第1話 兄弟
?『…せ…せ。ひま…り…んせ!』
私『………』
?『ひまわり先生!』
私『…っ。は、はい!?』
?『やっと起きた…。もう!今何時だと思ってるんですか?』
私の漫画の編集を担当してくれている松坂さんは、顔を真っ赤にしながら私の頭を叩く。
力は強い方なのかな?
毎回結構痛む。
男の人なのにひょろひょろで、頼り甲斐のなさそうな人なのに力だけは強い。
松『ちょっと…。聞いてます?』
私『すみません。すっかり寝てました』
最近は締切日が近くて寝不足だったからか、頬に跡までついてしまうくらい爆睡だった。
私『あ、いい匂い…』
そう言えば朝から何も食べていなかったかもしれない。
部屋に漂ったいい匂いに、私は目を細めた。
松『…夕飯。作っておきました』
私『そ、そんな!…ありがとうございます』
松『じゃあ、俺は帰りますね。失礼します』
私『…はい。また』
松坂さんは良い人だ。
私の担当さんはよく変わる。
理由は全部分かっていた。
私は人混みが苦手で、1人では外に行けないし、それに…。
私『1人じゃ生きてけないからなぁ…』
料理も洗濯も、自分じゃろくにできない。機械音痴だし。
そう、いわゆるヘタレだ。
私『あぁーあ。家事とかさ、担当さんに任せるのはダメだよね。わかってるんだけど…』
苦手なものは苦手だ。
今までそう生きてきたのがバチが当たった。
松坂さんに作ってもらったカレーを、温めないで、よそって食べた。
私『冷たくはないけど…』
温めると家が火事になりかねない。
はぁ…。と溜め息をついたとき、携帯がなった。
私『絵麻…?』
妹の名前を呼んだのは何ヶ月ぶりだろうか。または何年ぶりか。
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久しぶり。
元気にしていますか?
最近、お姉ちゃんの漫画を本屋さんで沢山見るよ!
頑張るのもいいけど、身体にも気を付けてね。
ところで私は、兄弟と仲良く暮らしています。
…
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その後の内容は兄弟との仲睦まじい話だった。
どうやら、麟太郎さんが再婚したらしい。
再婚相手の息子さん達と絵麻は暮らしているんだとか。
けれど、麟太郎さんに頼んで、私の事を口止めしてもらった。
冷たいと言われるかもしれないが、私は麟太郎さんも絵麻も家族だとは思っていない。
育ててくれた人と、一緒に育った人。ただそれだけじゃないか。
麟太郎さん、絵麻、私の3人は誰一人血が繋がっていない。
そんなの家族じゃない。
私はそう思って生きてきた。
だから人数が増えようと減ろうと、私にはなんの関係もない。
なのに、なんでだろ。
少し羨ましいなんて思った…。
私『そういえば…、何人兄弟なんだろ』