「おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれー!!!」

午前は普通の授業だ。
普通にわかりやすいから普通に受けてる。
もちろん盛り上がる要素はどこにもない。
答えはわかるけど手を挙げたくない、全国の多くの学生がよく感じるその気持ちである。




* * *

お昼。
所変わってここは食堂。
祖父母の支援のもと、1人で新しい少し安めの家を借りて暮らしているが、料理が面倒臭くてお弁当は作っていないためランチラッシュのご飯をいただくのだ。

(あっ、このとろろ蕎麦おいしそう…!冷たい方の小食べよう)


とろろ蕎麦を受け取ってはたと気付く。
席とってなかった。あまり空いていない。

そんな私の目に飛び込んできたのは1人で席についている、おめでたそうな紅白頭の人だった。
あれは、見間違いでなければ私の斜め前の人だ。


「あの、ごめん。前座っていい?」
「ああ」

オッドアイが綺麗なイケメンだった。火傷跡が痛々しいが、イケメンだから様になっている。
イケメンすげえ。

「…どうした?俺の顔、なんか付いてるか?」
「目と鼻と口が付いてるで」
「…そうだな。斜め後ろの……、名前は?」
「豹野まだら。そっちは?」
「轟焦凍」


このイケメンは轟くんというらしい。
髪の毛の赤い方と同じ側の目が宝石みたいな色でものすごく綺麗だ。

「よろしく」
「こちらこそ」

「轟って語感、とろろ蕎麦のとろろに似とるよな。」
「確かに」
「私がとろろ蕎麦を食べる日に蕎麦を食べているとろろに似た名の人間に出会った、これは運命的やんな!」
「それはどうだろうな」
「とろろって呼ぼう!とろろ蕎麦のとろろ!」

轟くん改めとろろくんは少しだけ驚いたような表情はしたものの、頷いて蕎麦を啜った。

「とろろって呼ぶの可愛くない?」
「…俺にはわからねぇセンスだな」




* * *

あの後、お蕎麦が好きだという轟くんととろろ蕎麦や茶蕎麦が好きな私は微妙に打ち解けたようなそうでないような…………いや、まあこれから仲良くなるということにしておこう。

教室に戻って来た。

午後はヒーロー基礎学。何をするかは分からないけれど、なんだかわくわくする。


「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!!」

オールマイト先生だ!
今年はこの人が教師だなんて、私たちは恵まれている。

「早速だが今日はコレ!!」
先生がBATTLEと書かれたプレートを掲げる。
「戦闘訓練!!!」

壁がガゴっと鳴って、コスチュームの箱が出てきた。
自分の分を受け取る。

私はまたひっそりとトイレで着替えて、少し遅れて到着した。

「さあ!!始めようか有精卵共!!」