職場体験当日。
「コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ、落としたりするなよ」
「はーい!!」
「伸ばすな「はい」だ芦戸。くれぐれも失礼のないように!じゃあ行け」
* * *
「いらっしゃい豹野さん、今日は市街地見て回るけど明日からは山行くよ!」
と、これはマンダレイさん。
「あの、今日は虎さんとピクシーボブさんいらっしゃらんのですか?」
マンダレイさんとラグドールさんだけしか見当たらないのだ。
「別の仕事があるよ」
ラグドールさんが答えてくれた。
「私に指名を入れてくださってありがとうございます、理由などお聞かせ願えますか?」
「あちきは単に豹もネコっぽいね!って感じだけど」
「虎が、あいつは鍛えたら強い奴になりそうだってえらく気に入ってたよ」
虎さんが!
…意外だ。
「そうそう、明日から山って言ったけど、山岳救助手伝ってもらう他にも虎に筋トレとか戦闘とか見てもらえるからしっかり学んでね」
「もちろんです!」
* * *
職場体験を経てかなり戦闘での立ち回り方やら自分に合った筋トレの量やら、山岳救助のあれこれを学べた。
今までの私とは一味違うぞ。
職場体験の終わりに虎さんに
「お前はまだまだ強くなれる」
と言われて少し自信がついた。
学校に登校してきた爆豪くんの髪型が8:2になっていた。
驚きだ。
「へえー敵退治までやったんだ!うらやましいなあ!」
「避難誘導とか後方支援で実際、交戦はしなかったけどね」
響香ちゃんが敵に会ったようだ。
「それでもすごいよー!」
「うんうん、私は敵には会わんかったよ…。でもまあその代わりにゴリッゴリの武闘派のヒーローに訓練付けてもらえた!」
「まだらちゃんは山岳救助もしたのよね?」
「そうそう!」
梅雨ちゃんとは職場体験の期間に今日は何したこんなことがあったとLINEをやりとりしていたのだ。
遭難者の発見、救助に貢献したと伝えた時は褒めてくれた。
「私もトレーニングとパトロールばっかりだったわ。一度、隣国からの密航者を捕らえたくらい」
「それすごくない!!?」
「お茶子ちゃんはどうだったの?この一週間」
「とても、有意義だったよ」
ちょっと恐ろしくなったお茶子ちゃんである。
* * *
「豹野、昼飯」
「うん、行こう。久々やなあ」
轟とお昼を食べるのも一週間ぶりだ。
短いようで長い。
「私、久しぶりのお蕎麦やで。やっぱとろろ蕎麦かなあ、でも冷たいざる蕎麦もいいなあ」
「豹野どこ行ってたんだったか?」
「プッシーキャッツ!山岳救助のノウハウ学んできたり訓練したり。とろろはエンデヴァーさんとこやろ?」
「ああ。やっぱクソ親父でもあの手腕はNo.2と言われるのを納得するものだった」
「へぇ」
やっぱり以前よりも丸くなったというか、話していて柔らかい雰囲気を感じる。
「…………とdろき」
「どうした?言えてないぞ」
「犬歯が邪魔なんよ、ちょっと長くていつも噛んでしまうねん。前に1回、言えたのになあ」
との後にどが来るのはキツい。
実はこの犬歯のせいで私はそこそこ発音が甘いのだ。
「……焦凍って呼ぶか?」
「う、うんええけど…」
男の子を名前で呼ぶのは初めてだ。
「やー、ちょっと恥ずかしいなあって」
「そうか」
答えた轟──焦凍くんは蕎麦を啜ってむせている。
「焦凍くんも食べ物でむせることあるんやね」
「くん?」
「え?」
「いや」
何だこいつ。
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