「これでアジーム家とは暫くおさらばできるな…」
「…」
「…アディラ?どうした?」
「え?あ、いえ…なんでもありません」
「その割には顔色が悪いがな…」
「ずっと…気がかりなことがあるんです」
「なんだ?」
「私の変わりに毒味役になった方が…」
「あいつは地下牢にいた犯罪者だぞ。悪人の心配をしてどうする?毒味役には打ってつけの人材だ」
「それより俺はー…苦しむお前を見るのが嫌だった」
「え…」
「俺が倒れたのは一度きりだし、毒の知識も勉強してカリムにも叩き込んだ。まぁ、あいつがそれを覚えてるかは怪しいところだが…少なくても、お前に心配されるほど俺は柔じゃない」
「それは私が修復して差し上げたからでしょう?」
「なんだと」
「誰よりも聡明な貴方様がカリム様に手を出すとは考えられませんが…最悪の場合、第三者の手が加えられるかもしれないでしょう?貴方様が疑われるのが嫌だったから…私が引き受けたんです」
「なるほど…俺を信用していなかったわけか」
「そうではなくて…!私だってジャミル様をお守りしたかったんです…貴方様のあんな苦しそうな顔を見るのはもう、嫌だから…」
「…じゃあ、今回の選択は間違ってなかったみたいだな」
「え…?あいた」
「あんなところにいたら命がいくつあっても足りない。アディラ、お前もだ。いくらその能力があったとしても、浄化し切るのに時間がかかる…」
「あ…」
「俺が本当に守りたいのはお前なんだ…俺を庇おうとしてくれるお前を守るためにはー…これしか思いつかなかった」
「ジャミル、様…」
「だから、自由になろうアディラ…俺と一緒に…ナイトレイブンカレッジに通っている間だけでもアジーム家のことは忘れて…俺だけを見ていてくれ」
「ー…はい、ジャミル様」
「…よし、良い子だ」
「あのぉ、目的地に到着しましたが…」
「…!」
「い、今おります!」
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