--現象??

作文その三。

その二

【イベント】も振り返っとこう。第2部7章『ナウイ・ミクトラン』に向けた心の準備をしておこう。

第2部って、現実世界に空想の根が下りることから始まって、創造神話のクトゥルフ関連フォーリナーが次々と登場して、一見ごった煮のようなイベントもテーマが繋がってるんですよね。
まず『レディ・ライネスの事件簿』。ムネーモシュネーはダ・ヴィンチちゃんが生み出した自立型存在証明システムでした。彼女は創造主はもうこの世に存在しないこと、カルデアのマスターがそのことで悲しんでいること、他にもたくさん辛い目に遭ってばかりいることを知り、その悲しみを癒したくて暴走しました。システムがマスターの記憶に干渉して、偽りの記憶にすり替えようとしたのです。偽者のデータを本物にしようとした。しかもこのイベントには「有り得た未来」と「夢想した未来」を体としてもつ「有り得ざる夢想を追う数学者」バベッジ卿と、名探偵へのデウス・エクス・マキナ(但し世間の願いで失敗する)である「完全犯罪立案者兼数学教授」新茶も出てるんですよね……三田先生にシナリオ執筆依頼する際に指定とかあったんだろうか……ロンドンと新宿、忘れてる所も多いから本格的におさらいした方が良さそうだな……。
それから『オール信長総進撃 ぐだぐだファイナル本能寺』。謎の箱を皆でツンツンしてたらそれがなんとアトラスの錬金術師が発明した思考実験装置ロゴスリアクト(限定的観測空間を生成し、そこで仮想実験を行うので実質特異点発生装置らしいよ)の廉価版ロゴスリアクト・ジェネリックだった!ので、ゴジラパロみたいな架空戦国特異点が出来上がりました。なんだいつものぐだぐだギャグか、で片付けていいんだろうか。今になればこれも相当危険度高い代物だというのがより理解できて頭を抱えたくなるね。
『セイバーウォーズ2〜始まりの宇宙へ〜』ではサーヴァント・ユニヴァースの人々は全員サーヴァントだって設定が明らかになったけど、これも実は繋がってきたりする?“シーズン”って概念もまた滅茶苦茶なんだよな。宇宙規模のシミュレーション?ぐぁ、そろそろ頭が茹ってきた。スーパーコンピュータ並みの情報処理能力が欲しい。
徐福ちゃん初登場だった『サーヴァント・サマーキャンプ!〜カルデア・スリラーナイト〜』も復習した方がいいかな。蓬莱山にやって来た彼女は、ぐっさまを不死から解放して差し上げるために、あらゆる“死”の要素を一つの仮面に宿らせようという実験を繰り返しました。人形を使って何度も何度も、気が遠くなるほど。弟子とその子孫も引き継いで十万回ですってよ。試行錯誤を積み重ねて“死”をシミュレート。結果、仮面は二千年もの間“死”を蓄積され続けて人間への憎悪の塊と成れ果てました。感情が無いはずの無機物でも、時間と回数を重ねれば似たようなものを抱き始める、というFGO世界の前提が確認できます。
そうなると塔イベ『アキハバラ・エクスプロージョン!』も無関係とはいえません。秋葉原でオタクがきゃいきゃいしてるだけじゃなかった。ピグマリオン王は自分が造りだした彫像であるガラテアを人間のように扱い、愛情を注ぎました。元祖フィギュア萌え王。ついにはアフロディーテに願いを叶えてもらい、ガラテアは命を授かります。神なら無機物に命を吹き込むなんてチョチョイのチョイよ(自分の欠片をあげるとかいうとんでもないことしてる)。そう、このイベントにはアフロディーテが登場していた。ここで「オリュンポスの神からして最初は無機物だっけ」と改めてしみじみする。端末アバターなる駆体を派遣して人間を模していても真体アリスィアは質量莫大な星間航行艦です。神はロボ。それならいつか文明が進み過ぎた地球で生まれたロボが将来他所の星の神になってもそれも自然の摂理だな。……おい、自然って何だっけ。

しかし考えれば考えるほど、異聞帯の始皇帝の在り方って興味深いものだったんだなぁ。人間として生まれたけど、不死を望んで弩級サイボーグになって、我こそが我のみが真の人であると主張して、最終的には真人躯体とかいうアバターと変わりないやつ持ち出して形は回帰しちゃうんだもん。やってることオリュンポス十二機神とほぼ変わらないんじゃないのぉ〜?
機神は別の宇宙から転送されてきた疑似太陽系であると明かされている。このソースを元に、ここからは個人の想像をふんだんに含む推測を垂れ流してみる。……別の宇宙の地球と似た環境の星に、或る知性体がいた。知性体はテクノロジーを過度に発達させていき、科学的不死を追求した。それが功を成し、知性体は有機物の体をやめて無機物の体へ移行してみた。けれど星の資源は有限なうえ、星にも寿命があったから、新天地への移住を目指すことにした。そのためにテクノロジーの粋を結集させた最高の自立型機械群を創造して、宇宙開拓に旅立たせた。この機械群は入力された指令通りに働いていたが、なんと留守の間に元いた星(母星)が何らかの因果(更なる別宇宙からの攻撃or剪定or星の自爆という名のリセットとか?)であぼんしたので、創造主はいなくなり、帰る所もなくなった。マニアワナカッタ……で、これ以降はFGO本編で語られているところへ繋がるかなぁ。
人間やめて月でAIと聖杯戦争するシリーズのある型月なんだから、まぁこういう設定だったとしても驚かないぞ。

