ここで豹野ルール。
親の管理下で死に損なってからの日々、ストレスが溜まるたびに私は自分の爪を伸ばして自分の腕や首元を切りつけていた。
これは見られると印象がよろしくないということで、体操服を着る時や夏服の期間はウインドブレーカーを着用させていただくことになった。
そんなわけで、私はひとりトイレで着替えてウインドブレーカーを羽織り、グラウンドに出た。
「個性把握…テストォ!?」
何だそれは!
「入学式は!?ガイダンスは!?」
もさもさ君と話していた女子が私と同じことを考えていたようだ。
「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」
なるほど…いやしかし、焦りすぎなのではないだろうか…?
「雄英は"自由"な校風が売り文句。そしてそれは"先生側"もまた然り。ソフトボール投げ、立ち幅とび、50m走、持久走、握力、反復横とび、上体起こし、長座体前屈。中学の頃からやってるだろ?"個性"禁止の体力テスト」
私の運動能力が優れているのは個性によるところが大きいので、個性禁止の体力テストは苦い思い出しかない。
耳と尻尾を無理やり引っ込めて、平衡感覚が少し狂ったままであったから、ほとんどの種目が底辺レベルだったのだ。
それを相澤先生は、文部科学省の怠慢だと言う。
なるほど確かに。
「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」
「67m」
「じゃあ"個性"を使ってやってみろ。円からでなきゃ何してもいい、早よ」
個性を使わずして67mとは何事だ。肩がとても強そうだ。
私なんて9m、良くても11mだったのだから驚いた。
「んじゃまぁ……死ねえ!!!」
………………死ね?
雄英に怖い人なんかいないと思っていたがこの人は怖そうだ。
とても驚きながら周囲を見ると皆も驚いているようだった。そりゃそうだよな。
彼の手から爆風を浴びてキレイに飛んでいった球が落下したのは705.2mの地点。
私が個性を使ってもあんなのは無理だと思う。
「なんだこれ!!すげー面白そう!」
「"個性"思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」
(面白そうって何やねん。それは違うと思う…)
「………面白そう…か。ヒーローになるための三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」
(そうそれ私も思っ)
「よし。トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」
「はあああ!?」
どうしよう!どうしよう!
私がヒーロー科の入試を決めたのは他の子達より遅いはず。
ということは、他の子達より私は遅れているのだ。
「生徒の如何は先生の"自由"。ようこそこれが、雄英高校ヒーロー科だ」
まずい、私、死ぬほど頑張らないと!
「これから三年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。"Plus Ultra"さ。全力で乗り越えて、来い」
そう思う気持ちの反面、これが最高峰のヒーロー育成機関なのか、やってやろうじゃないかという気持ちで背中がなんだかゾワッとした。
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