「一年は組、猪名寺乱太郎です!」
「一年ろ組、鶴町伏木蔵です」
「保健委員会の当番交代しに来ました!」

「乱太郎、もしかしてこの人が…?」
「そう!道端で倒れてたお姉さん!カキツバタ城のくノ一なんだって!」
「道端で倒れてたなんて…スリルとサスペンスぅ!」

「小鈴…!」
「え…」
「小鈴…なんだな」
「り、利吉さ…」
「今まで…」

「今までどこほっつき歩いてたんだ!!このお転婆むすめ!!」
「ちょ、利吉さん…!」
「小鈴さん、怪我人ですから…!」
「怪我人だと?!経緯を話してみろ!」
「で、伝蔵さんの家を出たあと、カキツバタ城でくノ一ををを」

「カキツバタ城だと?!カキツバタ城といったら先日滅んだ城じゃないか!まさか戦に巻き込まれたとでも言うんじゃないだろうな?!」
「そ、そうなんです…偶然、保健委員会さんに拾われて療養してるところでして…」
「偶然拾われなかったらどうするつもりだったんだ!今頃野垂れ死んでたかもしれないんだぞ!」

「なぜ勝手に出て行った?!」
「独立したかったんです…」
「なんだと?」
「これ以上、ご迷惑かけたくなくて…」
「勝手に出ていかれた方が迷惑だ!置き手紙だけで、はいそうですかなんて納得できるわけないだろう!」

「土井先生が連絡くれたから良かったものの、私や父上がどれっだけ探し回ったことか…!お前は分かっているのか?!」
「あ…」
「母上なんか夜も眠れず、お前のことを心配してたんだからな!」
「ごめん、なさい…」
「ほんっとうに…無事で良かった…!」





「あー、ごほん」
「落ち着きましたか?利吉さん」
「ああ、なんとかな。取り乱してすまなかった…」
「粗茶ですが」
「ありがとう、乱太郎くん」

「小鈴、もう怒ってないから」
「…」
「おいで」

「兄上…」
「うん」
「ごめんなさい…」
「謝るくらいならするんじゃない。あとで母上にも挨拶しにいくからな…」
「…はい」

「ええと…お二人はご兄妹なんですか?」
「いや…正真正銘、赤の他人だよ」
「え、でも今兄上って…」
「小鈴は私の父…山田伝蔵のご友人の娘さんだったんだ」
「山田先生のご友人の?」

「でも、私はそのご友人に会ったことがないし…物心つく前から山田家でお世話になっていたので、本当の父親は伝蔵さんだと思い込んでいたんです」
「小鈴さんのお父上はどこに行ってしまわれたんですか?」
「さぁ…詳しいことは知らないけど彼も忍者だったから…仕事が忙しかったんじゃないかな。それで、小鈴をうちに預けていったんだ」

「それならそうと教えてくださればよかったのに…どうして山田の姓を与えてくださったのですか」
「父上にも考えがあったんじゃないか?お前の苗字を変えなければいけない何かがあったんだろう」
「だったらなぜお見合いなど…兄妹というだけで十分ではありませんか」
「お見合いって…」
「利吉さんと小鈴さんが?!」

「あれは母上のお考えだ。本当の家族になってしまえば、守りやすくなると思ったのだろう」
「どうしてそこまでしてくれるんですか…私は赤の他人なのに」
「…お前が可愛いからだろう?母上も放っておけなかったんだよ」
「私は大丈夫です…一人で生きていけます」
「…そんなに、私の元に嫁ぐのが不満か?」

「不満とかではなくて…!…申し訳ないんです。私はなにも返せないのに…こんなに親身になってくださって」
「別に返そうとしなくていいよ。お前がいてくれたらそれでいいんだから」
「…っ、もう少し考えさせてください」
「ああ…」
「そうか…それで、小鈴さんは家出を」

「ま、ゆっくり考えてくれればいいさ。それより、父上は出張に出ておられるのだろう?父に代わって一年は組の実技担当を受け持つことになったから」
「え?!」
「わあ!本当ですか?!」
「ああ、暫くの間よろしく頼むよ」
「そ、そんな…!」


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