そんな君に僕は恋をしたのです。
「ねえ、もう終わりにしない?」
青天の霹靂とはまさにこのことだろう。
まるで、「今日のデートプランは?」と聞くのと同じ調子で僕の彼女は別れを切り出したのだ。
「え・・・・ちょっと待って。ぼく、何かしたかな?」
これ以上ないくらい必死に頭を回転させています。
彼女に対して何か失礼なことをしただろうか?
彼女の気に触るようなことを言ってしまっただろうか?
「えっと、もしかしていつも待ち合わせに遅れるのがイヤだった?」
「ううん」
「じゃあ、こないだのケーキが好みじゃなかった?そもそも甘いもの嫌いだったとか?」
「ううん」
「えーと、僕のこと、始めから好きじゃなかった・・・とか?」
正直そうだったら辛い。
でもその可能性は十分にありえる。
だって、そもそも彼女に熱を上げていたのは僕の方で、彼女は僕のあまりのしつこさに根負けするみたいな形で僕たちの交際は始まったのだから。
「ううん。そうじゃないの」
そう言って、ぽろりと一粒涙をこぼした。
「そうじゃないのよ」
そんな顔して欲しくないのに。
君がそんな顔する必要なんて無いのに。
「だって、あなたのこと好きになってしまったの」
こんなにうれしいことがあってもいいのだろうか。
僕だけが好きなんだとずっと思い込んでいたから。
「だけど、私はあなたに不釣り合いだから」
そんなこと無いよ。
だって、
「あなたの隣には、もっと美人で賢くてお金持ちで気立てがよくて何でもできる人の方が良いと思うの。私は、美人じゃないし頭もよくないし、こんなに心の狭い人間だから」
そんな君だから好きになったんだ。
「もっと美人な知り合いもたくさんいるよ。でも、君がいいんだ。世界から注目されてるような研究をしてる知り合いも大勢いるけど、君には敵わない。お金なんか僕が持ってるからいらないし、無くったって構わないよ。これから稼げばいいじゃない」
これが、僕の素直な気持ち。
「自分をそんなに貶めないで」
涙を拭いて。
笑ってよ。
「自分のことよりも、他人のことを考えられるなんて素敵なことだと僕は思うけどな」
そんな君に僕は恋をしたのです。