そんなこんなで私たちは教室へ戻って来た。
今は事情聴取の順番待ちだ。


「豹野」
「うん」
「両親の死を喜んだって、どういうことか聞かせてもらえるか?」

轟の声は決して大きくなかったが、教室全体が静まり返って私たちの会話に耳が澄まされているのを感じた。



「私、両親にはもともと少し酷い扱いをされててな、……」

学校にも家にも居場所がなかったこと、自殺未遂をしたこと、退院をしたら虐待されるようになったこと、そして両親が敵に殺された時にヒーロー──相澤先生に助けられたことを話した。

「……もとからヒーロー志望だったけど、お母さんの盾にもなれんかったし、親が死んで自由になれたって喜んだのも事実やし、やっぱり私って悪い子や。ヒーローには向いてないやんな」

みんな驚いている。幻滅されただろう。

「今日やって私、誰の役にも立てんかった。もう夢見るのやめるよ。退学届け、書かないとやなあ」


「豹野、お前ヒーローに向いてないことは無いと思うぞ」
「とどろき…」

「そうだよ!反省会の時に窓からばくごーくんとデクくん見て泣きながら頑張るって宣言してた豹野さんが悪い子なわけないよ!」
「麗日さん…」

「まだ少ししかお話できてないけど、まだらちゃんはいい子だって私が胸を張って言えるわ。あなたはヒーローを目指してもいいのよ、ケロ」
「梅雨ちゃん…!」

「オメーの境遇ならその時喜んでも仕方ねーだろ、過去のことは置いといて、せっかく雄英合格したんだから一緒にカッケーヒーロー目指そうぜ!」
「切島くん…!」


みんなが口々にそうだそうだ、辞めずにヒーロー目指そう、と言ってくれるものだから思わず涙が零れた。

「みんなあ、ありがとう……わだじ、ぜっだいにすごいヒーローになる……!うええええん」

滝のように涙を流して号泣した。



泣き腫らした目を見て事情聴取の時に警察の方にものすごく心配された。










* * *

その夜。
スマホを見ると、1-A女子というLINEグループに招待されていた。
参加すると、

『あ、良かった豹野さんいらっしゃい!』

『みんな豹野さんとLINE交換してなかったから今まで招待出来なかったんだー、ごめんね!』

というメッセージが表示され、全員から友達追加してもらえた。


そしてなんと、明日は臨時休校ということで、麗日さん、芦戸さん、葉隠さん、耳郎さんとお出掛けすることになった。
友達と遊ぶのは初めてなのでとても嬉しい。




















* * *

次の日、楽しみで楽しみで目覚ましよりも1時間早く目が覚めた。



入学してから3着くらいしか自分好みの外着は買ってないけど、その中からいちばん可愛いと思うワンセットを選んだ。

髪の毛をヒーロースーツを着る時と同じようにツインテールにしたけれど、今日は毛先をくるくる巻いてみた。

覚えたての化粧だって頑張って、なかなかにいい仕上がりになったと思う。



家を出る予定の時間まで待てず早めに家を出てしまい、待ち合わせの場所に30分早く着いてしまった。

15分ほど音楽を聴きながら待っていると耳郎さんが来た。
耳郎さんと私はロック好きというお互いの共通点が見つかって話が盛り上がり、10分ほどの時間がすぐに経った。

そして待ち合わせ5分前、葉隠さんが到着。
ぴったりの時間に麗日さんが到着。
少し遅刻気味に芦戸さんが到着した。



「みんなの私服ってこんな感じやったんやなあ…」

「いつも制服姿しか見てないもんね、新鮮だ!」

「でも響香ちゃんがロックな格好してくるのは予想付いてたよ!ヒーロースーツもロックやもんな!」

「ウチも、まだらはインナーカラーが水色だから寒色系の服かもなって思ってたら案の定水色のワンピースじゃん、アタリだね」

「ええ!?いつの間に名前で呼びあってるの!?」

集合時間までの間に響香ちゃんと透ちゃんとは名前で呼び合う仲になったのだ。

それを言うと、麗日さんとも芦戸さんとも名前で呼び合えることになった。
女の子の友達って感じでとても嬉しい。



昨日は怖かったねという話やこれからも頑張ろうねという話から、私の髪は水色のインナーカラーだけど三奈ちゃんの髪は地毛という話やクラスのあの子があんなこと言ってて面白かったという話まで、わいわいと盛り上がった。

ショッピングで洋服を選びあったり、可愛い雑貨店に買い物に行ったり、オシャレなカフェでまったりしたり……と、初めての体験に心が踊りっぱなしだった。

最後にゲームセンターでプリクラを撮って、めちゃくちゃ顔変わったねーなんて笑いながら外へ出ると、もう空が赤くなっていた。


みんなと別れて家に帰ってもワクワクとした気持ちは消えなかった。
こんなに素敵な人たちと出会えて良かった。