「何奴」

「妾じゃ」
「姫様でしたか…」
「小鈴はおるか?」
「おりますが…まだ眠っております」
「構わん、開けろ」

「ったく、お姫様の子守も疲れるぜ…」
「文次郎…」
「…こうして見ると本当にそっくりだな」
「ああ…」
「小鈴…」

「小鈴やーい」
「…んん」
「…」
「…もう食べられません」
「どんな夢見とるんだこいつは」

「…妙じゃな」
「どうされました」
「此奴がこんなに熟睡してるなんて…」
「普段は違うのですか」
「人前で眠ることは愚か、妾にすら寝顔を晒したことなどないのに…」

「忍びの性分というやつか…」
「疲れが溜まっているのでは…?」
「それもあるだろうが…余程安心し切っているのだろうなぁ…」
「安心…?」
「ぐっすり寝かせてやりたいところだが、今後のことを話さないとならんし…心苦しいが」

「ぶふっ…」
「不覚にもツボに入った…」
「…ふがっ!」
「やっと起きたか?」
「…あれ?」

「姫様…?」
「ああ」
「姫様…」
「おはよう」
「姫、」

「お会いしとうございました」
「妾も会いたかったぞ」
「此度はお守りできず、誠に申し訳ありませんでした」
「苦しゅうない」
「良くありません。私は姫様の側近失格です。腹を切ってお詫び申し上げます」

「腹を切るくらいなら妾の願いを聞いてくれぬか?」
「喜んで!」
「マツバ城を再建し、姫になれ」
「………はい?」
「ヒトエウメ城の姉妹城として歓迎するぞ」

「あの、どういうことでしょうか」
「この神鏡さえなければ我がマツバ城は狙われずに済んだ。こんな鏡があるから、戦になるのじゃ。これを滅するためにも願いを消費しなければならん」
「…それでマツバ城を再建しろと」
「卓球!」
「………考えさせてください」

「なぜじゃ!たった今二つ返事で頷いたじゃろ!」
「願いを消費した方がいいというのは同感ですが、マツバ城は最早過去の歴史です…それを再び繰り返そうというのですか」
「そうじゃ」
「…城主はどうするおつもりですか」
「お主が御台になって婿を取れば良い」

「そんな…私には荷が重すぎます」
「素質はあると思うぞ」
「素質…?」
「この際じゃから言わせてもらうが、お主は忍者に向いてない」
「どういう意味ですか」

「前々から思っておったのじゃ…お主は優しすぎると」
「そんなこと…」
「何度死にかけた?何度曲者を見逃した?その結果妾は狙われ、鏡も奪われた。全てお主の失態じゃ」
「…っ」
「それでもお主が忍者を続けるというのなら、妾はお主を解雇する」

「姫様…」
「…それが嫌なら、妾の提案を受けることじゃ。よく考えろ」
「承知いたしました…」

「立花殿と言ったかな?」
「そうですが…」
「小鈴のこと…宜しく頼むぞ」
「は。」
「今後とも、な」


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