01.それは終局への幕開け

人は醜いと、いつか神は言った。

たくさんの種族が生きるこの世界で、
人間だけが、同じ過ちを繰り返している。

誰かを愛し、慈しみ、護り、その命を尊く思う一方で、常に誰かに怒り、妬み、憎んでいる。
重んじているはずのものを、簡単に棄てる。
護らねばならぬはずのものを、簡単に傷つける。
教えを自分達で作るにも関わらず、まるでそれが破る為のものであるかのように、すぐに背く。

人は愚かだと、いつか神は言った。

無駄だと知りながら、それでも尚足掻く。
矮小な存在で、自分は神を越える存在だと驕る。
屈強な防壁に隠れながら、己は強いのだと叫ぶ。
理想を語るばかりで、行動には移さない。
罪は擦り付けあうばかり、誰も己の非を認めようとはしない。

――だが、人は限りない可能性に満ちていると、いつか神は言った。

同じ道を歩んでいても、其々が別の結果を得る。
同じ種族のはずなのに、1つとして同じものは居ない。
不可能であったはずのことを、可能にしてみせた者も居る。
この世界で一番不思議で不可解な生き物。

そんな彼らをずっと見ていた神々は、ある日こんなことを思いついた。

では彼らに、機会を与えようではないか。
果たして人間とはいかなるものなのかを我らに示す機会を。

神は地上へ橋を下ろし、橋に鍵をかけ、その鍵を放り捨てた。

あの鍵を見つけ橋を渡り、我らの前に辿り着いた者が居たならば、その者が示した答えを、人という存在の答えにしよう。

これは神が定めたゲーム。
これは人に下される審判。

大時計がその始まりを告げる。

" さあ 始めようか "
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