突然の斎藤さん「あのギリシャ神話の神々がロボとはねえ。だが、平安じゃ源氏武者もロボだってんだし、今更驚くことでもないか……いや驚くだろ普通!?」

おかしかないさ。弓の一射で船を轟沈せしめるんだからロボなんだよ。平家にあらずんば人にあらずって言うし?その通りじゃない。いいんだよ。

他にも重要な要素を示唆していたイベントを挙げるともうキリがない。『昭和キ神計画 ぐだぐだ龍馬危機一髪! 〜消えたノッブヘッドの謎〜』もキ神に人類を支配してもらおうぜ!っていうのだったし、『マナナン・スーベニア・バレンタイン』はカカオの木が根っこでなんやかんやだし、『水怪クライシス〜無垢なる者たちの浮島〜』のコンちゃんは各個体にも自我があるけど意識共有してて「群であり個、個であり群」という生物の在り方があることを伝えてきたし、それだけでなくダゴンなんかは「人の信仰が変われば神の姿も捻じ曲げられる」ことを体現していたうえに人に怒ってた(そういやディオスクロイ・カストロもそうだ)し、『連続活劇神話ミシシッピ・ミササイザーズ』ではもう大っぴらに「神話を創造しようよ!」つって、ほら話から生まれたサーヴァント・バニヤンのような存在は時代が変わったり背景が後付け強化されるだけでめちゃつよアルターエゴにもなれると証明していた……作り話が映画しんわになる。

空想。神。根。菌糸類。浸蝕。ウイルス、バグ?

『15人の理知的なメガネたち』だって、コンスタンティノスを先行お披露目するホワイトデーイベというだけではなかったんだ。人工の生命体が想定外の意思を獲得して暴走、創造主への叛逆を企て、特異点を発生させるに至る。敵は特別なレンズを通してしか視ること適わず、ただ倒すだけでは詰み。もうこれはアレだ、トラオムは運動会で、メガネイベは運動会の練習みたいなものだったんだ。……私の言いたいことは伝わっておりますでしょうか。もっと伝わりやすい表現はきっとあるはずで、喉まで出かかってもいるのですが、うっ……駄目っぽい。

最新イベント『南溟弓張八犬伝』もクリアしましたよ。
曲亭馬琴!この人の著作に『南総里見八犬伝』『椿説弓張月』があることはもう皆様ご存知でしょう。たいそう戯作げさく三昧したお人ですが、実は随筆も遺しています。『玄同放言』というのがあって、これには戯作をするために彼が沢山の調べ物をした成果と独自の考証などがまとめてあります。中でも注目したいのは巻ノ一上天ノ部『蛭児ヒルコ進雄スサノヲ』。何を隠そう、彼こそがお竜さんヒルコ=北極星ではないかと説いた一人なのです。そして八犬士のシンベエは、おそらくヒルコがモデルになっています(推論)。私は勉強不足なのであまり語れません。しかし八犬伝のことならお任せの凄い方がネットの海にはいらっしゃいます。興味がおありの方は、ゆーかさんのHP『伏姫屋敷』を訪れてみてください。
イベント劇中にて「これがFGOのすべてじゃろ」と思う台詞があったので引用します。

以蔵「そうはならんき?」

馬琴「わしがなると書けば、為らぬものも成るのだっ」

「そうはならんやろ」「なっとるやろがい」ってワケ。

俵藤太「いささか都合が良すぎるかな。さては敵方、芝居か御伽噺かな!」

もうこっから怒涛の概念戦争は百点満点です。概念ドッカンバトル、夢の対決ロマン・マッチの連続、これぞFGOの真骨頂って感じ。
テルさんには痺れました。「外したら護りたいものが失われる」という局面において、テルさんに勝てる物語なんてありません。一言も口を挟まれず笑顔で送り出されるとかいう、ギルガメッシュ王から頂戴し得るなかでも最高の賛辞と栄誉を賜っていました。それにテルさんは、馬琴にも為朝さんにも思う所があったでしょう。一人の父親として。……ダビデは……喋らなかった……。
馬琴は、息子を蘇らせて会いたかったから今回の騒動を起こしました。そしてカルデアのマスターに一家言の矢を放ちました。

「どうする、〇〇――。」
「おぬしは掴むであろう。必ずや悲願を果たさんとするであろう!」

お前だって、手の届く先に叶えたい願いユメがあったら掴むだろう、と。現時点ではそれ程でなくとも、後々響いてきそう。私の頭の中では「おぬしがいた世界を、おぬしの家族や友達がいる汎人類史を、取り戻せる術があるなら何だってやるだろう」と変換されました。

無理矢理にでも総括しよう。

FGOのシナリオは全体通して見るとバケモノだ。何年もやっててシナリオの質が落ちたとかたまに聞くけど、そりゃあ何でも長続きすると盛り上がりや熱狂度合が断続的になるのは仕方ない、宿命なんだな。でもバケモノだよ。
『BLEACH』が大好きな私は、「通して読むと各章ちゃんと全部繋がってるとわかる」とか「あの昔でてきた場面は時を経てここに係ってる」とか「何度読み返してもその度に新しい発見がある」とかいうスルメ要素が大好きなんだ。FGOの沼にどっぷり浸かって5年半、いやぁオタクやってて良かった。
夢物語の曖昧な美しさ、現実を侵食する空想の脅威、人間とシステムの付き合いが孕む危険。こういったテーマに今後のシナリオで更にどう言及していくのか、とても楽しみです。

南米にいるデイビット・ゼム・ヴォイドくんのことも気になります。名前の直訳が「デイビット、彼ら、カラ」になるの怪し過ぎてワクワクしてるので。あと単にガワがカッコ良いので。ペペさんが惚れるくらいだから中身だって無限にイケてるはずなんですよ。FGOシナリオ内でも「現実に空いた『孔』のような人物」って言われましたし。きっと底がない人に違いありません。そして、私はカドックくんの人物評はとてもアテになると思っています。

