教卓に立つ相澤先生は今日も気だるげだ。
ほんとにあのかっこいいヒーローなのかと毎日疑っている。



「今日のヒーロー基礎学だが……。俺とオールマイトそしてもう1人の3人体制で見ることになった」

「ハーイ!なにするんですか!?」
と手を挙げたのは、瀬呂くん。


「災害水難なんでもござれ。人命救助訓練だ!!」

RESCUEと書かれたプレートが掲げられる。

教室がざわつき、その中で梅雨ちゃんの「水難なら私の独壇場、ケロケロ」という声が聞こえた。
カエルだから、確かに得意そうだ。



「おいまだ途中」
相澤先生がギロっと睨むと全員黙った。怖い。

「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上、準備開始」






私はコスチュームがよく風を通す素材なので、長袖だけど体操服より動いても暑くならないと思い、コスチュームを着た。


「バスの席順でスムーズにいくよう番号順に2列で並ぼう」
ピッピッと笛を吹く飯田くんは、やっぱり人をまとめるのに向いていると思った。

しかし、バスに入るとそれも意味の無い形状で、可哀想に飯田くんは落ち込んでいた。
芦戸さんが「イミなかったなー」と追い打ちをかけていた。



「とろろ横、ええ?」
二人席でぼーっとしている轟に声をかけると、
「ああ」
とだけ返された。

轟は寝てはいないようだけれど目をつぶっているので、私もそうした。

何やら前の方が騒がしかったが、私の意識はだんだん薄れていった。




「豹野、起きろ」
膝をぺしぺしと叩かれる感覚がして目を覚ます。
「早いとこ眠気覚ましとけ、すぐ訓練始まるぞ」


どうやら私は轟にもたれかかってぐっすりと寝入っていたようだ。


「やー、ごめんな?豹が夜行性やからか、昼間にきっかけあったら寝てしまうねん」

男の子の肩を借りていたのが生まれて初めてで少し気恥しく感じて、訳の分からない弁解をしてしまった。

立ち上がってバスを降りると、轟が
「豹野、猫みてえ」
と言うので
「なんでや私は豹や!」
と言って轟の頭をぽこりと軽く殴った。
口を開けて間抜けな表情をした轟になんだかおかしくなって、けらけらと笑いながら建物内に入った。