2018/7/2~8/1
語り手:志波都
歩くときに振った手が、そこに
買い出し帰りの通りで鳴る風鈴の響きはすっきりしないもので、どこかだるそうね、とまるで人のように心配してみたり。
広がる空は、足元に咲く露草の花の色を写したかのよう。じっとしていても汗がうなじを伝う蒸し暑さの中、それでもあの人とあの子は今日も鍛錬を欠かさない。頑張り屋さんは好きだけれど、放っておくと休憩もしないのは本当に困りもの。私が声を掛けないといつか倒れてしまうでしょう。
丸盆の上に置いた三つの摺り硝子のコップに四角い氷をがらごろと投げ入れ、冷ましておいた麦茶を注いでやると、コップもすぐに汗をかいた。滑らせるといけないし、二人に渡すつもりの
木刀が力強くぶつかる音を辿って稽古場に足を踏み入れれば、外よりも廊下よりも、何処よりも蒸し暑さが纏わりついてくる。窓を全開にしていようと高が知れていて、なんだか
ああ見て、あの二人の顔。見てるだけでこっちも暑苦しいわ。でも、なんて楽しそうなのかしら。
「二人とも!そろそろ休憩しないと駄目よ」
「都!でも今いいとこ――」
「一人で続けてなさいな。沙生さんは冷たい麦茶、飲むわよね?」
「わぁい、ありがとうございます!いただきます!」
「あ、おいコラ!……俺も!やっぱ俺にも麦茶!」
稽古場を出て廊下の端、浮竹隊長もお気に入りの庭に面した縁側がいつもの休憩所。相変わらず風は弱弱しくて中でも外でも大して変わらないけれど、小川を流れる水の音がいくらか気を紛らわせてくれるはず。
暑いのは勘弁だけれど、こんな風にしてあなたたちの笑顔が見られれば、私はとても幸せな気持ちになるの。
どうか、この平穏が長く続きますように――
涼んでほしいの
猛暑日、真夏日、猛暑日、無風の多湿。地球は私たちにどれだけ過酷な夏を送れというのでしょう。私がふだん過ごしている部屋は日当たりのいい角部屋で、カーテンを閉めていようと陽射しの熱が容赦なく温度を上げていきます。クーラーを切って数分も経てば……なんということでしょう。あっという間にサウナに早変わり。冬だとあったかくていい部屋なんだけどなぁ。