「三馬鹿!」
「in京都!」
「勝手に馬鹿のくくりに入れるのやめてほしい」
「朔ちゃんノリ悪い〜」
と、まるで深夜のハイテンションのように絡んでくる米屋。
「米屋と出水とは仲いいって思ってるけど、私は〇〇バカじゃないから」
「槍バカと一緒にされたくないってよ」
「弾バカもだろ」
「「なんだと!」」
仲良しかよ。
「修学旅行に来てまで喧嘩しないでくださーい」
「ほぼ朔のせいだよな」
「あ、ホントだ。ごめん」
今日から3日間京都に修学旅行に来た。
3年になると進学やらなんやらで忙しいから2年で行くらしい。
詳しくは知らない。
「つか、朔は誰待ってんの?」
「仁礼ちゃんとくまちゃんと、おサノちゃん」
「あーなるほど」
「朔ー!!」
と、ブンブン手を振りながらこちらに向かってくる仁礼ちゃんが見えた。
「仁礼ちゃんたち来た。じゃあまた、夕方に祇園で!」
「おー」
そういえば、仁礼ちゃんの髪色可愛いくない?
見た目の割に性格が男前だけど。
「あ、みんな。浴衣とか着れるみたいだよ」
「せっかくだし着るか」
「いいね」
「いぇーい」
私は藍色の浴衣で、仁礼ちゃんは白の浴衣、くまちゃんは黒の浴衣、おサノちゃんが淡い水色の浴衣だ。
「仁礼ちゃんたち可愛い」
「朔はますます美人になったな!」
「おサノちゃんはさすが元モデルって感じだね」
「ありがと〜」
と、言いながらクルクル回っているおサノちゃん。
可愛い。
「くまちゃん、色っぽいね」
「あ、ありがと」
くまちゃんが着ると浴衣ってこんなに色っぽくなるんだと思ってしまう。
それもこれも、くまちゃんのプロポーションがなせる技である。
それに、浴衣を着ているところなんて見たことないから新鮮で、みんなすごく可愛い。
「このまま近くのお寺に行こう」
基本自由行動だが、ひとつは寺院を見なければいけないので、さっそくお寺に行くことにする。
「うっひゃー高い!!」
「ホントだ、たかーい」
坂道を登ってお寺に行くと京都の町並みが一望できる所まで高く登っていた。
「そういえば出水たちはどこに行くって?」
「全面金色のお寺だよ」
「あはは、確かにアイツらが好きそうだ!」
と、仁礼ちゃんが大笑いする。
仁礼ちゃん、笑い方がダイナミック。
「そろそろお昼ご飯食べるとこ探そう」
「まだ早くない?」
「そうなんだけど、お昼時になると混むかなって」
「なるほど」
「朔にさんせーい」
「さんせーい」
と、いうことで近くにあるうどん屋さんに行くことになった。
「君たち修学旅行生?」
「そうですけど」
と、くまちゃんが答える。
「俺らもなんだけど」
「へぇ」
全く興味ありませんって顔しながら言うおサノちゃん。
こっわ。
元モデルの表情筋が仕事してないとかヤバい。
「俺らと一緒にどっか行かない?」
「君たち可愛いし!」
「ありがとうございますぅ。でも結構です」
「は?」
「私たち待ち合わせしてるんで」
「友達?」
「この状況で待ち合わせって言って友達だと思うのか?」
と、仁礼ちゃんが言う。
「チッ……彼氏持ちかよ」
「あーあー白けた」
「行こうぜ」
と、ブツブツ文句を言いながら去っていくナンパ野郎たち。
私、初めてナンパ野郎を自分たちで撃退できた気がするぞ!
「怖かった」
「絶対、諏訪さんのが顔は怖い」
「おサノちゃんの表情筋が動いてなかったもんね」
「朔と光の連携も凄かったよ」
「やったな、朔!」
「仁礼ちゃんいぇーい」
「いぇーい」
女の子は強い。(確信)
「ご注文はお決まりですか?」
「私、きつねうどん!」
「あ、私も」
と、くまちゃんが言う。
「私ぶっかけうどんにする」
「私はざるうどん〜」
各々の注文を店員さんに伝えて、次の予定を立てるためにマップを広げる。
「もう、お土産買いに行く?」
「ここから祇園に行く途中はお土産買うところ多いし、寄り道しながらとかでいいよね」
「あ、それいい!」
「てかみんな誰にお土産買うの?」
「家族と同じ隊ぐらいだよ〜」
「うちも家族と同じ隊ぐらいだなぁ」
「朔は?」
「忍田さんと結花さんと氷見ちゃんと木虎ちゃんと、あげないと拗ねるから太刀川さんぐらいかな」
「結花さんって鈴鳴第一のオペレーターの?」
「そうだよ。結花さんには去年お土産もらったから、買っていこうと思って。それにお金は忍田さんにたくさん貰ったから」
「本部長強い」
旅先でお金が足りなくなったら困るから多めに持っていきなさいと、お金を渡してくれたのは良いものの、少し多すぎる気がする。
それでも、叔父さんの気持ちを無駄にしたくないからたくさんお土産を買うことにした。
「あー美味しかった」
「普段食べてるうどんなのに京都で食べるとちょっと上品に感じた」
「それな」
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