「先の見えない暗闇のような人間かと思えば、明確に、人の迷いを晴らす光になる事もあった」
「話が通じているかと思えば、言語そのものからして通じていない時もあった」
「コミュニケーションは円滑」
「何の関係もない、何の段階も踏まず、突然、こっちの欲しい解答を口にする」
「観ているものの次元が僕たちとは違う感じ」
「断絶しているのに連続している」

この辺の表現は妙に的を射ているはず。連想される単語は、鏡、無闇、水面下、虚数、虚空、飛躍、四次元、根元、衛星、金環、ブラックホール……タイムスリップ、降霊……在りもしない未来の自分が、現在の自分の中に降りた……?あの、これらはカドックくんと違ってアテにならない私の徒然なる着想の羅列でしかありませんから、突き詰めて考えないでくださいね。
はてさて、デイヴィッド・ブルーブックの存在はミスリードか否か。

もう十分過分うんざりする量のオタク怪文を打ってきましたが、まだ終われません。


【コンスタンティノス】の話をもっとしたい。

コンスタンティノス11世について正しく理解して言葉にするのは一苦労をこえて四苦八苦モンですが、挑んでみましょう。
えー、これより、彼のマイルームボイスやプロフィールやメガネや史実にも触れながらネタバレ三昧、個人的解釈爆発放題でいきます。読んで訳わからんかったらすまない。私もやっとなんだ。こいつコン陛下に狂ってんな〜と温かい目で見守ってください。


【トラオムのコンスタンティノス】の話をしましょう。
ヨハンナを欠いては彼を語れませんので、途中ヨハンナについての考察もふんだんに交えます。

徐福ちゃんがお手紙で教えてくれた「マスターは複数」説。仮にその通りだとして、彼は叛逆心旺盛な方のマスターに召喚されたのだろうと思います。「汎人類史の英霊である」という自覚を保ちながらも「汎人類史に叛逆せよ」というマスターの性質には抗えない。自我は消されていないが、無理矢理に叛逆という性質を付加されたことで、自己矛盾に苦しむことになった。かといって、決して人理継続保障機関の味方にはなれないし、なろうという想いも湧いてこない。湧いてくるのは、理由の把握できない汎人類史への怒りばかり。英霊としては歪んでしまっていた。真名はもはや無意味で、功績はすでに無価値。
それでも彼は思考を続けた。考えるのをやめなかった。やめて、もっと他の皆みたいに流れに身を委ねてしまえば楽なのに、元々よく頭を使う人であんまり真面目なもんだからそれができなかった。例えば、「私の行いは正しくない」と思うのに、「マスターの怒りは正しい」と思う。「俺はどうにも理屈っぽいな」と自己分析できてるけどソレはソレ、やっぱり理由や道理なしには生きられない性だから、何か確固たる理由や道理を求めた。具体的には、何か護るべきものが欲しかった。「これを護るためなら、叛逆することが正しくない訳がないのだ」と、迷いを振り払えるほど正しい何か。自己矛盾から目を逸らして突き進む動機モチベーションとなる聖なる何か。生前であればそれは祖国だったが、今ここに祖国は無い。護るべき民もいない。他にあても希望もない。道中、たとえ正当防衛であっても、相手を殺す度に「己はどうしようもない通り魔だ」と自虐した。「クソ、いっそ狂化Aバーサーカーになりたい」なんて頭を過っていたかも。実際、こんな状態の彼は狂化EXみたいなもんだ。本来の彼なら汎人類史への叛逆なんて受け入れるはずがないんだもの。自己嫌悪、無常観、無力感、観念からの失墜。東ローマ帝国最後の皇帝、人理に刻まれた英雄としての彼は、早い段階で死んでいた。

そして通り魔の男は、女教皇ヨハンナに出会った。

かくや好都合か運命!なんと有り難き救い!君こそ理由たりえよう、君なら道理かなえよう。嗚呼、「無利益ゆえの祈り」を捧げるに相応しい偶像のひと。勝手に生み出され勝手にころされた可哀想なおんな。君の怒りは正しい、君の願いは穢れない。私は君を援けたい。君は私を、自分が生き残るために使っていい。君にはその資格がある。ちょうど復讐界域とは相容れないと思っていた所だ、君の復権を約束して新たな界域を興そう!のための界域だ!ははは、君がいいと言うまで動かないぞ!

……っわ、重い重い!重苦しい!なんかこわいまである!……でもぶっちゃけこういうことでしたよね?彼は彼女の復権を誓うことで、叛逆を正当化させた。自己矛盾を打ち消した。大義名分といえるような崇高なものではなく、完全なる私怨として、彼女一人のために汎人類史を許さない。これはヨハンナが「重いっつーのですよ!」ってなるのにも納得するというものです。
もう一度言いますけど、本来の彼なら絶対にやりません。幻想の女教皇に憐憫の情を抱いて「どうか君に幸あれ」と心から祈りはしても、ここまではしないでしょう。
仮に、どこか別の特異点でボスとして君臨するヨハンナに汎人類史の英霊コンスタンティノスが相対したら、彼は悲しみ憐みながらも迷いなく彼女に剣を向けると思います。世界と人理を護るためなら。ところがどっこい、今回はとんでもイレギュラー状態なので、人理とか世界なんて大きなものはどうでもよくなってる。ヨハンナが汎人類史側でも構わない、だっていま彼女を逃がしたらもう“理由になってくれる小さな何か”、通り魔を騎士にしてくれる{姫・主・少女}には二度と巡り合えないだろうから。
強い力をもつ自分が護るべき弱き者や幼き子がいれば、彼はそれらを庇護し、死守せんと奮い立ったに違いありません。ですが生憎と、ここにはサーヴァントしかおりませんので。

