『燃える』

▼ ▼ ▼



    
彼の瞳の奥で炎が揺れている。

……ものの例えだ、別に、本当に火がついているわけではない。けれど彼の赤い瞳が、私を見つめる熱を持った視線が、煌々と揺れるそれを思い出させた。

「……なんだ」

…例えではある、が、

返そうとした言葉ごと私の唇を奪う彼の体温は、確かに私を溶かして止まない炎のようだった。