「レオリオ、そちらの女性は?」
「ああ、この子も受験生らしい。道わかんねえから一緒に来るそうだ」
この人はレオリオさんというらしい。
紹介に合わせてぺこりと会釈をした。
「信用して大丈夫なのか?」
「お、おまっ、失礼だぞクラピカ!!」
いや、もっともだ。
「それ私も思ったよ。信用してもらえてよかったけど、もうちょっと人を疑った方がいいよ」
「ええ…」
「私、ココロ=マリアーロ。信用してもらえなくてもいいけど、君たちの邪魔はするつもりはないよ。もし私が不審なことをすれば殴るなりなんなりしてくれて結構!」
クラピカと呼ばれた少年は「そうか。私はクラピカだ」と自己紹介をしてくれた。
隣にいる少年も「オレ、ゴン!よろしくね」と言う。
「ゴンくんは何歳?」
彼はかなり幼く見えるのだ。
「もうすぐ12!」
その歳でハンター試験を受けるとは……。すごい。
「ゴンでいいよ!ココロはいくつ?」
「おっけ、ありがとね。私は18」
どうやらゴンには信用されたようだ。
「ええーっ!!アンタ18なのかよ……見えねえぜ」
「ジャポンの血が入ってるからだと思う。ジャポンは小柄で童顔な人が多いし」
クラピカは「君の方が歳上とは」と言っているのでちょっとむかついた。
* * *
しばらく歩くと寂れた街に着いた。
「うすっ気味悪いところだな、人っ子一人見当たらねーぜ」
「でも気配はあるよね」
「人いっぱいいるよね」
「うむ、油断はするな」
レオリオは人の気配に敏感ではないようだ。
そうやって話していると前方から人がたくさん出てきた。
「ドキドキ………………ドキドキ二択クイ〜〜〜〜ズ!!」
いきなり老婆が叫んだもので、びっくりした。
というか二択クイズ?
「お前たち、あの一本杉を目指してんだろ?あそこにはこの町をぬけないと絶対に行けないよ。他からの山道は迷路みたいになっている上に、凶暴な魔獣のナワバリだからね」
ということは先程のクイズとやらを必ず受ける必要があるのだろう。
「これから一問だけクイズを出題する。考える時間は5秒だけ。もし間違えたら即失格、今年のハンター資格取得はあきらめな」
「なる程、これもハンター試験の関門の1つか」
「@かAで答えること!!それ以外のあいまいな返事は全て間違いとみなす」
レオリオがクラピカが間違えたら…などと言いクラピカも言い返し、取っ組み合いになった。
そこをゴンの一言が制すると、後ろから人が現れた。
「おいおい早くしてくれよ。何ならオレが先に答えるぜ」
ゴンが道を聞いた時に盗み聞きしていたらしい。
問題の傾向をみるために譲ることになった。
「それでは問題。お前の母親と恋人が悪党につかまり一人しか助けられない。@母親A恋人 どちらを助ける?」
これはきっと答えなければいいのだろう。
@かAで答え、それ以外のあいまいな返事は間違い。この言葉に既に答えが隠れている。
@でもAでも答えられなければ黙っていればいいのだ。あいまいな返事ではないのだから、間違いとはみなされないはず。
ところが「@!!」と男は答えた。
男が道を通されると、レオリオが激昂した。
「ふざけんじゃねェッ!!こんなクイズがあるかボケェ!!」
分かっていないみたいだ。
「オレは引き返す!!別のルートから行くぜ!!」
「ふん、もう遅い。クイズを辞退するなら即失格とする。ハンターになる資格はないね」
「!!レオリオ!!」
「何だよ!!まさかこんなふざけたクイズ続けろってのか」
「待ちな!これ以上のおしゃべりは許さないよ」
クラピカも気付いたようだ。
ゴンとレオリオ、頼むから黙っておいてくれよ……!
「ここからは余計な発言をしたら即失格とする。さぁ答えな、@クイズを受けるA受けない」
「@だ!!」
「それじゃ問題だ。息子と娘が誘拐された。一人しか取り戻せない。@娘A息子 どちらを取り戻す?」
「5」
「4」
「3」
「2」
「1」
「ぶ──終〜〜〜了〜〜〜」
終了を告げられると同時にレオリオとクラピカの武器がぶつかった。
「なぜ止める」
「落ち着けレオリオ!!」
「いーや激昂するね。手土産にこのババアの素っ首持って会場へ乗り込むぜ。スカした審査員共を全員ぶっとばして説教してやる。ハンター!?くそくらえだこんな腐れた商売はなくしちまった方が世のためだ」
「せっかくの合格を棒にふる気か?」
「何?」
「ふう!我々は正解したんだよレオリオ。沈黙!!それが正しい答えなんだよ」
さらにさっきの野郎はと詰め寄るレオリオをクラピカが通れと言っただけだとなだめた。
あの男の悲鳴が聞こえたらしい。気付かなかった。
本当の道は扉の中、一本道で2時間歩けば着くらしい。
「ふう〜ダメだ!!どうしても答えが出ないや」
いきなりゴンが言った。
私たちは思わず笑ってしまった。
「何だよまだ考えてたのかよ。もういいんだぜ」
「え?何で?」
「何でって、もうクイズは終わったんだぜ」
「それはわかってるよ──でも、もし本当に大切な2人のうち一人しか助けられない場面に出会ったら…どうする?」
その言葉にハッとした。
「どちらを選んでも本当の正解じゃないけどどちらか必ず選ばなくちゃいけない時…いつか来るかも知れないんだ」
残酷だけど、現実とはそんなものだ。
「そんな場面になるべくならないよう、両方救うくらい強くならないといけないなあ……」
と呟くと、おばあさんに微笑まれた気がした。
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