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ゆっくり周りを見ながら歩いていると、空条君は自分の家だしどんどん先にいかれてしまった。客を置いていくな。そんなに離れている訳でもないので追いつこうと思えば追いつけるけど。

「く、空条く「まーあ!女の子!」わあ…」

ちょっと先に彼の後ろ姿が見えたので声をかけようとするも、女の人の声に遮られてしまった。しかも空条君にも舌打ちされた。
血まみれの男を担いだままイラつかないで欲しい、普通にめっちゃ怖い。私もこうなっちまうのかなって思ってしまう。

「承太郎がガールフレンドをつれてくるなんて!」
「違ぇよアマ、勘違いするんじゃあねえ。」
「じゃあ何なのよう、承太郎が女の子を連れてくるなんて初めてじゃないの!ママ嬉しいわ〜」
「エッ、ママ…?」
「おい、余計な口挟むんじゃあねえぞ。」

一睨みして静かに一喝。
そんな事言われても…性格に差がありすぎるのでは?でもお母さんは外国の方なのかな、空条くん顔濃いし。ハーフ?うーん、顔いいしな…。

「アマ、てめーには関係のない事だ。俺はじじいを探している…広い屋敷は探すのに苦労するぜ。茶室か?」
「え、ええ。アヴドゥルさんといると思うわ。」
「おい、お前も着いてこい。」
「は、はい…。」

怖、本当に高校生かよ。
到底血が繋がっているとは思えないほど明るそうなお母様に、一応一礼して軽く自己紹介しておく。こちとら社会人なんでね、礼儀は弁えるよ。

「ふふ、きっと承太郎ったら照れているのね。
私は空条ホリィ、日本語では聖子って書くみたいね。ぜひ聖子さんと呼んでね、名前ちゃん!」
「はは、聖子さん…ですか。よろしくお願いします。
あ、じゃあ、多分早く行かないと空条くん怒ると思うんで、失礼します。」
「ええそうね、じゃあまた後でお話しましょうね〜!」


ニコニコと手を振ってくれるホリ…いや、聖子さんにまた一礼して、恐らく空条くんが歩いていった方向に足を進めると、彼は待っていてくれた。しかも睨んでいる。そこまで睨んでいると眉間に皺がよったままになってしまうぞ。

「遅ぇ。」
「挨拶は礼儀なので…。」

フン、とそっぽを向かれて歩き出されてしまった。相変わらずでかい一歩一歩だ。可愛くない男子高校生だな。

そういえば彼はずっと不機嫌な気がする。お母様に見つかった(?)時も舌打ちされたし、来る途中も会話すぐ終わらせてくるし。
なんか機嫌よくなるようなこと言ってあげようかな。接待と持ち上げるのは得意だ、何しろ社会人だからな。失敗してさらに不機嫌になっても怖くない、思春期はそういうものだし。それに、私の方が歳上なんだし。何故かセーラー服を着ていても、歳上なんだし。怖くない…怖くない!

「明るくて素敵なお母様だね。」
「チッ」