第5話 悲しみ
冷たいフローリングが、私を冷やす。
ぼーっとしている私を起こすかのようにドアの開く音がした。
松『ひまわり先生っ…』
頭をボサボサにした松坂さんが、そこにはいた。
私『…ごめん…なさい』
松『帰る時は電話してって言ったじゃないですかっ!それに…、電話くらいとってください。心配します!』
私『…ごめんなさい』
松『ちゃんとこっちを向いてください、玲奈さん!』
あぁ、久しぶりに名前を呼ばれた。
松『…?な、泣いてるんですか?』
私『えっ…』
不思議と溢れる涙を、松坂さんは優しく拭ってくれた。
私『…な、なんでだろ。泣くつもりじゃなかったのにな…』
松『…何があったんですか』
松坂さんが私の目を真剣に見つめながら言った。
私『私、昔…』
そう呟いたとき、怖くなって口が塞がった。
私『やっぱり、なんでもないです』
松『そんな顔はしていませんよ?』
今日はもう1人になりたい。
私『今日は…、帰ってください。…すみません』
松『……。わかりました』
松坂さんは、『なにかあったら必ず電話して』と言って帰って行った。
私は携帯の画面にうつる、絵麻と松坂さんの着信履歴を見つめ、大きく溜め息をはいた。