純粋で残酷な、(2)

「それを失わないために戦った?」
「いや、そうじゃない」

そう。
それは正しくない。

確かにそれもあったかもしれないけれど、本当の理由は別にある。
もっと醜くて浅ましい、子どものワガママのような。

「ある日、遠征に行っていた父がひとりの少年を連れて帰ってきたんだ。焼け野原になった村に独りで茫然と立っていたんだって言っていたよ」

青い衣服は薄汚れていて、やわらかな金茶の髪もどこか埃っぽかった。
手には革の手袋をはめていて、どうやら酷い火傷の跡があるらしい。

だけど、そんなことより僕が気になったのは、

「彼、すごく怯えた目をしていたんだ」

余程怖い目にあったのだろう、と父は言っていたけれどそれとは違う。
うまくは言えないけれど、追悼のそれとは違う気がした。

あれはむしろ、後悔。

「彼の名前はテッド。僕の初めて出来た親友」

そして、僕にとってとても特別な存在。

「テッドにはいろんなことを教わったよ。彼はずっとひとりで旅をしていたからね。すごく物知りだった」

良くも悪くも。

だけど、彼自身のことはほとんど教えてくれなかった。
生れ故郷の村のことも、たったひとりの肉親だったおじいさんのこともあとから知ったことで彼から直接教えてもらったことではない。

今になって思えば、それは彼なりの思いやりだったのだろう。

今の僕でも、
今の僕ならきっとテッドと同じように振る舞うだろうと思うから。

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