イマジナリートラオム陛下「さぁ何が何でも理由になってもらおう。ん?強引だって?すまないな、分ってやっているのさ。押しに弱い君が悪い、ははは」

ヨハンナは『誰かの為の物語』ですらありません。猜疑心から調べ上げられた結果とことん否定された虚構の歴史で、『誰の為にもならない嘘』が彼女の始まりです。「女は聖なる教皇には絶対になれないし、なってはならない」という昔の知らない誰かの宗教観に即した妄想の産物。「こんな教皇がいたらしいけど、女で穢れていたから皆でローマの正義のために石を投げて馬で引き摺って殺したんだよ」なんて猟奇的な作り話を最初にばら撒いたのは誰だろう。それとも「本当にいたけどマジであってはならん事だったから書にも記さず口外もせず闇に葬ろうな」て口裏を合わせた可能性も微レ存……ない?そうかい。とにかく、そういう経緯で生まれたのが『架空の女教皇ヨハンナ』です。これでは誰も尊敬してくれそうにありません。願い祈る対象にもなりにくいでしょう。
とにかく英霊とは人々の願いによって召喚されるものであるというなら、反英雄の方がまだ理屈が解ります。人には悪性、破壊衝動、害意など負の側面もありますから。じゃあ、ヨハンナが人理側の英霊としてトラオムに現界できた要因って何だろう?と改めて熟考してみた結果、私の頭は次のような答えを弾き出しました。

――「汎人類史を恨み憎む謎のマスターの願い」と「汎人類史を救いたい抑止力の願い」がゴッチャになるという、トラオムにおいてのみ極めて低確率で発生し得るバグのせいだったんじゃ――?

前者の願いに呼応するのは、同じく汎人類史を恨み憎んでいるサーヴァントが相応しいでしょう。その点ヨハンナは別格といえるほど適格です。人類に勝手に生み落とされ、いじくられ、殺され、苦痛と屈辱を受けたのですから。しかし彼女は弄ばれたものフィクションなので、胸に燻る恨みや憎しみすらも、他者の想像によって植え付けられただけの幻かもしれません。
「実在したとしたら、人類を憎悪するだろうな」「お前は何者だ?何を想う?本当に居る/居たのか?」……この辺、マスターとやらはヨハンナと似たり寄ったりな存在なのでは?という疑惑があります。だから余計に「本来は叛逆側として召喚されるはずだった」という仮説が補強されていくのです。第二の張角になるはずだったと言われても驚きません。

後者の願いに呼応するのは、汎人類史の人々の願いを一身に集めるような英雄らしい英雄でしょう。シャルルマーニュ十二勇士やジークフリートはまさにそうです。第五異聞帯から流れて来たドン・キホーテ配下となった決死行組も、汎人類史のマスターのために命を懸けられる立派な英雄であったのは言うまでもありません。
ところが、ヨハンナは前者ではなく後者の――人理側のサーヴァントとして現界しました。何故?……おかしい、辻褄が合わない。これではやるべきこと(特異点修復)にも消極的になって然りというもの。何かの間違い(バグ)で人理側となった彼女は、コンスタンティノスの勧誘にもあっさりのってしまうくらいやる気が起きなくて……言ってしまえば、寝返りました。こうして、汎人類史に叛逆する人理側サーヴァント、という余りにも矛盾した存在ヨハンナが爆誕したのだった!……という説を提唱してみます。まぁ軽く流してください。

汎人類史の女教皇ヨハンナは、悲しいことにどこまでいっても嘘なのは確かです。

英霊ヨハンナは、人の感情にやや疎く、個も薄い人物である気がします。人間として生きた実感がないから、愛というものがよく解らない。教皇として形作られたから、祈る他にやるべきことが思い・・付か・・ない・・。これらが「彼女は所詮架空の存在だから中身もぼんやりとそれっぽいだけ」みたいなコンセプトの構造ツクリからきているのだとしたら遣る瀬なくなってくる……。まぁとにかく、彼女は押しに弱い。感情には他人に名前を付けてもらうし、祈りを捧げられると受けとめるしかなくなる。
そこにつけ込む悪い男、コンスタンティノス。くぅ〜きさま……おぬし……。トラオムのコンスタンティノスって本当にここだけでしか見られないコンスタンティノスですよ。鎮西八郎為朝の宝具から彼女を庇った行為もその証拠といえます。一国の君主であったなら、そして領地が陥落する時がまだであるなら、何よりも自分の命を守らなくてはなりません。それなのに、一人の幻想しょうじょのために命を手放すことを選択しました。国ではなく個人のために命を張りました。皇帝や将として振る舞っても、このコンスタンティノスの本質はどうしようもなくただの男だったのです。人を助けるヒーローでありたくて、姫を護る騎士でありたくて、格好をつけたかった。女性にいいところを見せたかった。

「この思い出も、この感情も、何もかも全てが押し流される。つまり俺以外のどの私も、この特異点の彼女に対する情を抱くことはない!」

これ、彼に夢を見るユーザーへの配慮というよりも、ここまで読んでもこの彼の“唯一性”を見抜けていないニブい読者への痛烈な念押しであったのだと思います。私は何日も何日も考え続けて今でこそ理解できていますが、この台詞がなかったらやや誤解したままでいた可能性も無きにしも非ず。
『「ギフトで反転していたトリスタン」や「カルデアを急襲したカドックのアナスタシア」といった、敵対して非道を行った彼・彼女とカルデアにいる方を混同して一部ユーザーが荒れた前例があるからって、対策として劇中でコンスタンティノス本人に「別人です」って言わせるのはどうなんだろう?』といった感想を呟いている方をネットの海にて何名かお見掛けしました。私も最初は同じ気持ちでおりました。ですが、考えを煮詰めた今では「他は曖昧にしてる所が多いのにそこばっかりは断言してくれてありがとう!」と掌を反しております。トラオムシナリオ説明不足じゃない?って思ってた私よさらば。噛めば噛むほど味が出てきて美味しいです。いい塩梅ですよ。
受け取り方は「人それぞれ」ですから、お互い自分の素直な感想を大切にしましょうね。

