「小鈴、どうした」
「立花くん!中在家くんが…!」
「長次…?!」
「中在家先輩、大丈夫でしょうか…」
「意識はあるし、見た目ほど深い傷じゃなかったからすぐに良くなるよ」
「よかった…!」
「それで、利吉さん…矢文のことなんですが」
「話せば長くなるだろうから、場所を変えよう…学園長先生にも報告したいし」
「は、はい…」
「なにぃ?!七松小平太が連れ去られた?!」
「申し訳ございません…!私が実習の邪魔をしてしまったばかりに…!」
「いや…杜若凛姫様の件についてはヒトエウメ城からも依頼があったんだ…」
「ヒトエウメ城…?!」
「知ってるのか?」
「姫様の婚約者がおられる城です…カキツバタ城とも同盟を結んでいました…」
「なるほど…」
「ヒトエウメ城城主、一重梅春彦様も心配しておったぞ…」
「そうでしたか…姫様も連れ去られ、七松くんも囚われてしまうなんて。今すぐにでも救出しなければ」
「その前に…お前はクロツルバミ城忍者隊組頭…音無蓮之介に会いにいけ」
「でなければ、七松くんを解放することなどしないだろう」
「…そうですね」
「ところで、利吉さん。音無蓮之介、というのは…?」
「私の父、山田伝蔵の友人で…小鈴の父親だよ」
「ち、父親…?!」
「小鈴がうちに来たのは今から十五年前…私が三歳の時だ」
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『む…?』
『どうしたの、父上』
『利吉、下がっていろ』
『伝蔵…』
『蓮之介…?!』
『お前、無事だったのか…!』
『なんとかな…』
『その赤子は…?』
『マツバ城の…いや、私の娘だ』
『娘…?』
『あら、可愛い…』
『お名前はなんというのですか?』
『鈴…いや、違うな。小鈴。音無小鈴だ』
『お前…結婚してたのか?』
『…信じられないか?』
『ああ、女嫌いのお前が』
『ふっ…確かにトラウマはあるが』
『嫁はどうした』
『カキツバタ城に殺された…この子を頼むと残して』
『…まだ赤ちゃんなのに』
『利吉くん…小鈴を妹にしてやってくれないか?』
『いもうと…?』
『この子を狙って、追手がすぐ側まで来ている…私は囮にならなければならない』
『…追手だと?』
『頼む、伝蔵…私の変わりにこの子を… 小鈴を守ってやってくれ』
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