠気で欠伸を漏らした君の、目から溢れ落ちた滴を、君が拭い取ってしまう前に。両手を伸ばして、頬を包んで、顔を寄せて、舌先で拭い去った。
舌に触れた透明な液体は、人の体内から排出されたものだったからか、塩分を含んでいて、ちょっぴり塩辛かった。思わず、「しょっぺぇ……ッ」との感想が口を突いて出て行く位には。
欠伸で出た涙とは言え、涙に変わりはないのだから、当たり前の話だろうに。其れでも、大切な君の涙を一粒でも拭う事が出来たのだから、今は良しとしようじゃないか。
突然の行為に、ただ
僕が起こした行為で、すっかり眠気も吹っ飛んでしまったみたいに慌てふためく愛しい彼女を宥める為にも。再び涙する場面など見ぬように。僕は君に尽くしたい。
この命有る限りの間は、ずっと側に居続けるんだ。彼女が悲しんだりなんてしないように。ずっと、ずっと、一緒に居るよ。
ねぇ、僕の愛しのロビン――?
後書き
※原文は此方の#01より。
執筆日:2023.03.16/初出日:2023.03.18
加筆修正日:2024.05.10