その一方で、彼はここまで本来のあり方からかけ離れた状態であっても、“芯”は腐っても崩れてもいませんでした。6.5章クリア後に明かされるプロフィール6にはこうあります。

『彼は人理を守るのではなく、人理に叛逆する側として界域戦争に参加。汎人類史の存在である女教皇ヨハンナの復権――即ち、実在したことを歴史に刻むために戦った。
そこに歴史に見捨てられた者としての怒りがない、といえば噓になるが、それだけで界域を統一しようと志すまでには至らなかっただろう。
この皇帝は怒りでも憎しみでもなく、かつて尽くした己が国のためでもなく、自身を幻想と理解してなお立ち向かう少女のため、滅びの時まで駆け抜けたのだ。』

彼にとって、怒りや憎しみといった負の感情は、全力を尽くす動機にはならないというのです。負の感情を抱かない訳ではありません。寧ろ……嗚呼……彼の絆礼装を見てくださいよ。こればっかりは引用も止めておきますので、見たい方だけ検索してください。私は見ました。たしかトラオム実装一週間後の6/8に見たのですが、私が5/31に公開した当サイトの拍手お礼文(鰤の東仙隊長視点)に込めたテーマと見事に合致していたので、運命を感じずにはいられませんでした。
彼は、必要とあらば悪巧みも厭わない人です。ヴラド公をして「書いた者の情熱と冷酷さが露わになっている」と言わしめる檄文を書いて送れる人です。負の感情はあります。当たり前のことです、彼も元々は人間なのですから。怒り、憎む心は彼の奥底で熾火のように燻っています。シャルルマーニュもこう言っていました。

「叛逆なんて理由はただ一つだろ。堪えがたい怒り。生かしておく必要などないという、どうしようもない激情」

ところがコンスタンティノスは、そういう自分の負の感情を全部二の次にできる人なのです。カルデアに召喚された彼の絆5ボイスが畳み掛けてきます。

「好きな人間のために、全力を尽くしたいのさ」

人のために。好きな人間のためにだけ、全力を尽くせる人なのです。マスターの善悪の性質に左右されることがあっても、これだけは彼の普遍の信念です。戦う理由が「怒り」しかなくなってしまった時は胸を痛めるような人なのです。聞いてますかシャルルマーニュ、この敵カッコ良いでしょう?「ゆっくり話してみたかったな、アイツとは」って言ってましたよね、ならうちのカルデアにおいでよ。コンスタンティノスは呼符で来てくれたけど君は三桁の石をマナプリに変えてくれただけだぞ。……怒って?ナイナーイ。
コンスタンティノス、どこまで貴くお優しい皇帝陛下なのか。こんな人が平気で嘘を吐く訳がないし、心根は清廉であるに決まっています。
そんな彼でもああなるのがトラオムという特異点であり、そうさせたのはマスターが魂に刻んだ叛逆心です。これは絶対に忘れてはいけません。間違っても、あれが本来のコンスタンティノス像であるなどと認識してはいけません。あれは夢幻です。
たとえ泥濘の環境におかれても、「何のために全力を尽くすか」という“芯”だけは絶対にブレない。そういう人であるということだけが、厳然として光る確かな事実です。

ドン・キホーテに決闘を挑まれたときの彼の心情を考えてみると、とても辛い。

生前のコンスタンティノス11世は、希望のない籠城戦であっても最後まで降伏せず、信じるもののため、護りたいもののために剣を取り、戦い抜いた英雄です。勝てないことを悟りながらも神に祈り、皇帝でありながら煌びやかな装いを脱ぎ捨て、配下の兵と共に決死の白兵戦に身を投じました。
彼が護りたかったものは、ささやかな日常と、のどかな平和と、そこに暮らす民たちでした。

目の前に、一人の老騎士がいます。

希望のない籠城戦に臨んでいます。降伏してくれません。信じるもののため、護りたいもののために槍を手放しません。勝てないことを悟りながらも、戦い抜こうとしています。
ささやかな生活を営み、のどかな田舎に暮らす、騎士に憧れる庶民が、手袋を投げてきました。

老人に、生前の自分が重なります。

老人は、人理を護らんとしています。幻想の姫であり従者たるサンチョを護らんとしています。呼吸をしたい、心臓を動かしたい、酸素を取り込んで二酸化炭素を吐き出したい。死にたくない、と怯えています。それでも、大好きな人間のために全力を尽くさんとしています。

コンスタンティノスは受けて立ちます。彼の城を陥落させ、彼の夢を壊さねばなりません。

「君の身勝手な振る舞いは、無意味だ。」

……ど んな 気 持ち で。

どんな気持ちで言ったんですか。アナタ。いったいどんな気持ちで。もう、はあ、つら、つらい。
でもこの後もひたすらカッコ良いんだよ。この戦場、カッコ良いやつらしかいない。ドン・キホーテもカッコ良いし、シャルルマーニュもカッコ良いし、急に一騎打ちに割り込まれても即座に「貴公の名を問おう!」と訊けるコンスタンティノスもカッコ良い。ジュワユーズにテオドシウスの城壁ちょっと抉られたけど、大した被害も怪我もないみたいだし。っょぃ。

