なんてことない
朝。携帯から流れるジリリという金属音で目が覚める。
不快だからそのまま壁に投げつけてやろうかと思うも一瞬で、手を伸ばして無理やりカーテンを開けて自ら陽の光を瞼の向こうに感じれば嫌でも目が覚めた。のろり、と上半身を起こして投げられないで手元に残る携帯の画面を見る。いつもの時間だ。偶に自然と無意識に2度寝、3度寝してしまうことがあるので安心できない。今日もこのまま二度寝なんかしないようベッドから出る。
制服に着替えて布団を整えて、顔を洗って髪を結ぶ。あ、ちょっと寝癖ついてる。水でもつけて直しとこ。応急処置。
学校の準備は昨日のうちにすませておいた。リュックを部屋から移動させようとしたところで、机の横に置いてある姿見でまだ直っていない寝癖を発見。腹立つ。
リュックをリビングのソファに置いて、台所に立つ。先生も私も朝はそんなに食べないから、軽くでいい。コーヒーをセットしてから、冷蔵庫を開けて期限が近い卵を使うことを決める。まずフライパンに油を少し引いてベーコンを焼いて、その上に生卵を落として、蓋をする。IHだから、備え付けでついてるタイマーをセットして放置。
トースターに食パンを入れようとしたところで、少しねむそうな"おはよう"が聞こえた。振り返れば欠伸を噛み殺した様子の先生がいて、長い髪をゆらゆらとさせながら台所に入ってくるところだった。
「寂雷さんおはよう、よく眠れた?」
「ああ、眠れたよ。名前はどうだい。」
「ばっちり。寂雷さんコーヒーと紅茶どっち?あ、私ピーナッツバターがいい。」
「コーヒーかな。わかった、ピーナッツバターだね。」
トーストの焼けたチン、という音とコーヒーの淹れ終わったカチ、という音がシンクロしてちょっとテンションが上がった。
コーヒーをマグカップに入れて、それが終わったら水筒にも入れる。キュッと蓋をしっかり閉めるのも忘れずに。ガラスのコップに牛乳を入れると、ちょうど目玉焼きも焼きあがった音がして、IHの電源を落としてお皿を出す。冷蔵庫から作り置きしておいたコールスローサラダを出して、サラダ皿に盛り付ける。そしてフライでアニメ映画のように美味しく焼けた目玉焼きを皿に乗せて、何か足りない気がしてプチトマトを端っこに置いた。
パンにバター等を塗り終わった寂雷さんは、もう既にそれをテーブルに運んでフルーツを切っていてくれてた。今日はオレンジと林檎。
飲み物と目玉焼きと皿を運んで、寂雷さんの水筒もテーブルの端に置くと、フルーツのお皿とナイフとフォークもやってきた。
「いただきます。」
「いただきます。」
なんてことない、私たちのいつも通りの朝である。
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