今日の校門前は騒がしかった。
マスコミの人々がオールマイト雄英教師就任という話題についてインタビューをしていたのだ。

聞かれたことに簡素に答えて早めに切り抜けて門をくぐった。





教室に入ると、みんなもインタビューされたようで自分は何を聞かれた自分はこう答えたという会話が飛んでいた。









* * *

「さてHRの本題だ…。急で悪いが今日は君らに…」

教室が「また臨時テストか!?」とざわついている。

「学級委員長を決めてもらう」
「学校っぽいの来たーー!!!」

みんなが我こそはと手を挙げている。
集団を導く役割なので、ヒーローとして重要なことが学べるからだと思う。
しかし私は積極的に動ける人間ではないので手が挙げられなかった。
こういうとこ直さないと…と自分でも考えてはいるのだが。


「静粛にしたまえ!」

飯田くんだ。

「"多"をけん引する責任重大な仕事だぞ…!『やりたい者』がやれるモノではないだろう!!周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…!」

聖務とまで言うか?と思う。

「民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら…、これは投票で決めるべき議案!!!」
「そびえ立ってんじゃねーか!!何故 発案した!!!」

よっぽどやりたいのだと思われる。

時間内に決められるなら何でも良いと相澤先生が仰るので、推薦で決めることになった。


(誰に入れよう…。あんな騒がしいところで自分の意見言えてみんなを仕切れるくらいだから飯田くんでええんやないかなあ)

飯田くんに入れることにした。
みんなもあんなところ見てたら飯田くんに入れるのではなかろうか。







「僕 3票ーーー!!!?」

予想に反して緑谷くんが3票で委員長に、八百万さんが2票で副委員長になった。












* * *

なんやかんやで午前の授業が終わった。

昨日までに仲良くなった人たちは、お弁当を食べたり別の人と食堂に向かったりしていたので、私は轟と食堂に向かった。




「とろろ今日も蕎麦や」
「豹野だって今日も蕎麦じゃねえか。ざる蕎麦だけども」
「ただのざる蕎麦やないで、聞いて驚け!茶蕎麦や!」
「見たらわかる」

こいつ……他人の飯をそんなによく見てるのか…。貧乏かよ……。
とても失礼なことを考えられているとはつゆ知らず、轟はその後黙々と蕎麦を食べていた。




食べ終えるのを待ってくれていた轟にごめんねと謝った瞬間、「ウウーー」と大きな警報音が鳴った。

「セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難してください」




食堂にいるたくさんの人が同じ方向に向かうので人混みになっているが、その方向へ向かわなければならないと思い、渋々人混みに流されることとなった。

身長が149センチと非常に低いので、他の人に顔まで押し潰されて息苦しい。
ここは他に仕方がないので目の前の紅白の頭が轟だと信じて、背中に自分の頭の天頂をくっつけて下を向き、息をするスペースを確保した。

「豹野か?」
轟の声だ。合っていてよかったと安心する。
「うん!ちょっと息できんくて!!背中借りてる!」



その時
「大丈ー夫!!ただのマスコミです!なにもパニックになることはありません大丈ー夫!!ここは雄英!!最高峰の人間に相応しい行動をとりましょう!!」

姿は見えないが、飯田くんの大声が聞こえてきた。
人混みはゆっくりと動き出し、2人も自由に動けるようになった。


しかし気が付いてしまった。

「……豹野、どうした?顔色が悪いぞ?」
「ジャージが……」
「ジャージ?」
「脱げとる…」

これではスカートがめくれてしまうと思い、お尻を手で抑える。
そのままの状態で轟と廊下を戻っていくと、ジャージはすぐに見つかった。


「ごめん、そのまま女子トイレの前までそれ持っといてもらえん?」
「女子トイレって…教室の近くだがそれまで大丈夫か?」
「なんとかがんばる……」

女子トイレでジャージを轟から受け取り、個室で履いたあとにトイレを出ると轟は待っていてくれた。

2人で教室に戻ると、峰田くんがおい!と呼び掛けてきた。

「豹野と轟!俺は見たぞ!!」

何も後ろめたいことはなかったはずだと思い、轟と目を合わせて首を傾げる。

「轟が豹野のジャージ持って、豹野が涙目でケツ抑えてただろ!お前ら人混みの中でどんなSMプ」
峰田くんの隣に居た切島くんがそっと峰田くんの口を塞いだことによってその先は言われることはなかった。

どうやら峰田くんはある意味危険人物であるようだ。

冷たい目で峰田くんを睨みながら席につくと、相澤先生が入って来た。





他の委員決めを執り行う前に、緑谷くんの提案で飯田くんが委員長になった。
飯田くんが委員長になるべきだと思っていたので納得したが、非常口飯田と言われている状態を見ることが出来なくて非常に口惜しく感じた。