2018/6/2~7/2



 桜はとうに散り、椿も落ちた。今は露草や桔梗、紫陽花などの涼し気な花々が咲いているだろう。季節の色は赤から青へ、そうしたらまた青から赤へ。色相環をぐるりとなぞるように巡り回る。

 しとしと、ぱらぱら。柔らかい雨は空からまっすぐ落ちてきて、砂利のあいだに染みては小石を黒く濃くしていった。

 遠くに聞こえる蛙の合唱。それに紛れて鼻歌をのせ、傘を回して小道を歩く。こどもの頃の帰り道で、濡れてもたもたになった靴の重さを思い出しつつ水を踏んで、一歩。また一歩。

 睨んだとおり、蔦の巻きつく大木の根元まで来れば、座り込んで俯く君の影が見えた。

「迎えに来たよ。一緒に帰ろう」

 放っておいても晴れるかもしれない。それでも私は、少しでも早く君のはにかんだ顔が見たくて、こうして傘を差し出すのだ。

こんな雨なら悪くない


 梅雨ですね。夏は暑くて苦手ですが、台風が殆ど発生しない六月初頭のこの時期だけは好きです。しかし気温の上がり下がりが激しいので、体調管理には気を配っていきましょう。

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12/12/70
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