「いて」
「どうされたんですか?」
「手元が狂って指を切ってしまった…」

「み、見せてください…!」
「これくらい大したことない…」
「いけません、血が止まっていないではありませんか…」

「思いの外深く切ってしまったみたいだな…」
「''熱砂の月夜は癒しの光…''」
「あ、おい…」
「''我が声よ、祈りとなり、希望となれ…''」
「よせ、アディラ」

「痛いの痛いの飛んでいけ(ヒーリング・タイム)」
「…相変わらずだな、君のユニーク魔法は」
「恐れ入ります…」

「それにしても、珍しいですね…」
「ん?」
「ジャミル様がこんなミスをするなんて…マジフト大会の練習で疲れでも溜まっていたんですか?」
「いや、具材を刻んでいただけなんだけどな…一瞬意識が遠のく感覚があったんだ」
「めまいですか?ならば、無理せずお休みになってください」

「殆どの奴はそう思うだろうが…俺はあの感覚に少し覚えがある」
「…と、申されますと?」
「ユニーク魔法の一種だ」
「ジャミル様と同じ催眠魔法の使い手…ということですか?」
「さぁな…詳しいことはわからないが…カリムの様子を見に行くぞ。俺を動けなくして、カリムを狙ってる刺客かもしれない」

「カリム様!」
「おぅ、アディラ!どうした?」
「ご無事ですか?!こちらに怪しい人物など来られませんでしたか?!」
「ん?怪しい人物ってのは侵入者のことか?特に見てないけど…俺もなんともねぇし」
「よ、よかった…」

「なにかあったのか?」
「実はー…」
「そうか、そんなことがあったのか…」
「まぁ…俺の怪我も大したことなかったし、マジフト大会には影響ないだろう…」
「明日、何事も起こらないといいですけど…」


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