「あーあ、見事に負けちまったな!」
「ジャミル様、お怪我などされてませんか?」
「ああ、問題ない…」
「エース!監督生は?!」
「保健室に運ばれてった!追いかけるぞ!」
「ああ!」
「ん?アディラ、どうした?」
「ちょっと野暮用ができたので、様子見てきますね」
「え?野暮用?」
「お二人は先に戻っていてください!」
「あ、おい!アディラ!」
「どうした、カリム」
「アディラが野暮用ができたっていって、どっか行っちまった…」
「そうか。まぁ、あいつなら一人で平気だろう…お前と違って」
「ん?なんか言ったか?」
「いいや?なにも。俺達は先に戻るぞ」
「はい、どうぞ」
「失礼します…」
「あんた誰?」
「スカラビア寮二年のアディラ・サイードと申します」
「あれ!アディラくんじゃないっすか!」
「ラギー様、お疲れ様です」
「てめぇの知り合いか?」
「俺と同じクラスで、ジャミルくんの幼なじみっすよ!」
「…ふーん。女みてぇな匂いさせやがって」
「ギクッ…」
「え?女?」
「確かに女みたいな名前だけど…ここ男子校ですよね?」
「そ、そそそうですよ!女子生徒がいるだなんて聞いたこともありません!自分の名前ってよく女に間違われるから、すごくコンプレックスなんです!」
「ま、そういうことにしてやってもいいけどよ…」
「そんことよりみなさん!お怪我などありませんか?キングスカラー様も…」
「これくらい舐めときゃ治る…んなことより、そこの草食動物を見てやれ」
「子分が目を覚さないんだゾ!」
「この方が監督生様ですね…ちょっと失礼します」
「''熱砂の月夜は癒しの光…''」
「な、なんだ?」
「光が…集まってくる」
「''我が声よ、祈りとなり、希望となれ…痛いの痛いの飛んでいけ(ヒーリング・タイム)''」
「う…」
「監督生!」
「…あれ?」
「後半試合が始まってすぐ、グリムがぶん投げたディスクが頭に直撃して気絶したの。覚えてない?」
「とにかく、目を覚ましてよかった。全然目を覚さなかったから打ち所が悪かったんじゃないかと心配してたんだ」
「んで、この人が駆けつけてくれて手当てしてくれたってわけ」
「そうだったんですか…ありがとうございました」
「とんでもございません。大事に至らなくて安心しました」
「でも、どうやって治してくれたんですか?」
「ユニーク魔法でちゃちゃっと治してたんだゾ!」
「アディラくんは魔力をコントロールすることで、癒しを分け与えることができるんっすよ!」
「仰る通り。監督生様は魔力がないとお聞きしましたから…共鳴できるか心配でしたけど、うまくいってよかったです」
「てなわけで、お前が寝てる間に開会式もとっくに終わって、もう会場の撤収作業始まっちゃってるよ」
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