「遅れて参陣!」

っと謎のサモナー(開戦前に似た声を聴いたような気がする)が現れたことだし、陛下は撤退します。
正直いうと、ここで陛下とのバトルがなかったのは驚きでした。聖杯で超強化されて通常時の何倍もカッチカチになったテオドシウスが立ちはだかる高難易度ばりのバトルがどこかにあるもんだと思っていました。そんなことはなかったよ。ぶっちゃけ「この人をこの手で倒したくない……!」と思っていたので、私の心は助かりました。でもここでバトらなかったせいか、生前は天皇にも弓を引いた前科のある武者もののふが迷いなく教皇を狙った一矢によって、陛下は射抜かれてしまいました(実装された為朝さんの宝具が無敵貫通&防御無視&秩序特攻とかいう余りにも陛下に刺さる仕様で泣いた)。

復権セイバー「陛下がヨハンナ様に惚れたように、我々も貴方に惚れたのですから」

はい私も!カルデアにいる陛下とマイケルだった陛下も大好き人間です。聖杯をくわせました。
ローマと新撰組という違いはあっても、陛下と土方さんは何処か似ている気がします。最後まで戦う大将。護りたいものを最後にしたくない男。「ここが新選組だ!」に対して「ここもローマ!」するのは偉大なる神祖ですけども。それから土方さんは何気に聖杯からの強制を撥ね除けたことがあるトンデモ誠野郎なんで、仮にトラオムに召喚されて叛逆を魂に刻まれそうになっても「うるせえ!」してマスターの言う事きかない可能性が高いんですけども。……似てるって言っていいのかこれは?(矛盾)
バスタークリティカルで殴り勝つ二人、バトルでご一緒してもらうと割と相性良いですよ。ここにホームズも添えると敵は死ぬ。神だって死ぬ。

2238騎ものサーヴァントがその場に残って、最後まで陛下と共に戦いました。嘘から始まろうと、無様と評されようと、共にいる時間が長くなるにつれ育まれた「この人について行きたい」という願望は本物になっていたのですね。生前の陛下はカリスマを発揮していたと思われますが、トラオムの陛下は魔性を発揮しちゃいませんでしたか。2238騎の皆が陛下のこと人間として大好きだったんですよ。ヨハンナ様の復権という旗のもと集まったはずなのに、気付いた時には陛下に首ったけになっちゃってたんですよ。うん、これは魔性の男。言い逃れは出来ん。
陛下も猊下も「楽しかった」って。新茶やホームズとも話が合いそうですね。
夢のような世界で、嘘が本当になっていった。トラオムは素敵なファンタジー&ロマンスのお話でした。ローマ皇帝と教皇の役はお休み、ここだけの二人のローマの休日。

トラオムクリアで貰える概念礼装の話。
『燈る祈りを胸に掲げて』

フレーバーテキストがいいですね。各界域のリーダーだった三人の夢が詰まっています。
この光景は、彼らの物語を見届けた我々が思い描く夢の続き……ということなのでしょうか。既に幕は降り、皆とはお別れをしましたが、こうして「夢想の絵画」として形に残って、この先の旅にも連れていけるのですね。
FGO始めたての頃の私は「概念礼装」というモノの意味をよく解ってなかったっけなぁ。お恥ずかし懐かしい。「装備?他のゲームみたいに武器とか持たせるんじゃないんですか?」って。FGOは概念で戦うお話なんだから、概念を装備できて当然ですよね。強い概念ほど魔術的効果も強くなるのさぁ!

描かれているヨハンナは、髪色、服装、そしておそらく年齢すら変わっています。私の周囲では「これは再臨があるってこと」「ヨハンナ実装フラグ」という見方の人が多いです。ヨハンナ実装……周年記念で☆1〜2ルーラーとかありそうだなぁと思います。でも個人的には実装しないままの方がいいなぁ。彼女に出会えたのは、あの特異点だからこその奇跡だったのです――という終わり方が美しいと思うので。実装されたらされたで喜びの踊りをするけどね。『それでも』って言ってくれたし。
私自身の見方では、これは再臨の匂わせではないです。教皇ではない、サーヴァントでもない、普通の少女としての彼女の姿だと思います。トラオムにいたコンスタンティノスが願った夢の姿です。纏うのは神聖な法衣ではなく、ゆったりとした質素な服。地毛は人々が夢想する二次元少女のような明るい色ではなく、ありふれたごく普通の茶色。感情が鈍かったり、感情の名前が分からなかったりした曖昧な虚構ではなくなった、ちゃんと生きている人間。血色が良くて、頬を染めて照れたりもする可愛らしい女の子。私はそのように解釈しました。

これ、真ん中に描かれている白い梟のような鳥さんはミネルヴァですかね。ふふ。


頃合いなので【カルデアのコンスタンティノス】の話に移ります。

当たり前ですが、汎人類史への叛逆心は微塵もありません。ノーマルなコンスタンティノス11世・パレオロゴス・ドラガセスです。主に祈りを捧げ、祖国に愛を捧げ、人理を守護するとマスターに誓う、頼もしいライダーです。
ピックアップ召喚画面にあった謳い文句は『帝国最後の皇帝、いざ堂々と出陣』『此度こそ、人の理を守り抜くために!』でした。6.5章公開前の先行実装だったので、当初はその意味を正しく測れませんでしたが、今なら分かりますね。彼は6.5章クリア後の絆5ボイスで「記録はあるが、実感はないな」とトラオムでの出来事について言及してきます。別の自分は人の理と対立していたことがあったらしいと自覚しながら、強い決意を以てカルデアに参陣してくれているのです。

聖杯にかける望みについて、彼はマイルームでこう語ります。

「聖杯か……いや、望むことは何もない。君が自由に望むがいい。その望みが、私が守るべき法に違反しない限り、全力で叶えよう」

失礼ながら最初は耳を疑いました。ローマの復活を願わないどころか、マスターに譲ると。生きている人間である君が使うべきだろうと。通りすがりのアルトリアがアイス落とした。
彼は祖国を護る籠城戦で負けたくなかった、滅びたくなかった、あんな終わり方ほんとは嫌だったのです。ずっと苛まれ続けているはずなのです。メガネイベ時の台詞を思い出してください。

