純粋で残酷な、(1)
それは言葉で説明できることではなく、あえて言うならば『直感』。
「なぜあなたは戦ったのですか?」
思考停止。
それは、自分には理解できない質問だからではなく、当たり前すぎて考えこともなかったことだから。
「さぁ、どうしてだろうね?」
君は?と逆に聞いてみたらあっさりと返された。
だけどとても真剣な顔で。
守るため、と。
これは適当な答えを返せないね。
「僕はね、何かを欲しいと思ったことが無いんだ」
にっこりと微笑んだのはたぶん気持ちを落ち着けるため。
あの頃のことを冷静に振り返れるほど時は経っていないから。
あれからまだ3年しか経っていないだなんて信じられない。
「僕の父は赤月帝国の将軍でね、だから僕はいわゆる『貴族のお坊っちゃん』だったってわけ」
もう立派に大人だっていうのに、あの過保護な付き人は呼び方を改めようとしない。
クレオやパーンは逆に昔のようには呼んでくれなくなった。
僕自身は何も変わってないのに。
「必要なものは何でもあったし、望めば大抵のものは手に入ったよ」
実際は、僕自身が何かが欲しいと望んだことはほとんどなかったけれど。
「足りないものは色々あったんだよ。
僕の母は僕がまだ小さい頃に亡くなっていたし、周りは大人ばかりだったから同じ年ごろの子と仲良くなる方法すら知らなかったんだ。それでもね……」
それでも、満たされていたんだ。