「ここはトリックタワーと呼ばれる塔のてっぺんです。ここが三次試験のスタート地点になります。さて試験内容ですが、試験官の伝言です。生きて下まで降りてくること。制限時間は72時間」



『それではスタート!!頑張って下さいね』


1歩踏み出したところで私は落ちた。

着地すると部屋の電気が付く。
台にタイマーが2つ置いてあるので腕にはめると、スピーカーから試験官と思しき声が流れた。

「この道は2人で進む道。もう1人来るまで待つこと。健闘を祈る」

健闘を祈るも何ももう1人が来なければ……と考えているところで上からガゴッと音がして、落ちてきた。
ヒソカが。


「わあ、ヒソカ」

「君、ボクより先に隠し扉を見つけるなんてやるねぇ{emj_ip_0835}」

「いや、踏み出したら落ちたの」

「……なーんだ{emj_ip_0836}」

少し呆れたように言われた。
失礼じゃない?


「この道、2人で進むみたいだよ。タイマー腕に付けて!」


ヒソカがタイマーを付けると扉が開いた。


しばらく進むと分岐があったけれど、とりあえずヒソカに判断を任せておけば楽そうだと思ってヒソカの後について行った。


上や下から飛び出てくるトラップなどあったけれど、注意深く進めば避けるのはそこまで難しくなかった。



またしばらく進むと広い部屋に出た。

『ここでは君達に囚人と戦っていただく。1人目は5人と、2人目は10人とだ。順番はそちらに任せよう。2人とも勝たないとここは進めない』
という声がスピーカーから聞こえた。



「ねぇヒソカ、これってもしかして1対多のデスマッチ?私、人なんて殺したことないんだけど…」

「君、勝たないとボクが君を殺すよ{emj_ip_0833}」

じゃあ勝たなければならないじゃないか。
やはりハンターたるもの時には無慈悲にならなければならないのか。

「じゃーあ、勝ったらヒソカハグしてよ!!イケメンからのハグがあるなら私は頑張れるさ!!」

「仕方ないなあ{emj_ip_0836}」

ヒソカのハグだ!!
5人、頑張って倒すしかない!




「女のガキかよ」
「俺らの刑期はもう72年減ったも同然だな」
「楽勝楽勝」

などと笑われたのでかなり頭にきた。



スタートの合図と同時に、バトン回しの要領で斧を身体の周囲で回しながら囚人の塊に飛び込んだ。
案外スピードの早い奴はいなくて、すぐに私の斧で切られ絶命したのが3人、降参を告げたのが1人となり、残すところは1人となった。

さすがに斧を回すのはかなり重くて疲れるので、それをやめて構えた。
相手が殴り掛かる素振りを見せたので斧の柄で防ごうとすると、それはフェイントだったらしく、脇腹に蹴りが入った。

相手が次の動作に入ろうとしているのを目の端で捕らえたので、思い切って相手の懐へ飛び込み足を払って斧を喉元に突き立てた。

「まいった」

これで私の勝ちだ。
脇腹がかなり痛い。



「君、なかなかだね{emj_ip_0833}……ちょっと、目をキラキラさせすぎじゃない?」

ヒソカに褒められたのが嬉しくて目が輝いていたようだ。
だってイケメンに褒められたんだもの。







ヒソカはやっぱりとても強くて、カード1枚で10人をすぐに倒した。
私が5人にかけた時間よりもっと早く、というより一瞬で。





「よーしここはパスだ!!」















* * *

しばらく塔を降りたところで、狭い部屋に入った。

1人の男が座っている。


「待ってたぜ、ヒソカ。今年は試験官ではなくただの復讐者としてな」

「ありゃー、じゃあ私はお邪魔?外に出て待ってるよ」

ということで私は部屋の外へ戻って入口から中を観察することにした。


「去年の試験以来、貴様を殺すことだけ考えてきた。このキズの恨み……今日こそ晴らす!!」

男は湾曲した刀を取り出し回し始めた。

「ふーん、その割にはあまり進歩してないね{emj_ip_0835}」

「くくく、ここからだ」

男は2本目の刀を取り出した。
かと思えばもう2本も取り出す。

「無限四刀流!!くらえ!!」

回る刃が飛び回り、ヒソカの右肩と左の脇腹を刻んだ。


「上下 左右 正面 背後!!あらゆる角度から無数の刃が貴様を切り刻む!!この無限攻撃をかわすのは不可能!!ははは、苦痛にもがいてのたうちまわれ!!そして死ね!!!」