「聖杯……か。いや、私が聖杯を求めたのはかつて私と共に滅んだ帝国が――より・・平和・・的に・・終わる・・・結末は・・・ないか・・・、と考えたからなんだ」

それでもカルデアにいるサーヴァントの彼は、生きている人間のマスターの願いを差し置いてまで、あの時あのコンスタンティノープルで生まれた感情や死んだ無念を覆したりはしないと。
最後までついて来てくれた兵士を、民を、テオドシウスの城壁を愛し尊ぶならばこそ。たとえ何度あの戦いを繰り返したとしても、降伏だけは絶対に選ばないであろう皇帝陛下。ただ穏やかに生きたかっただけの寡夫。もし生まれた時代が違っていたなら貴方はきっと稀代の名君に、嗚呼。
カルデアでならドン・キホーテとも仲良くやれると思うんだ。でもウチにいないんだ……。レオニダスとも会わせたい。隙あらば聖杯をちゃっちゃと使う気満々な天草四郎とは致命的に相性が悪いかもしれない。よそ様のカルデアにはアーチャー・メフメトU世がいて険悪どころの騒ぎではないらしい(空想樹)。

ジャンヌへの台詞も一部引用します。

「己のためではなく、誰かのために祈りを捧げる。君は、それができる人間だからね」

あ、あなた様もできてるんですわ!誰かのために、心の底から無償の愛を惜しみなく!聖ゲオルギウスとマルタ殿もにっこりですよ。だから三臨で謎の聖なるふよふよ冠を頂いているのですかっ!?え?一臨オベロン?知ってる子ですね……。

聖杯戦線で陛下大活躍だったな〜自分で星出してバフ盛ってクリ殴りして無敵で敵宝具を防いで本当に隙がない。しかもライダーだから新ルール下で輝きまくり、ビュンビュン進撃する。敵からしたらカッ飛んでくる移動要塞。誰が言ったか“マイケルの動く城”。FE暁ではハールさんというカッコ良い滅茶強ドラゴンマスター(FEご存知ない方はニキチッチのバトルグラを思い浮かべてください。あんな感じの兵種です)がいまして、ファンから“ハールの動く城”という愛称をつけられて早じゅ……15年!?((gkbr
陛下のバトルモーション、金角湾を封じた鎖やギリシャ火で戦うの好き。一番好きなのは配下の皆さんがデカイ盾で突貫して、高くジャンプした陛下が上から強烈な一撃を叩き込むモーション。主の威光ビームもいい。宝具展開してご尊顔がアップになった時にローマな耳飾りがチャラチャラ……て鳴るのも大好き。


シメに【マイケルだったコンスタンティノス】もちょっと摘まんどこう(居酒屋ノリ)。

今年のホワイトデーイベント『15人の理知的なメガネたち』で先行登場した際にも節々で「カッ飛んでくる」とか「滅茶苦茶、頑丈!」とか。なんならオープニングムービー直後の「――ああ、畜生。どうしようもないな、コレ」も魔獣に力を奪われたときの彼の独り言でしょ。もう初っ端から口調が雑な面ぽろりしてる。メガネで理性知性がアップしてても単騎で輝くバスタークリ殴りを続けて魔獣にトドメを刺した皇帝お兄さんだ。
OP前に繰り広げられた会話も真名を知ってから改めて読むと大変しんどくなる仕様になってて心臓に悪い。

マイケル「つまり私はこう思う。食事に感謝の念を抱きこそすれ、批判してはならないと」

オルタニキ「食事が不味いにも種類と限度があるよな。おまえはどこまで我慢できる?」

マイケル「どこまでも我慢できるよ、私は。滅び行く国の首領に、そんな贅沢が許されると思うかね?」 

生まれた時から然程贅沢できなかった四男坊です。城の壊れた内壁すらまともに修繕できないまま日々を過ごした皇子です。敵に包囲され2ヶ月に渡って籠城戦をした将です。しかもその戦いの前年には、海底火山爆発により火山灰が降った影響で冷夏及び不作となり、都市は飢饉に見舞われていたのです。そんな彼に、彼にこれを訊きますか。

身長171cm 体重73kg

ですよ?男性としては控えめな身長の割に重めな理由は骨と筋肉でしょ。それしか考えられませんよ。脂肪を蓄えていられる余裕はなく、弛んでいたワケでもなし、「我々こそが真なる壁なのだ」と豪語するだけあってカチカチなのよ。豊かな食生活を送っていたとは到底考えられない彼が、何故これほどまでに逞しい体つきをしているのか――上記のオルタニキとの会話が、そのまま答えのようなものでしょう。
FGOのコンスタンティノスは、戦える体を維持するために、不味かろうと少なかろうと感謝して食べたのです。燃料になるものは何だって喰らって飢えを凌いだ。高貴な身分でありながら嗜好品は何も飲まなかった。そうでなければ、どうしてこんな体つきになりますか。彼はアーチャー・ナポレオンのような成り立ちではないのですよ。

こちら何名かの男性サーヴァントの身長体重です。ご参考までに。

カエサル    168・154
天草四郎    169・59
蘭陵王     172・55
以蔵さん    174・65
シェイクスピア 180・75
クー・フーリン 185・72
土方さん    187・75

カーミラ「骨格に対して筋肉の付きが少ないのよ。粗食が過ぎるのではなくて?トシゾー」

土方さんは、えっと……体はたくあんで出来ているので(過るアンドラス)。
カチカチ度がお分かりいただけるような人選をしました。アキレウスや金時、俵藤太殿などは、天性の肉体に加えてしっかりごはんを食べているので当然マッチョです。斎藤さんも体格は良い方です。

