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結論から言うと、モテ男は勝った。圧倒的勝利だった。
なんと言っていいのか全く見当もつかないし頭も追いついていないので、幽霊…というよりガタイの良すぎる妖精としておこう、その妖精がモテ男の背後からグアッと出てきて、緑のキラキラを引っ掴んでボコボコにした。すると、制服を着ているにも関わらず、操り師は全身から血を吹き出して倒れたのだ。圧巻の強さである。

『コイツにはDIOについていろいろしゃべってもらわなくてはな…』

あまりの展開にキャバオーバーした私は、ベッドの上でシーツを握りしめて、ただ呆然とモテ男の行動を見ていた。操り師が再起不能になるまで殴った後、彼は倒れた女医の手当を軽くして、倒れている緑の学ラン姿を肩に担ぎ、乱闘でぶち抜かれた壁から足を踏み出した。

『ぼさっとしてねえで、テメーも来い。
聞かなければならないことが沢山あるようだからな。』

逆光になっていてもはや影、その中でキラリと輝くエメラルドにそう言われては従う他ない。





「なんとまあ。」
「何突っ立ってやがる、さっさと着いてこい。」
そんなこと言われましてもね。私は驚きが隠せんのですよ。

学校を出てから、彼は血塗れの男を背負い、私を後ろに引き連れてどこかへ行くみたいだった。長い足を容赦なく動かしてずんずん歩いていくものだからついて行くので精一杯だ、しかし時折小走りして距離を縮めると、それに気づいたのか歩くスピードが心做しか遅くなった気がした。
気遣いもできるのかモテ男、さすがモテ男なだけあるな。私はそこに会話ができる可能性を見いだしたわけだが。

『強いんだね、…ええと、』
『…空条、空条承太郎だ。』
『空条君。はは、教えてくれてありがとう、はじめまして。因みに私は苗字名前です。よろしく。』
『…。』

なんとか名前は知れたものの、こんな調子で、なにか話題を降ってもすぐ黙り。やがて二人とも(正確に言うとこの場にいるのは3人だが)黙々とあるきつづける形になった。

途中の会話から、空条くんの家に行くことは聞いていた。しかし、こんなに豪邸とは。もはや領地、城なのではないのか?
ぼさっとしているのも邪魔になるので、慌てて彼に続いて家に上がらせてもらう。一応小さくお邪魔しますはいったが、大声で言おうとも、家の人には聞こえていなさそうだ。なぜなら家がでかいから。