しかしヒソカは顔色ひとつ変えずに刀を掴んだ。


「たしかによけるのは難しそう{emj_ip_0833}なら止めちゃえばいいんだよねー{emj_ip_0834}」

そして男がしていたのと同じように刀を回し始めた。

「なんだ{emj_ip_0836}思ったよりカンタンなんだ{emj_ip_0835}無駄な努力、御苦労様{emj_ip_0833}」

くそォと叫んだ男の首を切ってヒソカは勝した。



「いやー、やっぱヒソカ強いよね、かっこいいや」

「相手が弱かったんだよ{emj_ip_0834}ちょっとつまらなかったな{emj_ip_0833}」










『44番ヒソカ、三次試験通過第1号!!406番ココロ、第2号!!所要時間6時間17分!!』



「ヒソカと組めたから一番乗りだね!さっすが!」

「当然さ{emj_ip_0835}」

「はい、約束のハグー!!イケメンからのハグ!!」

そういえば、という顔だ。

「仕方ない、ボクは優しいから約束を守ってあげるよ{emj_ip_0834}」

ほらおいで、と両腕を広げたヒソカの胸に飛び込むと、二次試験の時の手の冷たさとは逆でとても暖かい。

「ふおお、イケメンはいい匂いなんだね!!ふんふん、すんすん、んーーええ匂いがするのう」

「離れさせるよ{emj_ip_0836}」

「ごめんってば!!冗談じゃん!!いや、いい匂いはするけど。うーん、あったかいし落ち着く。殺人狂のくせに」

「ねえほんと怒るよ{emj_ip_0833}」

「すみませんです」

見上げるとヒソカは本当にイケメンだと改めて思った。


「あ、ところでキズ大丈夫なの?」

「今更だね{emj_ip_0835}これくらいどうってことないさ{emj_ip_0833}」

血が出ているのにどうってことないとは。




6時間と少しでゴールしてしまったのでかなり暇だ。


「ヒソカー、暇じゃない?」

「まあトランプタワー作るだけでは暇だよね{emj_ip_0836}ココロも何もすることないしね{emj_ip_0834}」

とは言っても2人で出来るトランプ遊びなど限られている。



「ヒソカって奇術師でしょ?」

「うん{emj_ip_0833}」

「マジックできるよね?見せてよ!!」





トランプが消えたり増えたり何も無いところから現れたり…と、ヒソカはマジックにおいても凄腕であるようだ。

ひとつ成功するごとに私がすごいすごいとはしゃぐので、かなり気を良くしているように見える。








しばらくすると針をいっぱい顔に刺した危なそうな人がゴールした。

「えっ、あの危なそうな人こっちに近づいてくる。やばいよヒソカやばい」

「落ち着きなよ{emj_ip_0834}それに危ないなんて失礼、ボクのオトモダチさ{emj_ip_0835}」

針の人はカタカタと音を鳴らしている。

「ギタラクルだよ{emj_ip_0833}さあ、3人いるんだ、ババ抜きでもしよう{emj_ip_0835}」

この怖い人とヒソカと私の3人でババ抜き…。





もちろん何回やっても私の負けがいちばん多かった。












ババ抜き、ジジ抜き、七並べ、ダウト………色々と遊んだがやはり飽きがきた。


寝たりヒソカのトランプタワー作りを見たりするが、暇だった。


1度、ヒソカの膝を枕にしてゴロゴロしていたら作りかけのトランプタワーを崩してしまって怒られた。
その時は退屈より恐怖が勝ったが、怖いのは嫌なので退屈なまま大人しくしている。




















残り1時間。


「ねーえゴン達まだかな?」

「うん{emj_ip_0835}」

「あの人達なら大丈夫だよね?」

「うん{emj_ip_0835}」

「聞いてる?」

「うん{emj_ip_0835}」

「起きてる?」

「うん{emj_ip_0835}」

「寝てる?」

「うん{emj_ip_0835}」


こりゃだめだ。
ヒソカはトランプタワーに熱中して私の話を無視するようになってしまった。

ヒソカがトランプタワーを崩してクツクツと笑ったところで、またヒソカの膝を枕にして寝る。












しばらく寝ていると、残り1分が告げられた。

ゴン達は?と思って飛び起きた。



「あっ」

「あ、……あ〜」


またヒソカのトランプタワーを崩してしまった。

「……君ねぇ」


ヒソカに土下座をしていると、ゴゴ──扉が開いて聞き覚えのある声が聞こえた。

「ギリギリだったね」

「もう手がマメだらけだ」

「全く、イチかバチかだったな」


土下座のポーズのまま顔だけそちらに向けると、ゴン、キルア、クラピカ、レオリオ、トンパだった。




『タイムアップー!!第3次試験通過人数26名!!(内1名死亡)』






塔を出たところでクラピカに聞かれた。

「ココロ、君は何故ヒソカに土下座を…?」

「トランプタワーを崩しちゃったんだ。それも2回目……」


そのうわあこいつって感じの目をやめてください。