カルデアでは食べ物に困る事態なんてそうそう起きないんだから、カルデアにいる彼にはお腹いっぱい食べさせてあげたいですね。目にも楽しい、色とりどりのご馳走いっぱい。

美味しい肉を噛みしめて欲しい。
大きいケーキを食べて欲しい。
大口を開け、
大勢と笑って欲しい。
ああ――突き詰めると、私の願いなど、そんなもの。

お馬鹿オマージュしてごめんなさい。反省はしてますん。
陛下、粗食癖とかついちゃってないかな。それ以前に「サーヴァントである私に食事は不要だ。君はたくさん食べるがいい。うん、美味しそうに食べている君を見ているだけで、十分幸せだ」とか遠慮する虞がありますね。「食材だって有限だ。生きている君のためにこそ用意されているものだろう?」って言いそう。いけません陛下、食事で養える英気を馬鹿にしちゃいけません!いいからお食べ!
刺激の強い物や味の濃い物も食べ慣れてなさそう。ニラたっぷり餃子とかチーズのせタコライスとか。でもレンゲでキムチ鍋はふはふ食べて欲しい。豆大福を突き付けて「これは……何かな?」って困らせたい。そーだ、まずはゴッフのカルボナーラとクロワッサンからだよね。毎日美味しい物を食べる習慣をじわじわつけさせて、暇してる時にはつい「今日の晩ごはん何かな」って考えちゃうような体にしてやる!うわーん畜生!おにぎり握ってやる!

新発売の塩バニラアルフォート食べたい。こないだ〇ーソンで見かけた。今度あったら買おうっと。あぁ、ホワイトデーイベの話してたんだった。

戦う力も宝具の三重防壁も奪われて真名を名乗りたくなかったこの特異点の彼は、偽名というか仮名として「ミ……」と言いかけました。ミカエル(またはミハイル)を名乗ろうとしたんだと思います。誕生して間もなく亡くなった彼の弟さんの名前です。Michael。英語読みするとマイケルになります。

「やあ、私はショップの店員。謎のお兄さんだ」
「この謎のカッコ良い店員に何か用かな?」

それにしてもこの皇帝、ノリノリである。そしてカッコ良い自覚がある。

「私こそが皇帝、コンスタンティノス11世だ。今は……ただの皇帝店員だがね?」
「正直に告白すると、一度やってみたかったんだ」

この「やってみたかったんだ」の言い方が本当に嬉しそうで、こっちまで嬉しくなる。幼少期にコンスタンティノープルの市井を見て歩いて、「お店屋さんっていいなぁ」と憧れたりしたのだろうか。皇帝になってからは、視察の度に小さな店々がある通りにも足を運んで、人知れず慈愛に満ちた眼差しを向けていた……そんな姿が鮮明に想像できる(我ながら妄想力豊か)……陛下、カルデアでメガネ屋さん開きませんか?

「欲を言えば、次はもっと柔らかい言葉で応対したいものだ。『あざざしたー』……、みたいな」

隣にある別の店で「ラッシャーセー」やってたジュナオルタに引っ張られてて微笑ましい。これは閉店間際のボイスなので聞き逃した方が結構いらっしゃるかも。「あざざしたー」の棒読み加減は誰かに似て……

???「素材の海に溺れる。そんな夢を見ました。夢でした」

お……黄金の羊ドゥムジ……!
中の人が同じだった、そりゃそうだ。トラオム直前配信でも神尾さんご本人が「ショップ担当」と仰っていました。ドゥムジにもコンスタンティノスにもまた店員やってもらいたいな。でも2回以上任せて貰えるってのは中々な…いや……お栄ちゃん!坂本さんにお竜さん!

もしもし。神尾さんが参加されている純文学樂団、純文学を歌ってみるユニット『KATARI』をご存知ですか?私は最近になって知りました。どの曲も朗読と歌の神妙なハーモニーがたまりません。一字一句にのせられる感情は繊細かつ朗々としていて素晴らしいです。サブスクのほかニコ動でも聴けますよ。是非に。


***


未だプロローグしか公開していない当サイトのFate長編『いざ発て』に関連することについて、無責任に呟きたいことがあるのでまぁちょいと失礼しますよ。

「鏡月収斂、形態変化。ツクヨミ式リボルビングキャノン――『轟沈・弓張月』」

で、出たー!のんびりしてたらとうとう出ちゃった!名前!為朝さんは何だ、アルテミス由来だが日本においては月の神といえばツクヨミなのでその名を借りただけかい!?まさかとは思うけど会ったことあったり?それならどう、どうだった?やっぱり男神?型月のツクヨミはどんなんですか!?玉藻は教えてくれないんだもん!頼むよ!なぁ為朝さん!
それに宝具演出。月が出てくるというだけなら他にもお月様系宝具をお持ちの英雄は何名かいらっしゃいましたが、君のは「弓張月」だからか満月→新月パターンなんだな?それをやられちゃったらもう書こうとしていたお話の中に君を組み込むしかなくなるんだよもう!好き!……という訳で御出演ねがいます。
更新再開の予定は今の所まだまだ全然ありません。でも設定は日々練々してます。斂々。


この作文書き始めたの6/8だったのに、今7/8だぁ。まるまる一ヶ月かけてやんの。……5万字越え?ばかなの?
「ばかだよ?」(棒歌ロイドゆっくり)

こんな作文の下〜の方まで具に読んでくださった方がいらっしゃるかどうか。少しでも貴方様の一考のお手伝いができていたとしたら幸いでございます。どうか、私の考察は全部オオハズレという可能性も大いにありますことを、心にお留め置きくださいませね。
いつかFGO公式によって解が明かされたその暁には、当記事を読み返して答え合わせなどしてやってみるとよいでしょう。

……長すぎて、自分でも見直すの嫌だ!

おわり。

Fate 2022/07/08
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