『握りしめた手』
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「ね、ランサー……手、握って?」
"先に相手に触れたほうが負け"……なんていう馬鹿馬鹿しいゲームをはじめたその日の夜。不自然に一人分空けたベッドの上で、彼女にしては珍しいほどの猫撫で声を出した。……つまり、この手を取れば俺の負けということになる。
けれど、まぁ。
……折角の彼女からのお誘いを断るなんて勿体無いことをするくらいなら、"罰ゲーム"くらい、受けたって構わないか。
「ふふ、わたしのかち」
じゃあ約束通り明日の朝ごはんはランサーが作ってよね、と笑いながら、彼女は俺の手を強く握り返した。
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