「伊作…!」
「仙蔵?」
「小鈴は…?!」

「ここだ…」
「なにがあったんですか」
「…後で話す」
「仙蔵、小鈴さんを頼んでもいい?僕達は学園長先生に報告してくる…」
「分かった…」

「入るぞ」
「どうぞ!って、小鈴さん?!どうしたんですか?!」
「怪我はないんだが、意識がなくてな…布団を敷いてやってくれないか」
「は、はい…!」
「すごいスリルるるる」

「小鈴さん…何があったんですか」
「クロツルバミ城で、ちょっとな…」
「伊作先輩も無事でしょうか…」
「ああ、伊作と留三郎は無事だ。実習も終わらせて、学園長先生に報告に行っている…」
「よかった…!」

「立花くん…」
「利吉さん…!」
「学園長先生がお呼びだよ…」

「失礼致します…」
「小鈴の様子はどうじゃ?」
「まだ目覚めません…」
「そうか…長次と小平太も大事ないな?」
「大丈夫でーす!」

「うむ。お前達のお陰で、クロツルバミ城の秘宝を手に入れることができた」
「巻物と神鏡…そして、銘刀五振り…これらをどうするおつもりですか」
「この神鏡は妖の鏡でな…術者がまじないを唱えれば、なんでも願いが叶うと言われておる…」
「願いって…」
「それは本当なのですか…」

「本当じゃ」
「姫様…?」
「この神鏡は古より、マツバ城に祀られてあった秘宝での…なんでも願いが叶うと言い伝えられておった。そのせいか狙ってくる者が後を絶たず、いつしかカキツバタ城と戦になり…」
「マツバ城が滅んだ…」
「でも、なぜ姫様がそのことを…」

「改めて、妾の本名は松葉凛…この神鏡を受け継いだ者じゃ」
「姫様はマツバ城の姫君だったということか…」
「その通り…カキツバタ城はこの神鏡を狙って、マツバ城を襲ってきた。そして、妾はカキツバタ城に攫われ、双子の妹と生き別れになってしまった…」

「その双子の妹というのは…」
「まさか、小鈴さんのことなんじゃ…」
「卓球!」
「なぜ卓球?!」
「小鈴の本名は松葉鈴…妾の双子の妹じゃ」

「ふ、双子の妹…」
「なるほど、通りでそっくりなわけだ…」
「ふふん、そうじゃろう」
「あれ?ってことは、小鈴もマツバ城のお姫様だったってことか?」
「モソ…そういうことになるな…」

「でも、なんで小鈴はカキツバタ城のくノ一になったんだ?マツバ城を滅ぼした張本人なのに…」
「確かに…」
「カキツバタ城が攻め込んできたのは、我々が生まれた直後じゃったから…マツバ城の存在を知らなかったんじゃ。妾も完全にカキツバタ城の人間だと思い込まされておったし、両親の顔も思い出せない。双子の妹がいたなんて知らなかった。マツバ城の神鏡欲しさに我が一族は滅ぼされたのかと思ったら嫌になって、カキツバタ城を抜け出した。そして、辺りを散策していると娘が一人生倒れておった。崖から落ちたのかえらくボロボロだった。枝で突いてみると生きておったから、水を与えた。名前を聞いてみたら音無小鈴だと名乗っておった。苗字は違ったが、一目で分かった。恐らく、この子が妾の片割れだろうと…」

「…姫様、それはいつ頃の話ですか」
「確か三年前じゃったか…」
「三年前…」
「父上…」
「なにか気になることでも?」

「いえ…お気になさらず」
「身の上話を聞いてみると、帰る場所がないと言っていたからカキツバタ城に戻り、暫く療養させたんじゃ。どこで学んだのかは知らんが、忍術の心得があるとも言っていたから忍者隊に推薦してくノ一にさせた…うちの忍者隊はへっぽこじゃったからなぁ。あの子が来てくれて助かったぞ」
「そうでしたか…」

「ところで、姫様?儂の願いを聞いてくださらぬかな?」
「却下じゃ!」
「何故じゃ!」

「これは妾の鏡じゃ。ここは妾の願いを優先させてもらう」
「姫様と神境を取り戻したのは儂なのにぃ!」
「勿論、そちらは姫様の所有物ですからお返ししますが…」
「姫様の願いとはなんなのですか?」
「よくぞ聞いてくれた!」

「妾の願い…それはマツバ城を再建することじゃ!」
「ま、マツバ城の再建って…」
「城主はどうするおつもりで?」
「小鈴を御台にして婿養子を迎えれば良い。妾も力を貸すし、ヒトエウメ城の姉妹城として栄えることじゃろう」
「ヒトエウメ城?」

「妾の婚約者がいる城じゃ!」
「そうでした…春彦様も心配されておりましたぞ」
「そうと決まれば、ヒトエウメ城へ出発じゃ!儀式の準備をしなければな!」
「お、お待ちください姫様!」
「まずは小鈴にも確認するべきではないでしょうか!」

「それもそうじゃな…では小鈴に聞いてくるとするか!」
「い、今からですか?!」
「小鈴さんはまだ眠っていますから、今は休ませた方がよろしいかと!」
「せめて明日にしましょう!姫様もお疲れでしょう?」
「なんじゃ!悠長な奴らじゃの!」

「顔は似てるが…」
「あいつとはかなり正反対だな…」
「ええ…」


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