Prologue
「ったくもう、あの子ったら遅いわねー」
ざぁぁと降り頻る雨の中。今日はランチをしにいこうと約束していた親友がなかなか待ち合わせ場所に現れないことに痺れを切らしたテンテンは、ナツメの住むアパートまで向かった。
「ナツメー?いるんでしょー?」
傘を刺したまま、ナツメの家の玄関をこんこんとノックする。返事はないがいるはずだと察したテンテンは、水滴を払ってから傘を閉じた。
「ちょっと、ナツメー?」
開けるわよーと声をかけてからドアに手を伸ばす、とぎぃと音を立てながら開いた玄関。どうやら、鍵はかかっていなかったらしい。
「電気つけないでなにやってるのよ…って」
そっと玄関に入り、傘立てに傘をしまう。そして、恐る恐る家の中に入ると、真っ暗闇の中ナツメが倒れ込んでいたのだ。
「嘘でしょ…ナツメ、ナツメ!!」
しかも、浴室の中で血を垂らしながら。左腕の血管を切ってしまったらしい。親友の変わり果てた姿を目の当たりにしたテンテンは、どこか悔しそうに後悔を引きずってしまった。