「ほーたいはーしっかりまいてもきつすぎずー」
晴れ渡る空の下。保健委員会の二人は薬草摘みに出かけていた。
「伊作先輩!薬草たくさんあるといいですね!」
素早く綺麗に弛まぬようにぃと陽気に歌っているのは忍術学園一年は組の猪名寺乱太郎だ。乱太郎の言葉に六年は組の善法寺伊作はにこりと笑い返す。
「そうだね!留三郎が良い場所教えてくれたんだから、たくさん詰んで帰りたいよね」
「薬草は詰めたものの、熊と遭遇したりして!」
「あはは、あり得そう…」
すると、どこか遠い目をした乱太郎。勿論、後輩の発言に悪意はない。今までの経験から培った直感がそう告げているのだ。
「ん?」
「どうしたんですか?」
「これは…」
そして、その直感は恐らく間違っていない。きっと今回も不運な目に巻き込まれるのだろうとため息を落としたその時。伊作はあるものに気がついた。地面には頼りない血痕が点々と落ちていたのだ。
「伊作先輩、この人…」
「大丈夫、まだ生きてる…忍術学園に帰って手当しないと!」
「え、薬草は…」
それを追っていくと草むらには一人の娘が倒れ込んでいた。もしもしと声をかけても反応はない。真っ青な顔に最悪の事態を想定したが、そっと手首に触れると微かに脈が動いていた。まだ生きているー…そう悟った伊作は乱太郎に籠を託した。
「そんなこと言ってる場合じゃないだろう?乱太郎、これを頼む」
「は、はい…!」
「よっと…」
確かに薬草はまだ一つも入っていないが伊作の中で優先順位が変わってしまった。いつからここで倒れていたのかはわからないが、幸いにも自分で止血しようとした痕跡が残っている。今日は救急箱も持ち合わせていないし、彼女の鼓動が消える前になんとかしなければ。そう意を決した伊作は娘を背負い、忍術学園へと急いだ。
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